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大好き  作者: ナード
7/19

7 夏休みの数学の宿題

 夏休みは、好きだけど、嫌い。

 栗原くんのこと、まだすこし心配。でも学校がないから、会えない。

 近所に住んでいるはずなのに、家を知らない。

 クラスが違うから、連絡網もない。


 家だとやっぱりダレちゃうので図書館でお勉強。夏休みの宿題はさっさと片付けましょ。栗原くんのことは気になるけど、でもどうしようもないもの。

 自習室に入って、私は神様に感謝した。いままで信じてたことなんてなかったけど。

 左隣にすっと座る。

「こんにちは、栗原くん」

「ああ、高木さん。こんにちは」

 相変わらず色白の栗原くん。

「気になってたんだけど……なんで高木、から高木さん、になったの?」

「それは、高木さんが俺のことを『栗原くん』って呼ぶから」

「そっかー……私は高木、って呼ばれたほうが嬉しいかな」

「そうなの?」

「うん、そうなの」

「そっか。じゃあそうする」

 栗原くんはもうノートに戻って宿題してる。相変わらず綺麗な指。前に偶然その手に触れたことを思い出して、一人でドキドキする。

 これじゃ、危ない人だよね。

 私もノートを広げて宿題を始める。


「ねえ、栗原くん」

「ん?」

「この数学のね、この式。これひたすら計算するしかないのかな?」

「俺もあまり数学は得意じゃないんだが……」


以下の式を展開せよ

挿絵(By みてみん)


「ああ、うん……こうだな」

 しばらく栗原くんは考えて、スラスラっと書いた。


挿絵(By みてみん)


「え?なんで?」

「二項定理で解ける。こういう数式だ」


挿絵(By みてみん)


「以下のように計算する。直接は出てこないけど順列Pから。異なるn個の中からr個選んで並べたときの数を計算する方法。!は階乗演算子でその数値までの積を求める。3!なら6だ」


挿絵(By みてみん)


「次は組み合わせC。これはn個のなかからr個選んだ場合の選択肢の数、だ。同じものが排除されるので順列より少なくなる」


挿絵(By みてみん)


「これで後はさっきのΣに入れてやれば計算できるだろう」

 しばらく考えてみる。あれ?これ……。

「ねえ、栗原くん、n=5だよね……でk=5のとき、Cの計算困らない?こんな感じに」


挿絵(By みてみん)


 そう、0!。1x0になって0になっちゃう!

「あー、それね。数学上0!=1にしたほうが都合がいいので1なんだよそこ」

「え、なんで?」

「階乗は以下のように書けるね」


挿絵(By みてみん)


「うん……そう、かな。そうだね」

「0!=1とするとn=0でもこの式が成立する。だから0!=1とする。Γ(1)=1だから0!=1とも言えるけどこっちは扱うものが面倒だから無視でいい。どうせオイラーに殴られるだけだし」

 栗原くん、これで数学苦手……なの?

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