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楽園変生 第一部 ──不死の随伴者──  作者: 紅葉 昂
第一部【不死の随伴者】
6/52

第004話

──……あれからどれ程の月日が流れただろう。


 白衣に身を包む女性。

 大通りを行き交う人々に混ざり、声をかけて来る商人達に愛想笑いで返しながら必要な物だけを買った紙袋を抱えて歩く。

 周囲にいる冒険者や商人、騎士のような風貌など様々な格好をした者達の中、桜色の長い髪を靡かせた彼女は取り分け浮いていた。

 それは同性が見てもため息を吐いてしまうような色気のせいだろう。

 身体のサイズに合った白衣は、しかし総てのボタンを留める事が叶わない。胸の先端を隠すようにボタンを一つ留めているがそれが限界。白衣という清純なる衣でさえも、彼女の豊満な胸を隠し切る事は出来ない。

 今にもはち切れんばかりに揺れる胸元の下、身体に張り付いたボンテージ風のレオタードは身体の形をこれでもかと強調している。


──このまま私は何も成せずに生きるのだろうか。


 そして何よりも、彼女と周囲の女達とでは比べる事の出来ない格差があった。

 それは端的に美人であるという事だけでなく、そもそも生物として根本的に違っている。もっとも、その根本的な違いを感じ取る事が出来たとして、雰囲気が違うと形容する事しか出来ないだろう。


 擦れ違う者達が彼女に声をかけ、手を振り、頭を下げていく。彼女も笑顔を浮かべてそれに応じるも、その心は沈んでいた。


「冒険者、ようこそ異世界へ。夜坂葵、君が描く君の物語を私に見せてくれ」


 彼女が自嘲気味な笑みを浮かべた時、その芝居がかった言葉が耳に届いた。周囲を見回し、彼女はその声の主を必死に探す。


 が、それは呆気ない程すぐに見つかった。


 銀色の髪に紅い瞳。見た事もない服に身を包む少女──咎崎乃愛を視界に入れた途端、長い睫毛から溢れた涙が頬を伝う。

 しかし、


「……もしそうなら、ヒロインは咎崎なのかな」


「それは勿論、主人公次第だな」


 乃愛の差し出した手を取る黒髪の少年を見て、その形相は鬼と化した。











 異世界。

 記憶を失う前に買った本やゲーム。記憶を失ってから暇だった葵は部屋にあった本の大半を読破し、現実世界では在り得ない世界観をしたゲームも何度か遊んだ。

 記憶を失う前、自分は現代社会に不満でもあったのだろうかと葵自身が感じる程に、彼の部屋には異世界を主軸に置いた作品があった。

 しかなかった、と言っても過言ではない。


「現実的に考えて、まずやるべき事は……」


 問題は多い。

 まず、この世界がどういう所なのか。どんな状況なのか。生き抜く為に必要な物など、端的に“この世界の常識”を知る必要がある。


「ねえ、この街は何て名前なの?」


 何をするにしても、尋ねるのが一番手っ取り早い。そう考えた葵は横にいた大柄な男に声をかける。

 斧を背中に持ち、分厚い鎧を着込んだ屈強そうな見た目は明らかに彼の知る異世界の冒険者。


「■■■■■■■■■■■」


──うん、全然わからない。


 屈強そうな男は仲間の少女に声をかけて葵を指差している。反応を見るに日本語が通じていない、聞いた事のない言葉を喋る世界で間違いない。

 瞬間、葵の後ろで紅い光が瞬いた。


「…………どうした、夜坂?」


 振り返ると乃愛が葵を見ている。特に異常はない。

いや、異常は今起きた。


「私も彼が何を言っているのかわからなかったよ」


 葵は視線を戻す。それは屈強そうな男の仲間、杖を持った聖職者風の少女の声だった。


「ねえ君、もう一回話してみて」


 最初は全くわからなかったのに、と葵は目を丸くして驚く。しかし、不審に思われてはならない。例えば戦時中である場合は他国出身と言うのは避けるべきで、人種差別があるなら自身の素性などを話すのは得策ではない。

 状況がわからない以上反応一つで争いごとになりかねないからだ。


「あー、この街は初めて来たんだけど、人が多いね」


と、初めとは違った言葉を選ぶ。


「あ、うん。それはそうだよ。この街、トゥーレは冒険者が多く集まる場所だもん」


「なるほど。冒険者の皆さんはこれからどこに?」


「私達は今からギルドに行って、今日の宿代稼ぎかな」


 葵は心の中で拳を握り締める。ごく普通に情報を引き出せた。少なくとも金銭という概念や宿、見るからに冒険者だったがその存在も確信出来た。

 そして冒険者ギルドといえば最早定番。そこに行けば適当な依頼をこなして金を稼ぐ事が出来る。

 この収穫は大きい、ハズなのだが後ろの乃愛は何やら笑うのを堪えているようだった。


「じゃ、頑張ってね」


「うん、ありがと。……またね」


 話を切り上げると、聖職者風の少女は葵と乃愛へ向けていた視線を下から上へと流した後、去り際に手を振ってそう言った。


「最後の言葉が気になるけど、とりあえずは会話は出来るみたいだな」


 ホッと一息吐くと葵は振り返る。未だに堪えている乃愛を見て腰に手を当てて不満気に腕を組んだ。


「絶対に不審に思われたし、少なくとも田舎者扱いはされたぞ今」


「そんな事言われても、仕方ないじゃん。とりあえず会話は出来るみたいだね。この世界でも金銭でやり取りするみたいだし、僕等も稼がないと今日野宿する事になる。僕は平気だけど……」


 女の子にそんな事はさせたくない。そう言おうとして葵は口を閉ざした。女の子をストーカー呼ばわりしておいて、今更乃愛を女の子扱いする自分に若干の嫌気を覚えたからだ。


「何だ?」


「いや、やっぱりせめて屋根くらいは欲しいなって」


「同感。じゃあ冒険者になるって事で……ギルドに行くなら彼女達の後を追うのが得策だな」


「そうだね。ギルドに行けば色んな情報を聞けるだろうし」


 頷き合って彼等はギルドを目指す。とはいえ話していた通り、道のりがわからない以上、先程声をかけた冒険者二人組の後を尾行する、という事。

 見失わないように、されど気付かれると気まずい故にある程度の距離を保つ。


「咎崎はさ、ゲームとかラノベとかわかるんだよね?」


 先程芝居がかった台詞を吐いたくらいなのだから当然知っていると葵は認識していた訳だが、何やら乃愛は不満なようでその視線が葵を射抜く。


「…………わかる。こういう世界なら冒険者は魔族とかと戦って、王様に褒美を貰ってエンディングだ。小説ならそこで現代社会に戻ったり、異世界で余生を満喫するというのがお約束だな。当たり前だが私達にそれを期待するなよ。ジャンルという括りは同じでも、私達はフィクションじゃない」


 乃愛の言葉はもっともだ。ゲームならば魔王を倒したらエンディングが流れ、スタッフロールを見て終わり。小説ならエピローグ。

 どちらも共通するのは終わりが用意されている。

 置かれた状況は同じであっても、空想の物語を現実にそのまま投影したのでは“そうじゃない場合”に遭遇しかねない。


「同じ認識で助かるよ。咎崎は随分理解に長けてるね」


「……お前といたしな」


「何? 聞こえなかった」


「私も夜坂も常識から外れてるしと言ったんだ。普通は異世界になんて飛ばされたら発狂して終わりだと思うんだが」


 耳を近付けて来た葵に対し乃愛は徐に視線を周囲に流す。わざわざ小声で呟いた独り言をもう一度言う必要はなく、乃愛は別の言葉で会話を濁した。


「僕一人なら呆けてさっきのゴブリンに殺されてたかもね。咎崎がいてくれてよかったよ」


 瞬間、視線を泳がせていた乃愛は横を歩く葵の笑顔を直視し、その足を止めた。

 いや、直視してしまってと言うべきか。乃愛の視線は葵に釘付けのまま、口は言葉を紡ごうと動いてはいるが声が出ていない。

 罪な男だ。


「あれ、咎崎。早くしないと見失うよ」


「わ、私は悪くないと思う」


「え? 別に責めてないよ。早く来なよ」


 葵に急かされ、右腕で緩んだ唇を隠しながら乃愛は小走りで葵の横に並ぶ。


「とりあえず、さっきの女の子の格好や周りの冒険者を見るに“魔法”はあるみたいだね。あの杖が打撃武器であの女の子達全員が怪力じゃない限りは」


「あー、うんそうだな。まるっきり後衛アタッカーっぽい魔法使いもいれば、見るからに回復役みたいな魔法使いもいる。さっきの話をここに持ち出すなら“魔法の仕組み”だな。その効果が私達の知る魔法と全く同じなのかどうか、か」


 冗談めかしに言った葵だったが乃愛は笑い話だと気付く事なく、というより先程のダメージで余裕がなく、彼女は淡々と口にする。


「……正解。他には魔王の存在や、エネミーがどういう存在なのか。人を食べるのか、あるいは人間と食べる物は変わらないのか。他にも色々あるけど」


「ダークファンタジーなら人間の女性を攫うエネミーもいるだろうな。目的は伏せさせて貰うが」


「…………一応、これでも気を使ったんだけど」


「不要だよ。今私達が置かれてる立場をちゃんと理解しているか? 言いたくないから避けて、もしその状況に直面したらどうする? ……私は女だから注意が必要ならするべきだし、男のお前はお前で気を付けなければいけない事もある。今はそういう倫理観に抵触するからといって考えを放棄していい状況じゃない。異世界というのは何も綺麗事ばかりな夢物語という訳ではないんだ」


 事もなげに乃愛は口にする。状況の把握は必須。魔物の生態系、それによる自身達の危険性。

 常識を守ってくれる魔物が果たしているだろうか。そもそもその問い自体が馬鹿馬鹿しいと乃愛は言っているのだ。

 例えば異世界転生、異世界転移。

 似ても非なるその二つも、今の状況に適していない可能性がある。二つの違いは、記憶や力、姿などを引き継いでいるかどうか。


 異世界転生であれば主人公が最初から強い場合がある。


 異世界転移であれば主人公が成長していく地道な物が多い。


 が、その二つも現代社会において“面白いから”という理由で作られた架空の物語。現実に投影していい設定ではない。


 異世界転生でも主人公が何の役にも立たないクズの可能性。


 異世界転移でも異世界の環境が主人公に適して無双出来る可能性。

 わざわざ楽観視する必要はない。となれば、安全を期して“最悪の状況を考えて投影する”事が何より初めての異世界で必要な確認作業。


「チュートリアルは飛ばす主義だが、流石にそうは言ってられないだろう?」


 余裕を取り戻した乃愛が笑みを浮かべて葵の顔を覗き込む。


「生憎、僕はゲームで最初に何が出来るのかを確認するのが一番好きなんだよ」


「頼りにしてる。私も夜坂がいてくれてよかったよ」


 微笑み、後ろ手に組んだ両手と腰を曲げ、更に下からあざとく覗き込むようにして葵を見上げる。

 仕返しの一撃だった。まるでモデルの写真集に載るようなポージングを見事なまでに自然な流れで乃愛は実行した。

 が、


「っと、到着って感じだね」


 タイミングが悪く、葵は視線を正面の建物に移していた。


「……そういえばこういうのって酒場が常だけど、僕等未成年だよね」


「異世界で現代社会の法律を守る必要はないだろ。飲みたければ飲め、飲みたくないならピザでも食ってろ!」


 振り返って苦笑いを浮かべると、突如として罵倒される葵。

 不貞腐れるように背中を向ける乃愛は、恥ずかしかったりと怒りでどうしようもなくそれ所ではないようだ。


 ここで色男なら肩を抱き寄せ、キスの一つでもして彼女の機嫌を直すのだろうが、当然葵は「それもそうか」と呟いて王道主人公の道を行く。そもそも現実にそんな色男がいれば頬を叩かれてノックアウトだ。


「いらっしゃいませー」


 昼間とは思えない程に店内は暗かった。入り口の扉を開けた男女の二人組に店内は静まり返る。

 その理由は彼等の風貌。

 黒いスカートを靡かせる銀髪の少女は、カーテンで覆われて明かりのない店内を歩き、真紅の瞳がまるで人魂のように暗がりを漂う。

 肩に羽織った衣は男の物だろうか、彼女の身の丈に合わぬそれはまるで外套のように揺れ動き、その歩みを勇ましく演出する。


 その隣には真っ白なシャツを着た少年。黄金色の瞳はまるで黒猫のようで、不吉な眼で店内最奥にあるカウンターを見つめている。


 ゆっくりと彼等は歩く。

 その歩みを見送る冒険者は酒を飲み、葉巻を吸い、戦利品を机に並べて談笑している。しかしその多くは彼と彼女に視線を向けていた。


 笑う者。


 訝しむ者。


 その二つはあったとして、歓迎するようなムードはなかった。

 だが彼と彼女がそれを気にする様子はない。

 辿り着いたカウンター前の椅子に座り、少女は頬杖を。少年は足を組んで肘をカウンターに乗せた。


「ど、どうされますか?」


 その雰囲気にカウンターに控えた女性はたじろいだ。それをまるで小馬鹿にするように笑みを浮かべた少年は人差し指を立てて首を傾げて見せた。

 それだけの動作、にも関わらず女性店員は肩を強張らせる。屈強な男達を客として相手して来たその女性も、彼の持つ独特な雰囲気には敵わなかったのだ。


「ピザを一枚」


 瞬間、頬杖をついた少女──乃愛が額をカウンターにぶつけた。


「あ、かしこまりました」


「あ、ごめん。ちょっと待って今のなし」


 まるで花が咲くように一転し微笑む店員を制止し、少年──葵は乃愛の肩に手を置いた。


「ピザはあるらしい」


「好物だもんな」


 台無しだよと言わんばかりに脱力する乃愛はカウンターに頬をくっつけたまま起き上がろうとしない。


「実は文なしで、冒険者になる為に来たんだけどどうしたらいい?」


 そして先程の話はどこへ行ったと言わんばかりに葵は真実を口にした。乃愛はうずくまったまま何も言わない。


「文なしかよ! さっきのイメージぶち壊しだよ!」


 店にいた屈強そうな冒険者達も大ブーイングだ。


「あ、やっぱりそうだった!」


 そんな中、葵に駆け寄る一人の少女。茶色い髪に緑色のローブ。いかにも、というより先程の聖職者風の少女だった。葵が声をかけた屈強そうな斧使いが後ろからついて来る。


「また会ったね、冒険者さん」


「あ、またねってそういう?」


「はい。プレートも持ってないし、荷馬車も連れてないからどこかの村から冒険者になる為にこの街に来たんだなって、ね?」


 そう言って少女は屈強そうな斧使いに微笑みかけ、斧使いもその強面の顔を歪ませて愛想の良さそうな笑みを浮かべている。

 どうやら見抜かれていたようだ。親切そうな人懐っこそうな少女であるし、最初から聞いておけばよかったのかもしれない。


「よかったら色々ご説明しましょうか?」


「いいの? それじゃあお願いしよう──」


「葵、私は別の場所を探索して来る」


 打ち解けて話し始める三人の横で乃愛が席から離れる。


「え、一人でどこに」


「大丈夫、すぐ戻るさ。……私の事は気にせず、彼を御願いします」


 葵に返事をし、自身に視線を移している二人の冒険者に頭を下げると、乃愛はゆっくりと出口に向かい、振り返る事なくその場を去った。


「あの、あちらの方は?」


「ごめん、人見知りなんだ。悪い奴じゃないから、気にしないであげて」











「ッ、思ったより辛いな」


 冒険者ギルドを出て大通りの人々に混ざる事なく、咎崎乃愛は路地裏に入った。

 呟いた言葉を表すようにその右手は胸元で握り締め、額には汗を浮かばせている。左手は壁に添えられて、足はゆっくりと路地裏の更に奥へと歩みを進めている。


──気を失う事はないだろうが人目につけば騒ぎだ。出来れば街を出て一休みしたいが……。


 と、そこで思い浮かべるのは葵の顔だった。


「そうも言ってられないな。これから新しい物語を始めるんだ。……二人、で……」


 乱れた呼吸に、震え始める手足。

 今に始まった事ではない。乃愛は異世界に降り立ったその時からこうだった。

 彼にその事を言わなかったのも、お荷物になりたくない以外の理由があった。だがそれを打ち明けてしまえば、葵の物語が始まらない。乃愛はそう考え、ずっと耐えていたのだ。


「お、美人発見! って、やばくね? 何か調子悪そう!」


 しかしそれも限界。

 力が入らなくなった足を折り、壁に背を預けながら路地裏に座る。

 その顔を覗き込むのは、やせ細った男と丸々と太った男の二人組。みすぼらしいその姿は乃愛や葵の知る架空の物語の中に出て来る盗賊のそれだった。


「おー、上玉だな。大丈夫か、オイラの家に連れて帰ってやろう」


 開いた唇から涎を垂れ流し、その手を乃愛の胸元へと伸ばす。乃愛の視線はただ呆然と空を眺め、肢体は身を任せるように冷たい路地裏に置かれている。

 まるで人形のようだった。

 人形故に、男の手が迫っていようと何も抵抗はしない。

 しかし当然息はあり、男が漂わせる悪臭が鼻先を掠め、乃愛は初めてその視線を太った男に向けた。


「近付くな」


 瞬間、乃愛の右眼が紅い光を灯し始める。

 乃愛の言葉を耳にした太った男は、字の通り乃愛の眼光を前にして身体を硬直させる。何かしら力が働いている訳ではない。生物としての本能が、乃愛に触れる事を恐れたのだ。


「ま、魔法!? 魔導士(ソーサラー)かッ!?」


 圧倒的な存在との差を理解出来ず、悲鳴のような声を上げながら仲間を置いて逃走するやせ細った男。乃愛はその背中を視線で追うも、その背に手を伸ばす事すら出来なかった。


──……殺す訳にはいかない、か。


 すぐそこは大通り。故それでは騒ぎになってしまうと考えた乃愛が、他に手はないか思考すると共にそれは起きた。

 やせ細った男の肩に降り立つ白衣の女性。男の頭を跨ぐように着地し、手にしていた針を何の躊躇いもなくその首に突き立てる。

 すると男は何も出来ずにその場に倒れ、女性は春に咲く花のような色をした髪と白衣を靡かせて飛び上がり、振り返る太った男の延髄に先程とは別の針を叩き込んで着地した。


挿絵(By みてみん)


「メイド長クーラ・メディクス、只今参りました」


 その着地の姿勢はまるで王に仕える従者の如く。太った男が倒れ、驚いた乃愛が目を丸くしている中、


「御健在、信じておりました姫殿下。……いいえ──」


 クーラは深々と頭を下げたまま、その視線を乃愛に向けるように顔を上げた。


「──我等が魔王、ルシフェリア・ニーベルング陛下」

ッという訳で二日目の更新です。明日も更新しますのでどうぞよろしく御願い致します

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