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楽園変生 第一部 ──不死の随伴者──  作者: 紅葉 昂
第一部【不死の随伴者】
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第011話

 呟いた後に葵の視線は足を止めた二人に注がれる。呆けている二人の表情に葵は見覚えがあった。

 誰かを助ける為に自らの身体の損傷など厭わず、そして敵と呼ぶべき相手には一切の容赦も挟まず潰す。比喩的な表現を含まず、文字通り葵は記憶を失ってからもそう在り続けた。

 先天性無痛症である彼からしてみれば当然の事。葵は動ける限り拳を振るえる故に、全身全霊の暴力は体格差も加減すらも関係なかった。


 現実はフィクションとは違う。目的は人助けだとしても、本物の暴力は見る者総てを恐怖させる。


 ある時は暴走族や信号無視したバイクから子供を救う為。


 ある時はしつこく付き纏う不審者から女性を護る為。


 ある時は素行の悪い男達から弱い少年を助ける為。


 場所も時刻も関係なく、葵は目に留まったそれ等総てを文字通りに破壊した。

 それは誰かに感謝されたいが為ではなく、誰かを救った自己満足に浸りたいが為でもない。

 ただ単純に、加害者が許せないだけ。事実、葵が関わったそれ等の事柄に負傷者は必ず存在する。彼が介入する事によって、傷を負う者が入れ代わるだけだった。


 彼、夜坂葵は正義の味方になりたいと願う者ではない。


 法律で救えぬ誰かを救済する者でも、盾となって誰も傷付かない事を願う偽善者でもない。信念も何もなく、腹が立ったから。そう感じ、思ったから力を行使する。

 故に、彼に救われた者は一人として存在しなかった。形として助けられた者すらも、今のシルトやリーベと同じくただ茫然と眺めては葵に恐怖するだけだった。


「……野郎」


 故に葵は「この世界でもこういう風に見られるのか」と、呟く事もなく落胆して小さなため息を吐いた。

 だが、


「馬鹿野郎! 無茶してんじゃねえよ!」


 足を止めていたシルトは怒鳴りつけると、横にいたリーベをなりふり構わず脇の下で抱え込んで駆け出した。

 そのまるで鬼のような形相に瞬きを一度。面食らった葵は思わず後退るがたった一歩で二人との距離が空く事はなく、物凄い勢いで駆け寄ったシルトの腕から解放されたリーベが素早く瞑想を開始するのを見ているだけになった。

 魔法が起動する前にシルトが葵の腹に刺さった剣を抜き去り、待機しているリーベに目配せする。


「“ヒール”」


 目を見開いたリーベの身体を駆け巡る碧い光の線。それは彼女の手に収束し、名を紡がれて起動した癒しの光となって手の平の先に佇む葵の身体を覆い始める。

 みるみる内に傷は再生するも、葵は怒鳴られた意味が理解出来ずに未だ目を丸くしていた。


「ったく、無茶しやがって。誘って正解だったぜ」


 そんな彼の目の前で呆れるようにシルトはため息を一つ。葵は首を傾げるだけで、彼の言葉の意味がわからない。そうしている内に治癒が終わり、リーベが葵の正面にズイっと歩み寄る。


「葵さん」


「な、何?」


 顔は笑っているが声はいつもより低く、陽気なリーベらしからぬものに変わっていた。どうしたものかと葵の視線はシルトに流れ、しかしシルトは両手を交差させて「俺、ノータッチ」などと小声で呟いている。


「私、怒ってるの」


「ああ、うん。薄々……」


 リーベの様子を元の世界の映像作品で見た事があったので、葵は特にその言葉に意外な物を感じはしなかったが、相変わらず“何故怒っているのか”はわからなかった。


「どうしてかな?」


「何が?」


「だ、か、ら! 私が怒ってる理由!」


──そんな事知る訳ないよ。


 後頭部を掻きながら視線を泳がせる葵。さて、自分は彼女を怒らせるような事をしただろうか。初のゴブリン討伐に成功した訳だから褒められこそすれ、怒られる理由にはならないだろう。と、考えていた所で先程のシルトの言葉を思い出した。


『無茶しやがって』


 無茶な事というのは何なのだろうかと葵は再び視線を泳がせた。葵が行ったのは言うまでもなくゴブリンの討伐だ。これは冒険者が行う当然の事であって無茶とは言えない。例えば商人がゴブリンに向かって特攻した、というのであれば無茶だと誰もが思うだろう。

 しかし葵は冒険者だ。冒険者が魔獣や魔族と戦うのは責められるような事ではない。


「……あー、一人で戦った事かな? 仕方ないじゃん。あの状況で背中見せたら殺されてたよ」


 葵は予想した事を口にすると同時に理由を話し、怒ったリーベをなだめるように両手を向けて落ち着かせようと試みる。

 が、やっとの事で考え付いた葵の回答はリーベの思う所ではなかったらしく、葵やシルトと比べて小さなその肩をワナワナと震わせ始める。

 あ、これマズったかも、と葵が思い浮かべた所で後ろで様子を見ていたシルトが間に入った。


「まあいいじゃないか。こっから先は俺が前に出るし全員で戦えばいい」


「でもシルト!」


「それともいつゴブリンの仲間が来るかわからないこの場所で、ずっと睨めっこでもするつもりか?」


 冗談はよしてくれと言うようにシルトがリーベを宥めると、彼女は不満気に頬を膨らませてから俯くように頷いた。


「わかった。もう何も言いません」


「よし。葵も次は俺を盾にして戦うといい。わかったな?」


 葵が頷いて見せるとシルトは彼の肩を叩いて歩き出す。それに続いて歩き出したリーベと葵は、これまでの道中が嘘だったかのように気まずい雰囲気だった。

 視線は合わせず、隣を歩く互いに口を開く事もない。薬草の依頼に関しては充分な量の薬草をこれまでの道中で採集していたので問題はなかったが、居心地の意味では問題だった。


“夜坂葵は他人の痛みがわからない”


 葵と乃愛が生きていた世界での彼の風評。それは彼が他人を庇った際に、先天性無痛症故に加減がわからずやり過ぎる所を見た人間達が流した噂。

 それは彼が先天性無痛症だと知らない者達が話す事だ。誰も彼もが葵を理解しない故にそう言って迫害し、避けていた。

 それは少し前に乃愛と葵が話していた別の話題と同じ事。


 甦生魔法がある場合、その世界は生命を尊ばない。


 失っても戻って来るなら、それは者であれ物であれ何であれ、失う事を誰も悲しまない。そういう世界が出来上がると葵は思った。

 だから甦生魔法の有無を問う事は出来ないと、それは生命を軽んじている発言であるからだと、葵は異世界の住人達に問う事はしなかった。


 であるのなら、先天性無痛症の彼は痛みを知らない者で、痛みという概念を知っていたとしても限度も加減も正常な人間より疎いのは当然だ。故にそういった風評が流れてしまったが、理解しないが故の評価。そういう理屈に葵は理解されない事に僅かな怒りを覚えながらも諦めていた。

 が、この異世界。少なくともシルトとリーベは別だった。


 仲間に傷付いて欲しくない。


 本来誰もがそのハズだ。葵でさえ乃愛を護ると決意しているのだから、それは理解出来ない事ではないハズだった。だが、葵は自身が痛みを感じない故に“葵自身が傷付く”事に何の躊躇いも持っていない。


 それこそが葵の狂戦士適性が他を圧倒している理由だろう。


 それは才能と呼べる物でもあるのかもしれないが、葵を仲間と受け入れた者達からすればどう思うかは最早語る必要もない。


──……倒せたからいいじゃん。


──……もうちょっと身体を大事にしないと駄目だよ。


 先程のゴブリンの攻撃を葵は避けようともしなかった。避けようと思えば避けれたハズだったが、彼はそうしなかった。


 何故?


 そんな事は問うまでもない。標的を逃がさないように自身の身体で武器を封じ込めて“確実に標的を殺す為”だ。そういう戦い方だとわかったから、リーベは心配すると同時に彼の戦い方に怒りを覚えたのだ。


 葵とリーベが話す事がなくなってから一時間が経った頃には、目標としていた辺りの山奥に到着する。今回の依頼内容はゴブリンの撃退である事から、街からこの辺りの山奥までにいるゴブリンを討伐ないし追い払えばいい。

 この場所に到着するまでに討伐したのは三匹、撃退が七匹と依頼達成と言っていいだろう。

 シルトがゴブリンを引き付け、葵による背後からの奇襲や、リーベの回復魔法や光の弾を発射する遠距離支援攻撃で無理なく戦う事が出来ていた。

 とはいえ、未だ葵とリーベは黙ったままだったが。


「んじゃまあ、帰るとするか」


 そう言ってシルトが踵を返した時だった。近付いて来る足音。それは人間の物にしては音が大き過ぎ、そして近付いて来る速度があまりにも速過ぎた。葵が二人に知らせる前にシルトやリーベもそれに気付き、三人は木々が生い茂って狭まった視界の先を睨んで武器を構える。

 近付いて来る足音を聞くに二つ。しかしそれは毎度同じ間隔で響いている事からゴブリンの足音でない事は明白。


──……ま、ゴブリンが二人三脚でもしない限りは。


 人間を襲う際にそんな行動を取る酔狂なゴブリンがいるのなら愉快な限りだが、ここに来るまでに遭遇したゴブリンの様子から考えて在り得ない。

 ゴブリンの生態をよく知らない葵だったが、今までに遭遇したゴブリンは気性が荒く感じた。元々ではなく何らかの理由で“殺気立っている”ようにも思えたが。


「馬、かな」


 酔狂なゴブリンではない限り、四足歩行の獣の足音。そして元いた世界でも聞き覚えのある足音は、馬のそれに酷似していた。トゥーレに訪れた際に荷台を引いていた馬がいたのを見て、この異世界にも馬が生息している事を知っての発言だ。

 もっとも、この世界でその動物を馬と呼称しているのかはわからないが、葵の口はそれを考えるよりも先に言葉を零した。


「って事は人かな?」


 そう呟いたのはリーベ。彼女の発言から葵の発言した名前がこの世界でも共通している事がわかった。互いに視線を重ねて頷き合い、先程まで話していなかった事を思い出して同時に視線を背ける。


「喧嘩した恋仲みたいだな」


「ちょっとシルト、変な事言わないで!」


 自身の背後で行われている二人のやり取りに対しての感想を呟いたシルトだったが、凄まじい早さで大声が降り掛かる。顔を真っ赤にしては彼の耳を引っ張り、何やらシルトに言い聞かせているようだったが、葵の視線はそれを無視して足音の方へ向けられていた。


挿絵(By みてみん)


「随分賑やかなパーティーだな」


 前足を上げて鳴く馬に跨る銀の鎧に身を纏う男。その手に持っているのは真紅の飾り布を纏い、陽の光を反射する黄金の槍。長い金髪は首の後ろで束ねられ、キレ長の瞳は蒼く自信に満ちた眼光で葵達を見下ろしていた。


「アンタは?」


「ちょっと葵! 右手、右手!」


 品定めしているようなその視線が気に食わなかったのか、葵は不躾にそう問い掛けたが、リーベは葵に男の右腕を見るように人差し指で誘導する。


──……金のプレートか。


 金のプレートを用いた腕輪。それを所有する冒険者。つまりジョブマスターと同クラスの聖戦級という事になる。

 高価そうな装備をしている彼は金色の前髪をかき上げて瞼を閉じると、その口元の端を僅かに尖らせて笑みを作る。


「いや、礼を欠いたのはこちらだよ。私はライヒ・ヘリッヒカイト。見ての通り槍術士(ランサー)だ。君達は……傭兵級だね」


「は、はい!」


「いや、悪いけど僕は奴隷級だよ」


 ベルトに取り付けていたプレートを外して持ち上げて見せる葵。それは話を折りたい、と言いたげに。

 見るからに裕福そうな身なりをした冒険者。そのキザな仕草と高圧的な視線がどうにも鬱陶しく思えたから。とはいえ、これ以上は失礼過ぎるかと、心の内でため息を吐いた葵はこれ以上は話の流れに任せようと決めた。


「単刀直入に言おう。冒険者ギルドからの調査を頼まれた。依頼内容はゴブリンの住処の調査だ。君達も別の依頼を受けているようだが、ゴブリン達の様子がおかしくはなかったか?」


「そうだな。ここに来るまでに十体程出くわしたが、この先ならともかくこの道中でこれ程遭遇するのは珍しいと思ってた所だ。何かあったのか?」


「今朝、連続した妙な地響きがあったろう? 冒険者ギルドの話ではこの近くの山で大穴が空いていたそうだ」


 近くの山で大穴。このワードで葵はふと自分と乃愛がこの異世界に降り立ったあの地点ではないかと考えを張り巡らせる。

 妙な地響き、と彼等が話しているのだ。いつもの事ではないのなら、今日あった異例の事と言えば葵の考えられる事は一つだけだったから。


「もしゴブリンの住処がその地響きによって何らかの被害を受けていた場合、住処を移すだろう。その調査が私の受けた依頼だ。君達にはそれに同行して貰いたい」


「ちょ、ちょっと待って下さい! 私達は傭兵級ですよ!? 魔族領域をこれ以上進むのは危険過ぎます!」


 言いながら、リーベは葵に視線を移す。彼女の考えは至極単純。ライヒの申し出を断るように言っている事は、彼女の思う総てではない。

 それはリーベの様子を視界の隅で見ていた葵にもわかる事。ゴブリン族は魔族。それは必ずその長が、魔王が存在するという事。それはリーベが葵に教えた事であり、彼自身ギルドの掲示板を見て知っている。


 キングゴブリン。


 その名で掲示板に貼り出されていた個体。住処を移そうとしているなら、必ずその個体も住処を出ているだろう。魔族の中でも最下級とはいえ、魔王は高位の存在。とても奴隷級の相手に出来るものではない。


「そんな事を言っている場合ではないのだ。もし住処がトゥーレに近付いた場合、いち早く冒険者ギルドに知らせねば何十人の新米冒険者、商人達が被害に遭いかねない。そして今は人手不足。これは階級権限と思って貰って構わない」


 しかし、情報は何より勝る武器だ。対立している勢力がある場合、情報のあるなしで戦局は大きく変わって来る。スライムの存在のおかげで滅多に魔族は人の領地を襲って来ないというアドバンテージがあるのにも関わらず、人間は一度しか領地の拡大に成功していない。

 それ程に圧倒的な格差が何なのかは葵はまだ体験していないが、確実に存在する力の差が何かしらあるのなら、その情報は絶対に必要不可欠な物だ。


「ねえ、階級権限って何?」


「何だ、そんな事も知らないのか? 任務地が重なった際、依頼遂行に支障をきたさないよう設けられた冒険者の階級による指示系統さ。君は奴隷級だから、今後の事を考えるなら従っておくのが得策だよ」


 キザな仕草で前髪を払うライヒ。従っておくのが得策、というのはあくまで命令ではないという事。そもそも自由がモットーの冒険者達だ。命令を好んで聞く者も少ないだろう。


 しかしだからといって任務地が重なった場合、冒険者ギルドとしても階級が上の者が受ける事の出来る依頼の方が重要であるから、優先順位を各々が意識する為に設けられた制度なのだろう。


 従っておくのが得策、というのはそういう意味だ。冒険者が冒険者ギルドの意向に従わないのなら、余程の強さで有用価値を示さない限り、今後依頼も受ける事は出来なくなっていくのは明白。

 そして強さを示すには依頼を受けて魔物や魔族を撃退する事が一番手っ取り早い。


──なるほど、奴隷級ってのは中々的を射たネーミングだね。


 つまり、最初は従って強さを示せるチャンスを逃さないのが冒険者の鉄則と言える。冒険者の階級に奴隷と名がつけられているのを不審に思っていた葵は、目の前の上級冒険者の言葉を得てやっと疑問に納得する事が出来た。


 さて、ではどうするか。シルトやリーベは傭兵級であるから、一度や二度階級権限を無視した所で生活に支障は出ないだろう。だが葵は奴隷級。従わなければこれからの冒険者としての生活に確実に支障をきたす。

 そこまで考えを整理して、迷う選択肢がそもそもないじゃないかと心の中で苦笑いを浮かべながら葵は頷いた。


「わかった、行くよ」


「……いい返事だ。奴隷級」


「精々足を引っ張らないように努めるよ」


「ちょっと葵」


 話が進んだ事でリーベが異を唱えるが、葵が考える通り選択肢が用意されている訳ではない。確かに初の依頼で聖戦級の階級権限を使われる事など稀で、冒険者ギルドも気にしないのかもしれないが、逆を言えば任務達成すればその功績は大きい。


 守護級は無理だとしても傭兵級にはなれるのかもしれない。初の冒険で傭兵級になれば、名は上がるのは当然として受けられる依頼の幅が広がるのは確実だ。


「大丈夫。もう無茶はしないよ。それに聖戦級だっているんだ。早々危ない目には合わないよ」


「本当に無茶しないのなら……いいけど」


 シルトに視線を向けるリーベだったが、彼が頷いた事で渋々了承する。


「では行こうか。私の仲間が二人、先に様子を見に行っているからまずは彼等と合流しよう」


 言ってライヒは馬を歩かせ、葵達もそれに続く。歩きながら、シルトは葵に視線を向けた。


 胆が据わり過ぎている。


 田舎者。それもスライムの存在すらも知らない人間。どこから来たかはこの際シルトはどうでもよかった。ただ単純に、もしかするとゴブリン族の魔王と対峙するかもしれないという誘いに、階級権限とはいえ二つ返事で受ける事が果たして新米冒険者に出来るだろうか。


 少なくとも、シルトが冒険者になった最初の依頼では魔獣相手にビクついていた。


 その脳裏に、一人の少女の姿が浮かび上がる。華奢な手足にも関わらず人間離れした速さで駆け、追うだけで精一杯だった背中。その細い手が振るうのは血も涙もない剣捌き。


 生物に対する情けも、生命を奪う躊躇いもなく、目の当たりにした総ての魔獣を斬り裂いて回った自身と同時に冒険者になった少女の瞳。


──……才能、か。


 あれから数年が経ったというのに、シルトが未だ追いかけているのは初めて冒険者となった時に出逢ったあの背中。シルトはあの日の冒険者、リオン・クロワールの面影を葵に重ねる。


 現在覇者級である彼女の、かつて目の当たりにした圧倒的な強さが葵にある訳ではない。だがその度胸と、ゴブリンを殺す為に身体を犠牲にした葵の瞳はよく似ている。

 自身にないのはそういう才能だ。どれだけ身体を痛めつけ、どれだけ強靭に身体を鍛え上げてもまだあの日のリオンに追い付かない。単純に、闘争本能が欠けている。


 故に、自分にない才能を持つ葵がシルトには眩しく見えていた。

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