3 図書館①
土曜日。
中間考査が近いので、図書館に行きました。
自習室の空いてるスペースを見つけて座って、ノートを広げて、さあ、やるぞっ。
「あれ?高木?」
トクンっと跳ね上がる心臓。綺麗な声。顔を上げると、栗原くん。
「あ、栗原くん。おはよう」
「ああ、おはよう。高木もテスト勉強?」
「うん、家だとどうしてもだらけちゃうから」
「へー。俺もまあそんな感じ。じゃあちゃっちゃとやろうぜ」
栗原くんが右隣に座る。
「え?」
「え?って、ここ空いてるだろ?」
「……うん」
静まれ、静まれ。
ノートにシャーペンで書いてペンで色を付けて、まとめる。ペンを戻す時右隣をどうしても見ちゃう。真剣な表情の栗原くん。
しばらく見ていたら、栗原くんがこっちを見た。慌ててノートに視線を戻す。バレてない、よね?
そーっと視線を戻す。
頬杖してこっちを見てる栗原くんと目があった。
「なにしてんの?」
「え、えと……勉強?」
「うーん……邪魔しちゃってるようなら、席移るよ。あっち空いてるし」
「ううん!そんなことないよ!」
「静かに」
栗原くんが人差し指を自分の唇に当ててる姿をみて、またドキンとした。綺麗な指。
「あ……ごめんなさい」
にっこりする栗原くん。やっぱり、かっこいいなあ。
「じゃあ、まだここで勉強するけど、気になるなら言ってね。邪魔しちゃうのは本意ではないから」
栗原くんは、ちょっと言葉遣いが変わっている。妙に大人びているような、そうじゃないような。
しばらく二人で黙々と勉強。消しゴムを取ろうとして手で飛ばしちゃった。手を伸ばした先に、栗原くんの左手。大きいけど、綺麗な手の上に私の手、重ねちゃった。
「おっと、すまん。消しゴムだろ。視界の隅に入って反射的に取っちゃったよ」
栗原くんが私の右手に拾ってくれた消しゴムを渡してくれた。
「あ、ありがと……」
静まれ、静まれ、私の鼓動。
「高木の手、綺麗だな」
「え、あ……ありがと……栗原くんの手も綺麗ね」
「綺麗、ねえ……そうかなあ」
左手をくるくる回してぐーぱーしてる。
「もう少し、こうがっしりした手のほうがいいと思うんだよな。男なら」
「ううん。栗原くんの手は、それがいいと思うよ」
私何を言ってるの?頭真っ白。
「……そうか。ありがとう」
眩しい笑顔。私の中の栗原くんがもっと増えていく。
これが、好きってこと、なのかなあ……?