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大好き  作者: ナード
3/19

3 図書館①

 土曜日。

 中間考査が近いので、図書館に行きました。

 自習室の空いてるスペースを見つけて座って、ノートを広げて、さあ、やるぞっ。

「あれ?高木?」

 トクンっと跳ね上がる心臓。綺麗な声。顔を上げると、栗原くん。

「あ、栗原くん。おはよう」

「ああ、おはよう。高木もテスト勉強?」

「うん、家だとどうしてもだらけちゃうから」

「へー。俺もまあそんな感じ。じゃあちゃっちゃとやろうぜ」

 栗原くんが右隣に座る。

「え?」

「え?って、ここ空いてるだろ?」

「……うん」

 静まれ、静まれ。


 ノートにシャーペンで書いてペンで色を付けて、まとめる。ペンを戻す時右隣をどうしても見ちゃう。真剣な表情の栗原くん。

 しばらく見ていたら、栗原くんがこっちを見た。慌ててノートに視線を戻す。バレてない、よね?

 そーっと視線を戻す。

 頬杖してこっちを見てる栗原くんと目があった。

「なにしてんの?」

「え、えと……勉強?」

「うーん……邪魔しちゃってるようなら、席移るよ。あっち空いてるし」

「ううん!そんなことないよ!」

「静かに」

 栗原くんが人差し指を自分の唇に当ててる姿をみて、またドキンとした。綺麗な指。

「あ……ごめんなさい」

 にっこりする栗原くん。やっぱり、かっこいいなあ。

「じゃあ、まだここで勉強するけど、気になるなら言ってね。邪魔しちゃうのは本意ではないから」

 栗原くんは、ちょっと言葉遣いが変わっている。妙に大人びているような、そうじゃないような。


 しばらく二人で黙々と勉強。消しゴムを取ろうとして手で飛ばしちゃった。手を伸ばした先に、栗原くんの左手。大きいけど、綺麗な手の上に私の手、重ねちゃった。

「おっと、すまん。消しゴムだろ。視界の隅に入って反射的に取っちゃったよ」

 栗原くんが私の右手に拾ってくれた消しゴムを渡してくれた。

「あ、ありがと……」

 静まれ、静まれ、私の鼓動。

「高木の手、綺麗だな」

「え、あ……ありがと……栗原くんの手も綺麗ね」

「綺麗、ねえ……そうかなあ」

 左手をくるくる回してぐーぱーしてる。

「もう少し、こうがっしりした手のほうがいいと思うんだよな。男なら」

「ううん。栗原くんの手は、それがいいと思うよ」

 私何を言ってるの?頭真っ白。

「……そうか。ありがとう」

 眩しい笑顔。私の中の栗原くんがもっと増えていく。

 これが、好きってこと、なのかなあ……?

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