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大好き  作者: ナード
5/19

5 中間考査の後で

 あの日から栗原くんの笑顔が減った気がする。

 前は見かけると挨拶してくれて、少し話をして。

 今は、避けられているわけではないけれど、なんか違う。どうしたのかな。心配。でも私は……彼を無意識に傷つけてしまったのかも。


 中間考査が終わった翌々週。

 クラスが違うからなかなか会えない。ちょっと勇気を出して校門で待ち伏せしてみる。がんばれ、私。

「ああ、高木さん。こんにちは」

 栗原くん。あれから高木、じゃなくて高木さんになってる。

「こんにちは。一緒に帰ろ?」

 勇気を持って、誘う。

「いいね、そうしようか」

 栗原くんは静かに微笑んでくれた。


 以前より物静かになった栗原くん。しばらく無言で駅まで歩く。

 何があったのかな。やっぱり、あのときのこと気にしてるのかな。

「中間考査前の図書館のこと、ごめんね、高木さん。あれからなかなか会えなくてずっと言えなかったんだけど」

 珍しく栗原くんの方から。

「ううん、あのとき、無理言ったの私だもん。悪いのは、私。ごめんなさい」

「個人的なことで傷つける……最低、だ。なんで俺……あ、ごめん。これもダメだ」

 弱々しく頭を振る栗原くん。最初の頃の自信にあふれて強かった栗原くんとぜんぜん違う。

 しばらく黙って歩く。

 電車に乗っても沈黙。

 電車から降りて、自転車を出す。

「栗原くんはこれから買い物?」

「もうその必要はないんだ」

「え?」

「ばーちゃん、先週死んじゃったから」

 自転車に乗って行こうとする栗原くんの肩を掴んだ。

「待って!あ、あの……その……」

「うん?」

「私じゃ、頼りにならないかもしれないけど、相談乗るよ。ね?」

「……ありがとう。困ったときにはお願いするね。じゃあ」

 栗原くんはそれだけ言うと自転車に乗って行ってしまった。

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