18 クラス委員
クラス替えのあとは委員の決定。これがなかなか決まらない。
「んじゃ俺副委員長やる」
栗原くんが手を上げた。多分飽きたんだと思う。
「んで、俺の権限でイインチョ決める。高木可奈美さん。以上」
クラスがどよめく。
「なんでーかなぴーなの?」
同じクラスになった相田さんが言う。
「クラス全体を見た感じ、一番委員長キャラだから」
相田さん、頷く。えー。そうかなあ。
「よし、これで決まり。帰ろ帰ろ」
栗原くん、適当すぎ、そしてひどすぎ。
「あ、え、ちょっ、ちょっと!栗原くん待ってってば」
「今日はスーパーの特売で豚肉が安いのであまり待てません」
なんか栗原くん、印象違う。少し、冷たい。
「えと、じゃあ駅まで一緒でいい?」
「それなら」
やっぱりすこし他人行儀。
駅まで歩きながらぽつぽつ話す。
「高木、そろそろごっこをやめよう、と思う」
「あのね、栗原くん、私ね」
私の言葉を、手で制す栗原くん。
「俺、いろいろとだめな人間なんだよ。たぶん、壊れている」
寂しそうに笑う栗原くん。
「そう、壊れているんだ。本当は、人と関わっちゃいけない。そんな人間」
「そんなこと、ない!栗原くんは、栗原くんは、すごくいい人だよっ!」
「そう見えるように振る舞える人間、なんだ。いや振る舞わなければならなかった、が正しいか」
なんで、なんで、なんで?せっかく同じクラスになったのに、これからだと思ったのに。
「俺、高木さんの優しさを利用していた。そういう人間。だから、ね」
「違う……違うよ……栗原くんは……」
「君の中に、俺の幻想がいる。俺は決してそんな人間ではない。これ以上、俺に関わらないほうがいい。あなたの人生にとって、マイナスにしかなら」
「そんなの関係ないっ!私は、私の心は、私の気持ちは!」
「……それも、多分俺が誘導したんだよ。ごめん」
栗原くんはそこで話を打ち切って、行ってしまった。