第038話
「反対だ」
乃愛を加えて作戦会議が始まり半刻程が経ち、葵の話す作戦を聞き終えた後で部屋に響いたのはそんな言葉だった。その言葉の主は先程のような勢いこそないものの、その作戦の決行に乃愛は異論があった。
「この作戦だとイオリアも葵も危険だ」
というのも、葵の作戦とはまずイオリアの風を感じる力を頼りに魔王──キュクロの捜索。その後はヴァナヘイム軍が他のサイクロプスを、葵とイオリアがキュクロをそれぞれ誘導し、キュクロをサイクロプス軍から引き離す。
その間乃愛は魔力使用を控え、キュクロを奇襲出来る位置まで移動。ギリアムはその護衛に努める。葵の持つ音響弾を合図にヴェルミクルムによる爆撃を行い、キュクロを絶命させるというものだった。
「私に護衛はいらないから、ギリアムも前衛に出た方がキュクロを翻弄しやすいだろ」
「いいや、これが最善だよ。イオリアなら特に自分の危険には敏感に反応出来るし、僕は死なない。……それにギリアムは重戦士だから、僕等のように動けっていうのは難しい」
僕は死なないという言葉に乃愛の片眉がつり上がったのを葵は見逃さず、すぐさま別の理由を並べ立てる。どうもこの辺りの会話は二人の衝突する要因になるようだ。
「それを言ったら物陰に隠れるのにギリアムは向かないだろ」
「だからなるべく距離を開けて、ゆっくり追いかけて来てくれればいいんだ。物陰って言っても建物の影や建物の中ならキュクロからは見えない」
お互いに譲ろうとしない。これでは話が平行線だと感じたイオリアが口を挟む。
「葵様は貴方の安否もそうですが、作戦の成功確率を上げる為にも護衛は必要だって言ってるのよ。葵様の事は私に任せてくれないかしら」
魔力を使用せず魔族を撃退出来ない乃愛では単独行動は危険極まりない。そしてこの作戦において最も重要なのが乃愛の魔法によるキュクロの撃破。これは奇襲でなければ一撃必殺になりえない。
故に、乃愛は反論出来ない。そもそも奇襲でなくてもいいじゃないかという意見は、いつ魔族が押し寄せて来るかわからないこの状況で代案を持たない乃愛がやすやすと口にする事は出来ない。作戦通りに動くと先程約束したばかりなのもある。
「……わかった。葵の無茶は絶対に止めてくれよ、イオリア」
「ええ、任せておいて」
渋々頷く乃愛の頭をイオリアが撫でる。まるで姉妹のような光景を仲良くなったもんだと思いながら眺める葵の表情は少し険しい。なぜ自分が面倒を起こす前提なのだと、まるで御荷物のような物言いに男として物申したいと、そうムッとした葵が口を開こうとしたその時、城門にある警鐘が鳴り響く。
「行こうか」
呟き、部屋を出ようとする葵だったが、その肩を後ろから掴まれる。
「ギリアム?」
「悪いが二人は先に行っててくれねえか。ちょっと話があるんだ」
「こんな状況で何を──」
「頼む」
今は一刻も争うというのにと思った葵だったが、今まで表に出なかった魔王がこの攻勢の先頭に立っている事の方が確率は低い。そもそも魔王がいない可能性もあるのだ。ギリアムの表情も真剣であり、時間に猶予があるだなんてギリアムも思っていないだろうと、つまりはそれ程重要な話なのだと察して葵は頷いた。
「わかりましたわ。では乃愛、先に行っていましょう。私は先に街に出ていますが、乃愛は正門前で待機させておきます」
「了解、悪いな」
二人が部屋から出ていくのを待って、ギリアムは葵の肩から手を放す。そしてその手を強く握り締め、躊躇なく葵の身体を後方の本棚へ殴り飛ばした。
「何?」
まるで海面に石を投げ込んだ時に跳ね上がる水飛沫のようにして本棚から飛び出す幾つかの書物。足下に散乱するそれらを呆然と眺めていた葵だったが、口の端から顎へと滴り落ちる血に気づき、無造作にそれを拭ってギリアムを睨み上げる。
「何じゃねえよ。お前、乃愛を置いて行くような真似してその謝罪を俺に押しつけて殴られねえとでも思ってたのか?」
それはイオリアをすぐさま追った葵の行動。葵としては乃愛に危険が及ばないようにとの配慮であるし、それはそれで置いて行く形になった事にはバツの悪い気持ちではいた。
「俺は乃愛が好きだ。だから悲しませたくないし、泣かせるなんてのはもっての外だ」
その宣言に殴られた時よりも葵は唖然とする。信じられない事でもあり得ない事でもない。そして何より言い放っているギリアムの眼は本気であり、自分を焚きつける為に嘘を言っているようには見えなかった。
「意外か? ダチの連れだから手出す事はねえって安心してたか? 馬鹿な話だな。どんだけお人好しだよ。お前のいないところで俺が乃愛を襲わねえ保証はねえだろ」
現に襲いかけた事を思い浮かべ、ギリアムの怒気は僅かに静まる。自分も悲しませた身だから、葵の事を責められたものではなかったと思い出したから。
「……乃愛は泣いてたの?」
「いや、泣いてはなかったな。けど傷つくだろ置いて行かれるのは」
誤魔化すように視線を背け、ギリアムは答える。その真意を知ってか知らずか、葵は右手を手袋が軋む程に強く握り締めた。
「そっか。悪かったよ。今度からはなるべく傷つけないように気をつけるけど──」
息を吐き出すと同時にガクっと俯いた葵は、ギリアムへと一歩近づくと苦笑いを浮かべながら謝罪する。だがその言葉の後に取った行動は先程のギリアムと同じく目の前の男を殴りつける事だった。
「がはッ!?」
二人の体格差は歴然だったが、葵の腕力は体重差を埋めてギリアムの巨体が浮く程のボディーブローを繰り出した。鎧を着てはいるものの、その衝撃にギリアムはくの字に曲げた姿勢で腹を抱えた。
「ギリアムこそ、どうして咎埼を止めなかったのさ。泣かせようと悲しませようと、危険に晒すよりずっといいよ」
「……言いたい事があるのはお互い様ってか。いい根性してるぜ本当に、お前達二人は」
友を見捨てて逃げる事は当然ながら我が身大事であって非難される事ではない。けれどそういった経験を持つギリアムにとって眩しいのは言うまでもない。新しく出来た友人も、理性を見失う程に好いた女性も、ギリアムにとっては眩し過ぎた。
咎埼乃愛のような誇り高い勇猛さも、夜坂葵のように怒り任せの獰猛さもギリアムには備わっていないのだ。
むしろそれが普通で、二人が異常で、だからこそ羨ましい。自分が隣にいるべき女性ではなく、自分を頼りにするような友人でもない。イオリアもギリアムも、互いの恋敵が羨ましく、けして敵わない相手であり叶わない恋だと気づいている。
「俺はよ、乃愛が好きだ。だから今回の戦いだけは俺に任せろ。絶対に守ってやる」
だから、別に宣戦布告でも何でもないが、思った事を口にする。二人の恋路を邪魔するつもりはない。けど安心はするなという事。
「ありがとう、ギリアム」
絶対にその手を放すなよと。
「だからお前に礼を言われる筋合いはないだろうが。それにお前、殴るのは構わねえが鎧着てる奴を鎧ごと殴るなよ」
「ギリアムにはこの後でしっかり咎埼を守ってもらわないといけないからね」
葵の言葉に鼻で笑って「よく言うぜ」と一言呟き、ギリアムは散らかった部屋を見下ろす。さすがに女の部屋を男二人で荒らしたなどと思われたくはない。
ただ、悠長に片づけをしている時間もないのだが。
「葵、お前も拾えよ」
「ああ、うん」
何とも滑稽だが、二人は同時に本を拾い始める。そんな中で葵は妙な本を見つけた。書いている文字が違っているのだ、どの本とも。葵としてはそもそもこの世界の文字は見慣れないものであるが、トゥーレやカナンガで見た文字とヴァナヘイムの文字は一緒であり、外国であっても人類は同じ文字を使ってる事がわかる。
では、これは何か。
見た事もない文字がなぜイオリアの部屋にあるのだろうか。葵はふと気になりその表紙を眺めながら、背後にいるギリアムにも見えるように持ち上げる。
「ねえ、これ何かな?」
「あん? 見た事ねえ文字だが、何だそれ」
ギリアムもわからないとなると、人類の扱う文字ではないという事。では魔族の持ち物だろうか。だとしてもイオリアが所持している意味はわからないが。
「本というより……ノートかな。手書きみたいだ」
そもそもこの世界に印字で発行された本が出回っているかなど不明だが、気になった葵は表紙を開いてみる。
「おい何やってるんだ。さっさと行くぞ!」
気づけば片づけを終えたギリアムが部屋の出入り口に立っている。故に葵は一文のみにしか目を通していない本を慌てて本棚に戻し、走り出したギリアムを追い掛けて部屋を後にした。
“メリアスはゼルトナの願いを聞き届けた。楽園となった彼女の為にも、我々は奈落に眠る巨人を見守ろう”────創世記第一書第一項より抜粋。
ヴァナヘイム城下街。サイクロプスが蔓延る真夜中の街を見下ろす影が城壁の上に立っていた。
蒼と白。二つの布が交差するスカートが風に靡き、エメラルドよりも透き通った碧の瞳が眼下の街を眺めている。寒空に当てられてか、それとも視線の先で行われている戦いによってか、震えた身体を抑えるように自身の肩を抱き締める。
勝つ者負ける者、喰われる者や犯される者。腰を抜かす者や忍び寄る者、斬る者や引き裂かれる者。泣いたり笑ったり、謀り、罵り、怒り、憎しみ。魔族も人間もただ相手を殺すだけの機械ではない。
蹂躙する事への快楽。目の前で戦友を喰われる無力感、犯される恐怖に、仲間を殺されて滾る怒り。その総てが渦巻くのが戦場であり、今城壁の上で見下ろしている総て。
震える人影は瞳を閉じる。しかしそれは眼下に広がる凄惨な光景から目を背けた訳ではない。
瞳を閉じれば視界は塞がる。この状況を前にして身投げするかのような光景だが、当然そういう訳でもなかった。金色の髪に飾られた半透明なベールが風に煽られ翼のように広がり、それと同時にゆっくりと腕を前へ差し出して口を開く。
詠うは戦歌。透き通った美しい声音が月下の戦場に響き渡る。
それは魔法のように敵を討つ力はなく、それは戦技のように力を授ける理を持たない。ただ聴く者を励まし、奮い立たせる為の歌。
兵士は震えを振り払い、剣を天に掲げて咆哮する。いかに相手が魔族であろうとも、その中でも強大な種族であろうともこの地は絶対に渡さない。その意味を持つ祖国の戦歌を胸に剣を振り、槍を突き出し、矢を放つ。そのどれもがただ敵が息絶えるまで繰り返される。
これが戦場。これが戦争。追い詰められた今も、ヴァナヘイムの兵士達は戦場に身を投じている。それこそが誇り、これこそがヴァナヘイム。徹頭徹尾唯一無二、争いによって生まれ戦い続ける事を望む修羅の国。ヴィーグリーズルが成し得なかった魔族領域の占領を成して生まれた武の国家。例え圧倒的な魔族であるサイクロプスであろうとも戦わずして降伏するなど愚の骨頂。
敵を討て、戦友の屍を越えて勝利を掴め。
建国者フィル・ヴァナヘイムという大英雄を失いはしたが、彼の遺した誇りは失わない。偉大なる王の愛したこの地は絶対に渡しはしない。それが望み、それが願い。
だからだからと言い残しては一人、また一人と生命が消える。
生命の灯火、その一つ一つが最期に吹かせた神風を戦歌の歌い手──イオリア・ヴァナヘイムは忘れない。
「見つけた?」
詠い終えたイオリアに投げかけられる問い。それは今城壁の上に登って来たばかりの葵の問いかけだった。珍しく両刃の大剣を背負っているものの、歩き辛そうにも重そうにもせず平然と歩いて近づいて来ていた。
「いいえ。まだですわ、葵様。それはそうと、その剣はギリアムさんのものでは?」
「ああ、渡された。今回直接魔王と戦うのは僕だし、咎埼を護衛するのには重くて邪魔だってね」
葵の怪力は体格からはまず図れない。リオン・クロワールとの戦いでもリオンの大剣を使っていた辺り適性があるのだろう。
「ごめんね、イオリア」
そもそもなぜ葵のような突撃思考、細見だが屈強な身体、無痛症、どれを考えても重量武器による前衛の職が似合っている。なぜ斥候役の密偵なのか、イオリアが何気なく考えている間に葵はイオリアの横に並び、眼下の戦場を眺めて呟いた。
「なぜ、葵様が私に謝りになるのですか? 私は貴方に救われこそすれ──」
「咎埼の事さ」
葵が何かをする時、それは必ずそこに彼女がいる。それをイオリアは誰よりも知っているつもりでいる。少なくとも当の咎埼乃愛本人よりは。
「僕は咎埼を戦わせたくなかった。それは咎埼が魔族で不死の王がとか、色んな事があるけどそのどの理由よりも僕は“咎埼を僕が護りたい”っていう気持ちが一番強かった」
であるからして、葵が乃愛の件について謝罪したいと言われてもイオリアにはどの話かわからないし、それが直接イオリアに対して仇になった事など色恋沙汰しかない。そしてこの朴念仁が自分からそういう色恋沙汰の話題を振ってくるなど誰も考えていない。
「男の子ですからね。でもそれがどうなさったというの?」
曰く、男が女を護るもの。好きな女を護れるのが男。そこに女側の気持ちなど関係なく、ただいい格好がしたいだけの男の見栄。そういうものを可愛いと思いこそすれ、気に食わないとはイオリアは思わなかった。当然それは他ならぬ葵だからであるが。
「ハッキリ言って、僕はヴァナヘイムと咎埼のどちらを救うかという話になれば咎埼を選ぶ。さっきその我が儘を通していたら僕達は負けて、絶対にこの国は滅びていた。だけど我が儘だとしても、今も本音は咎埼を戦いに参加させたくない」
そこまで聞いてやっと葵の言いたい事がイオリアに伝わった。要するに秤にかけて乃愛は何より重く、乃愛を参加させるくらいならヴァナヘイムが滅びたとしても構わないと今もそう思っていると葵は言っているのだ。
「…………葵様。私が貴方に恋い焦がれているのは何よりもその想いの強さなのです。私とて本来はそうでありたい。王の孫として生を受けた私も、総てを捨てて一人の女として愛する人と共にいられればと、考えない訳ではないのです」
イオリアの手が葵の胸に伸びる。その胸の鼓動を聞き、触れて、感じるのは二人の絆。
「葵様。貴方は貴方の望むがままの貴方でいいのです。この私にも、他の誰もが出来ない真っ直ぐな気持ちを貫いて……」
征く道の先で王となり、そして願わくば私を隣に寄り添わせて欲しい。
その願いは、彼が彼である限りあり得ない。だからイオリアは口にしない。代わりに零れた涙は頬を伝う事なく風に誘われて、星空の光に煌めきながら戦場へと舞い落ちる。
「それでも私を、この国を救う為に戦って下さる殿方をどうして咎める事が出来ましょう。少し、妬けてしまうけれど」
愛する人へ精一杯の微笑みを向けるイオリア。イオリアのその儚い姿を抱き締める事は出来ず、葵は拳を握り締める。ならせめて安心させよう。リスクを負うこの作戦を成功させれば、ヴァナヘイムの窮地さえ救えれば、イオリアの心も安息を得るだろう。
改めてそう決心した葵の視界の中で、何かに気づいたようにイオリアは街へ視線を向けた。
「葵様、感じます。強い風……息を潜めて街へ入り込みましたわ」
「そっか。じゃあ降り……」
言いつつはしごの方へ顔を向けた葵の頬に触れる唇。三度目になるも、驚いた葵は一歩退きながらイオリアへ視線を向ける。その視線の先で、イオリアは葵へ右手を差し出していた。
「お手をどうぞ、葵様」
「え? ……ここから?」
葵の質問にイオリアは頷く。見下ろす葵。恐らく五十メートル程ある高さを目の当たりにしてイオリアを二度見する。
「あら、葵様。貴方でも憶する事があるだなんて、少々意外です」
イオリアはそう言って手を下げようとして、その手を葵に掴まれる。
「死なないし、痛みだって感じない。でも潰れたら戦えないからね?」
途轍もない程に青褪め、不安そうな顔をしているが葵はイオリアの手を取った。別段その手は震えていなかったが、その姿が可愛らしくて込み上げた笑いをイオリアは我慢出来なかった。
「ええ、御任せ下さい葵様」
そう言い残しイオリアの全身はグラリと傾くと、まるで力尽きて倒れるように城壁から滑り落ちた。
手を引かれ、葵もまた空へ。五十メートルの高さからの自由落下。怖がるなという方が無茶な話だが、葵の表情は自然体そのものだった。
黒き衣を纏う異界からの来訪者。
小さき背に国の行く末を背負う舞姫。
戦場へと舞い落ちる二つの影はまるで踊っているかのように互いの位置を入れ替える。掴んだその手を誇らしく、そして愛おしく感じつつイオリアは頭上にある戦場へ視線を向けた。
否。正確にはその先にいる魔王を見据えたのだ。
「この国の未来を貴方に託します」
憎き強風へ、愛しき狂風を放り投げる。イオリアに突き飛ばされた葵は、当然五十メートルもの高さから着地する術はない。故に少し落下地点がズレるだけに過ぎないその行為、ここから先どうするのか気になった葵の視線はイオリアへ。
葵を放り投げた反動で城壁に向かっていたイオリアは激突の寸前に身を翻し、垂直の壁に着地する。着地した城壁を地面に見立てて戦場へと駆け降りるイオリアは、その手にメッザルーナの飾り布を握り締める。
頭上で回転させたメッザルーナを周囲の中で一際高い鐘塔へ投げつける。投げ縄で標的を捉えるかのようにしてメッザルーナは鐘塔の屋根に食い込み、飛び上がったイオリアは振り子の要領で再び空へ放り出される。
向かうは愛しき者へ。再び掴み取った彼を更に街の先へ、魔王の風を感じる場所へ放り投げる。もう一度同じようにして飛び上がるイオリアはまるで戦場の空で踊るかのよう。
優雅に、華麗に、しなやかに。
妖艶にして躍然たる舞姫は彼を戦いの場へ導いていく。その最中、葵は大通りの先に立つ人影を見つける。場違いに高貴な洋服に身を纏うそれは明らかに異質そのものであり、葵の身体は真っ直ぐに人影に向かっている。
「見つけた。イオリア、掴まって」
飛んで来たイオリアの手を掴むと引き寄せ、意外そうにする彼女を両手で抱き抱えると葵は屋根を抉りながら着地し、人影の頭上にて立ち止まった。
「おやおや、見つかってしまいましたねぇ」
「覚悟はいいな、魔王」
嘲笑う一つ目の亜人──キュクロ・アルゲースを見下ろして、イオリアを両手に抱えながら葵は言い放つ。咎埼乃愛、かつてルシフェリア・ニーベルングへと群がった魔王を、夜坂葵は絶対に許さない。
「お前を、殺すッ」
極限の怒りと殺意を乗せて、夜坂葵は続けてそう言った。
更新遅れてすいません。
はなようの体調が優れなかったので先週はお休みさせて頂きました。体調はもう既に回復し、今現在は快調のようです。
さて、元気いっぱいになったはなようですが、皆様に御伝えしたい事があるそうで本人に代わりこちらでも御話しさせて頂きます。
というのも、ヒロインの一人であるイオリア・ヴァナヘイムのデザインを一部変更したとの事です。変更箇所は前髪と袖になります。理由としては今回の38話を呼んだ際、歌うシーンを思い浮かべたらこんな感じだったからだそうです。
前の髪型は作者である私のオーダーでしたが、可愛くなったので個人的には大賛成だったので今回の挿絵に反映した次第です。
ここまで話しましたが、早い話が“イオリアを可愛くしたで”という事です。可愛いでしょ?




