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楽園変生 第一部 ──不死の随伴者──  作者: 紅葉 昂
第一部【不死の随伴者】
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第036話

「魔王が人型っていうのは確かにそうなんだが、どうにも人間は勘違いしているようだな」


 イオリアや葵達が合流した次の日の夜。あと半日馬で駆ければヴァナヘイム城に辿り着くであろうというところで野営する事になった。


 当然といえば当然だが、馬にも疲労はある。しかも森の中という悪路を走っているなら尚更だ。故に一同は馬を休める為にも足を止めた。イオリアとしては一刻も早くヴァナヘイムに戻る事を考えていたが、乃愛はともかく葵やギリアムを連れて行くとなれば馬で走るしかなく、不満を口にする事はなかった。


 支度した荷物の中にある食材を乃愛が調理し、葵とギリアムのイオリアの三人がテントを張った。その後、夕飯を食べ終えた頃もまだ話は続いていた。


 話題は魔族について。


 そもそも人間は魔族と長年戦っていたとはいえ、それは近隣に生息する魔族のみ。この世界の地図は大陸全体を描かれてはいない。恐らくは惑星が丸いという事も人間は知らないのだ。


 スライムの加護があるが故に人間は守られてきた。しかし逆に、ずっと井戸の中を彷徨うしかない蛙だったのだ。最近になり、圧倒的な一部の才覚によって魔族領域への進出を果たし、人類は魔族に対しての知識を増やす事に成功した。


 しかしそれは最近であり、ごく僅かな人間達による知識だ。人類の一般常識として、魔族の詳細が知れ渡っている訳ではない。


 そもそも化け物と称する他種族に対して理解があれば、それをもはや化け物とは呼称しないだろう。


「人間の“人の形に近ければ近い程に魔王に近い”という常識は誤認なんだ。種族によってまるっきり人間の形をしている種族はいる。だからといって人間の形に近いからその種族は強いって訳でもない」


 それから乃愛はわかりやすい例えを出した。

 エルフ族は知性が高く、長い耳以外は見た目も人間と変わらない。魔力は高い個体もいるがそれ程魔族領域奥地では驚異になる事もなく、身体能力はゴブリンに毛が生えた程度。圧倒的な寿命を持っている以外に秀でた力はないと乃愛は言った。


 ゴブリン族と比較すれば確かに人類にとって脅威的な存在であったエルフ族だが、魔族領域ではそれ以上の異形の魔族がいる。確かに、ヴァナヘイムの占領後に攻めて来たとされるオーク族は強靭な種族だった。今戦っているサイクロプスもまた人の形から大きくかけ離れているにも拘わらずその強さは絶大。


 つまり人型=強いという方程式は誤りであり、あくまで異形種の魔族の中に人型がいれば魔王という凡その目安でしかない。


 人類の常識が魔族領域の常識ではない事がわかる一例だ。


「魔族からしてみれば人間は気持ちが悪いもの。スライムがうようよする場所で生きていけるとか在り得ないと、そう言っている魔族がほとんどだな。スライムっていうのは気持ちが悪いというのがだいたいの魔族の共通認識だと思う」


 これもまた一つ。魔族からしてみればスライムは近寄りたくない存在。それと共存するように生活している人間に対して快く思わないのは当たり前の事だろう。


 食事の片付けを終えたイオリアと乃愛は二人でテントに入って行く。その間も魔族についての講義のようなものは続いていた。

 見張りをしていた葵とギリアムは乃愛とイオリアの二人の声が小さくなっていった事でふと振り返り、身体を硬直させた。


「領土争い、力関係。そういった縄張り争いで、争いを好む者、力の強い者達が自分たちに都合のいい領土を得るのは当たり前の事だろ? 魔族は人間達を好ましく思わないのが普通=強い魔族達が人間達から離れた場所を領土にするという図式が生まれた訳だ」


「ある意味魔族に嫌われているおかげで、人間は今まで生き残る事が出来たという訳ね」


「まあ、そういう事だな。とはいえ私然り、人間に好意を持ってる魔族もいるにはいる。魔族の中で魔王は憧れや羨望の的でもある訳だから、外見だけで見れば人間やその他の人型の種族は好印象……」


 二人の視線の先、焚火に照らされたテントに乃愛とイオリアのシルエットが映し出される。話し声に聞き耳を立てていた葵とギリアムに聞こえて来る衣類の落ちる音。その一つ一つに二人は身を強張らせた。


「……何だ、脱がないのかイオリア」


「私、人前に肌を晒す事を禁じられているの」


 髪の長いシルエットは晒しているボディラインを撫でるように、濡れたタオルで身体を拭いているが、短い髪のシルエットは衣服を身に着けたまま器用に身体を拭いている。


「でも拭き辛くないか? 見ないから脱げばいいだろ」


 そう言って四つん這いで詰め寄る乃愛の手を躱すイオリア。


「私が肌を晒すのは次代の王にこの身を捧げる時だけよ」


 何やら話の方向性が変わりつつある。


「葵」


「うん、そうだね」


 男二人は頷き、女二人のシルエットが向かい合うテントに背を向ける。どこぞのヒロインさんは自身の裸体のボディラインがくっきりと外の二人に見られたなど知る由もないが、見てしまった男達は今後乃愛に顔が合わせ辛くなる前に遠慮すべきと感じた。


 見たい見たくないといえば勿論見たいのだろうが。


「まあ、話の続きをするとヴァナヘイムにそういうしきたりがあるように、魔族にも国ごと種族ごとにそういうのがあったりする。だからあまり人間側の常識や私の常識だけで判断は出来ない」


「そうね。魔族は魔物や動物とは違うものね」


「…………そうだ。お前や葵がさっき殺したサイクロプスも、私が殺したキングゴブリンにも家族はいたし、生きる意志があった」


 少し、責められているような気がして葵は振り返る。種族は違えど乃愛も魔族であるから、人間との視点の違いから生じる気持ちがあるのかもしれない。少し前に魔族とは外国人のようなものではないかと定義した。だというのなら、同じ外国人として乃愛は人間達の事をどう見ているのだろう。


 ……そして、何の躊躇いもなくサイクロプスを殺した葵をどう思っているのだろう。


 乃愛の価値観は葵と違う。故に葵にとって魔族を殺すという事が乃愛にとって人殺しとそう変わらない。


「そういえば、何も感じない」


 そう、価値観は違う。サイクロプスを殺しても、魔獣を殺しても、ゴブリンを殺した時も葵は何も感じなかった。

 ゴブリンの時は魔族を外国人だなどという例えをしていなかったし、魔獣は会話すら出来ず襲い掛かるだけの獰猛な獣ばかり。

 だが、先程のサイクロプスは違ったハズだ。意思疎通が可能な知性のある存在だと知って、乃愛の同胞であると知って尚殺した。


 だというのに、葵は罪悪感も何も感じなかった。


 殺した瞬間も、こうして乃愛の言葉を聞いた今も、夜坂葵は何も感じない。もう魔族という概念は他の冒険者のように討伐対象というだけではないというのに。


 いったいなぜ。


 考え得る理由は二つ。殺しなれているのか、気に病む程の感情を持ち合わせていないかである。

 一つ目の理由、これはありえないと葵は断定する。当然だ、そんな記憶はないのだから。ならば考え得るは後者。殺した相手の気持ちを汲める程の感情が存在しない事。ただあの時は必死だったのだと言えば終わりに思えるが、こうして時間が経って尚何も感じないというのはおかしな話だった。


──自分に関係がない命だから……?


 サイクロプスも魔獣もゴブリンも、葵には一切関係がない。意思疎通が可能だろうと、相手の縄張りだろうと降り掛かる火の粉は払うのが当然で、気に入らないものを徹底的に叩き潰さんとする葵という人間の性。しかしそれではあまりに勝手が過ぎるというもの。


「葵、どうした。見張りなのにボーっとして」


 名前を呼ばれ振り返る視線の先で葵はすぐ後ろまで近づいているのを見つける。彼女の言葉通り、見張りだというのに接近に気づけないでいた葵は、やってしまったと後頭部を掻きながらもその顔は無表情だった。


「咎埼はさ、僕の事どう思ってるの?」


「ななっ!? い、いきなり何だ!?」


 葵の視線の先、乃愛の背後ではイオリアと見張りを交代したギリアムがテントに向かっている。交代する程の時間を呆けていたのかと思い、何事もなかった事に葵は安堵した。とはいえ今の問いは安堵から口が緩んで口走ってしまった言葉ではない。


「僕は今さっき魔族を殺した。別の種族とはいえ、咎埼の同胞を殺した。その僕を、咎埼はどう思ってるのかなって気になったんだ」


「あ、ふーん。そういう事か」


 少し拗ねたように唇を尖らせた乃愛は視線を背けつつも葵の隣に並ぶ。しばらくそのまま周りに視線を泳がせるも、特に異常もない故に視線はすぐに葵に戻る。


「いつもの事なんじゃないか、とは思う。お前は私に人殺しと思われているのではと案じているのかもしれないが、特にそういう事は考えていない」


「いつもの事? 考えないって……どうしてさ?」


「だってお前、考えるより先に手が出るタイプだろ」


 即答され、葵は頭にタライでも落とされたような衝撃を受ける。


「後者について、目の前の仲間を助ける為に殺したのを人殺しと言うつもりはない。こうして戦いに行くのも、お前は私の為と言ってくれた。だから、お前が心配するような事を思ってはいないんだが…………お前の母親に合わせる顔がないとは思ってるかな」


 これでも結構いろいろ考えてるんだとか思っていると、乃愛は苦笑いを浮かべてそう言った。母親という単語が葵の中で反響する。


「僕のお母さん、か。気にしなくても大丈夫じゃないかな。きっと許してくれると思うし」


 そういえばジョブマスターを母親に似ていると懐かしく感じた。顔も声も覚えていない母親ではあるが、あの密偵のジョブマスターに似て厳しく気前のいい母親であれば女を守って殺しをやったと知った際、逆に褒めてくる可能性もあるのではないかなどと葵は知りもしない母親を想像して僅かに笑みを浮かべた。


「そうだな。けどきっと悲しむだろう。気が弱くて優しい人だったから」


「…………え?」


 互いに懐かしんでいたが、乃愛の言葉に葵は想像をシャットアウトする。

 気が弱くて優しい人。それが母親だというのなら、ジョブマスターに感じた母親とは何だというのか。そもそも自分みたいな人間の母親が気が弱くて優しい女性だなんて違和感しかないと、葵は乃愛の言葉に疑いを以って問う。それは言葉にすらなっていないものだったが、乃愛が意味を知るには充分な声色をしていた。


「ああ、そうか。すまん、葵は覚えていないよな」


 だが乃愛は否定しない。彼女が嘘を吐く理由もなければ葵自身確かな記憶がある訳でもない。


──……そういえば、僕は僕自身の事すら知らないんだったな。


 そんな自分が母親を知る訳がない。


 他人の方が自分を知っている感覚。それは咎埼乃愛という好感を抱いている相手だとしても、気分のいいものではなかった。


「いいよ。どんな人だったのか気になっただけだし」


 そう呟いて、葵は黙り込んで夜空を見上げた。


 母親。自らをこの世に生誕させた根源であり、葵を形作る血肉を創造した者。その者の記憶が自分の中のどこにも存在しない事に葵は違和感を覚えた。


 見たハズなのに、と。


 もう覚えていない記憶。忘れ去った自身の一部。その中の、起源と呼ぶべきその場所から見た母と呼んだ者の面影を葵は脳裏に浮かべた。











 森の中、時折響く地鳴りのような足音や獣の鳴き声。暗い森を照らす月明かりの下、響く地鳴りによって時折波紋が生まれては、緩やかな流れでそれを押し潰す川。月光に反射して煌めくその川のほとり、一人の男が焚き火の前に置いた丸太の上に座っていた。


「本当に、馬鹿ばっかりとはこの事ですねぇ」


 男は貴族だろうか、金の装飾があしらわれた黒服を纏うその風貌はエレガントと評するのが妥当なもの。頭を抱えるその指も、その右手を支える左腕も、丸太に腰かけた組まれた足。月明かりでほのかに青くなった黒髪や、胸ポケットに見える真っ白なポケットチーフも華やかに折りたたまれていて、左右対称の整った顔立ちも言わずもがなどれをとっても品のある男だった。


挿絵(By みてみん)


 その顔面の大きな一つ目以外は。


 一つ目故に一目でわかる異常な存在。人間の形に酷似したサイクロプス。もはや語るまでもないその男は、しかし一族の頂点に君臨する存在であるにも拘わらず呆れ果て、どこか疲れているようにも見える。


「私の計算では人間の国なんぞとうの昔に占領を終えているのだ。だというのに、あの馬鹿共と来たら……」


 否、一族の頂点に君臨しているからこそ、彼は疲れ果てていた。サイクロプスは言わずもがな、現状人類が知り得る中で最も高い戦闘能力を持っている。

 一部、魔族領域の奥深くにまで足を運んでいる例外を除いての話ではあるが、そんな種族が群を成して攻め入れば力の差は歴然。にも拘わらずヴァナヘイムが長く持ち堪えていられるのは、当然ヴァナヘイム軍の戦力や軍備によるものもあるが、最も大きい理由はサイクロプスの頭の悪さにある。


 単純に、馬鹿なのである。


 強力な破壊力を持ち、硬い皮膚に覆われた巨大なサイクロプスも、俊敏で鋭利な爪と牙を持つ小型のサイクロプスも、性欲や食欲、その他生物として持ち得るあらゆる欲求に弱く、協調性や記憶力に乏しい。

 戦闘中にぶつかった事を切っ掛けに喧嘩に、そこから殺し合いに発展する程に頭の悪い種族であるからして、ヴァナヘイムは歴然とした戦力差でありながらも知略を駆使して戦って来た。


 逆に、その頭の悪い眷属を持つ人並みの知性を持った魔王はどう思っている事だろうか。


 指示した事は忘れる故にいつの間にか進軍せず寝たり遊んだりの繰り返し。死因の多くは喧嘩してからの同士討ちが半数程。そんな同族を見続け、一人だけ頭のいい指揮官はどう思うだろうか。

 答えは簡単だ。故に、今に至るのだ。使えない部下に頭を悩まされ、項垂れている。


「まあ、いいでしょう。どうせ他所の連中は人間の国になど興味はない……」


 独り言を呟きながら川を眺めていた魔王の視線が周囲を見回す。川に波紋を作る地鳴りの間隔、大きさが増えつつある。様子がおかしいと、そう悟った魔王は周囲を警戒し始めたのだ。

 そして魔王が感じたその妙な胸騒ぎが正解であると告げるように、その地鳴りは近づいて来る。それは眷属であるサイクロプスのものではあるだろう。大型であれば走る際に地響きや地鳴りを起こす。が、今問題視しているのはその数だった。

 少なく見積もって三頭の大型のサイクロプスが魔王の元に帰って来ている。


「……何事か」


 普段バラバラな行動をする者達。指示した事を数分で忘れるような馬鹿共が、なぜ唐突に同じ行動に出ているのか。長く彼等の長を務めている魔王さえ、こんな経験は滅多にない。


 そう、滅多にない。


 七年前にあったハズだ。ヴァンパイアの娘一人に怯え、私の言葉すら無視して逃げ出した事があったと、魔王は古い記憶を思い出す。

 怯えていれば逃走する。だが味方が多い局面において逃げ出す事など早々ありはしない。

 すれ違っていく小型の同胞達。片腕を失った者や足を失った者が多い事から、推測は間違っていないと魔王は確信した。


 魔王に匹敵する何かがこちらに迫っている。


 三体の大型のサイクロプスが擦れ違い、魔王を盾にするように後ろに控えると額に筋を浮かべるも今更かと魔王は腰に携えた鞭を握り締めた。とはいえここは人類領域。何かしら懐かしさを肌で感じて胸騒ぎはするも、サイクロプスの圧倒的優勢を脅かす程の者が存在する訳がない。

 そう感じつつも、鞭を握る手に汗を浮かべる魔王。いったいなぜか、それは本人が一番問いたい事だろう。


 聞こえるのは馬の足音と鎧が擦れる音。同胞を追い立てた元凶の来訪に、魔王は月明かりが差し込まない森の暗闇を見据えていた。


「ようやくです。やっと会話の出来そうな者を見つけました」


 姿が依然見えぬまま、来訪者は語り掛ける。すると魔王は小さく舌打ちをした。


「御初に御目に掛かりますねぇ。私はキュクロ・アルゲース。私に用ですかな?」


「そうです。私はお前に用がある」


 現れたのは大きな黒馬に跨る黒い騎士。紅い六つの眼光がサイクロプスの魔王──キュクロ・アルゲースを見据える。一つの眼と六つの眼が視線を重ね“姿を見る事を待ちわびていた”キュクロはしかし本来やるべき事を忘れてその口を開けて後退りする。


「き、貴様……ニーズヘッグ!? なな、なぜ生きて……」


「ほう、話が早そうで助かります。お前もこの鎧を知っているのであれば、私の欲する解答が得られるかもしれない」


 両手を見下ろし、リオンは仮面の下でニヤリと笑う。一方でキュクロは話し振りから知人ではないと察し心を落ち着かせる。


──そうだ。奴は死んだのだ。もし生きていたとするなら、七年前に現れない訳がない。


 額の汗を拭い、懐かしさの正体を知ったキュクロは咳払いを一つ。背筋を伸ばして襟を整えると、鞭を握り締めた右手を左腕に添えるようにして優雅な御辞儀をして見せた。


「して、何用ですかな? どうやら人間のようですが……。ああ、なるほど聞いた事がありますねぇ。我等の領域に踏み入っている相当に腕の立つ人間がいると。……であれば、私の命が御所望ですかな?」


「私は聞きたい事があってここに来ました。別に、お前でなくとも構わないのですが、一番近くにいそうだったので捜したまで」


「それに付き合ったとして、私には益がないのでは?」


 鼻で笑い、やれやれと両手を天に仰がせるキュクロ。目に掛かる程伸びた前髪を弄りながら、どうしたものかと考え出す。


「では問いに答えて頂けるのなら、私はお前を殺さない。というのはいかがですか?」


 しかしその一言で、考えていた内容の総ては頭から飛んで行った。今何と言っただろうかこの人間は、と真っ白な頭の中で疑問を浮かべ、聞いた言葉を再認識する。


「ふ……ふははは、ふはははは。いや、失礼を……ふふ、くく。いいですねぇ、とてもいい。気に入りましたよ人間。質問を許可します、私の知る限りの総てを御話し致しましょう」


 鞭を腰に戻し、周囲に散るように眷属へ目配せした後、キュクロは焚き火の前の丸太に再び腰掛ける。トトンと人差し指で隣を促すも、焚き火を挟んで正面に移動したリオンを見てキュクロは小さく笑んだ後に両手を顎の前で組んだ。


「それで、質問とは?」


「この鎧の魔王の娘、ルシフェリア・ニーベルングについて、知っている事の総てを話せ」

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