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痛-3 〇は口ほどに物を言う


 また暗闇の中で目が覚める。どうやら目隠しが外されているようで、ここが何処なのかはっきりと分かった

 少し前にクラヴさんから作って欲しいと頼まれて作った"洞窟"。あの時は貯蔵庫にすると聞いてたのに・・・

 

 

 「お?目が覚めたかい、レクイエム」

 

 

 右の壁の方に、ラーディさんが居た。外から持ってきたであろう椅子にゆったりと腰掛けている

 

 

 「ラーディさん・・・どうしてこんな事を・・・」

 

 「ああ、それならあいつに直接って言いたいが・・・。君の言葉には一切耳を貸さなくなったからねぇ・・・」

 

 

 ラーディさんはやれやれといった具合に肩をすくめる。・・・この人はあまり変わっていないようで少し安心出来た

 

 

 「お前さ、前に追っ払った盗賊共が死んでたのは見たよな?」

 

 「・・・・・・はい」

 

 「普通、あんな人数を君みたいな子供が殺れる訳が無いって思う所なんだが・・・。君は色々と普通じゃなかったからな。クラヴは完全にお前が殺ったって信じ切ってる」

 

「でも、僕は何も・・・」 

 

 "何もやってない"と言おうとしたが、途中で口を閉じた。自分は殺めてないといくら言っても全く信じてくれずに、今まで痛めつけられたのだから

 

 

 「だろうな・・・というか、あの戦花さんの子供だしな。そもそも殺ろうなんて考えないだろ・・・」

 

 

 ラーディさんはうんうんと頷き、僕の言葉を信じてくれた。けれど、信じてくれただけで助けてくれそうにない

 

 

 「悪いが・・・って、前にも言わなかったか?脅されてる以上、俺は何も出来ない。したら俺が殺されちまう」

 

 

 それを聞いて、またいつもの暗い表情に戻る。そして、どうしようもない事をボソリと呟く

 

 

 「・・・皆・・・僕を助けてくれない・・・」

 

 

 そうしていると、ラーディさんがこちらに近付き、僕の顔を上げる

 

 

 「だから、君には先に謝るよ。すまない、君の事は助けられないし、寧ろずっと傷つけることになる」

 

 

 ふとラーディさんの手をよく見ると、よく分からない奇妙な道具があった。三本の鉤爪のような部分がガシャガシャと掴むように動き・・・それが近づいてきて・・・

 

 

 

 

 

 

 僕 の 左 目 を ・ ・ ・ グ チ ャ リ と 掴 ん だ

 

 

 

 

 

 「あ・・・ああああ・・・・・・!!!」

 

 

 突然の出来事で、何が起きているのか分かってない。ただ、痛みはさほど感じなくなっていた自分と、今こうしてグチャグチャと目をかき混ぜられているような不快感だけがあった

 

 

 「ら、ラーディ、さんっ!・・・なんで・・・!!」

 

 「・・・・・・動かない方がいいぞ。余計に痛みが増える」

 

 

 ラーディさんは黙々と"作業"をしていた

 

 目をぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、・・・・・・

 

 

暫くしてその感覚が無くなり、ラーディさんが道具を外す。先程まで銀色だったそれは、紅く染まっていた。そして・・・その鉤爪には・・・

 

 

 

 

 ・・・自 ら の 目 が 取 ら れ て い た

 

 

 

 

 「・・・っ!返せ!!」 

 

 

 意味もないのに、咄嗟に取り戻そうとした。無くなったそれを、取り戻しても意味の役にも立たない│それを・・・

 ラーディさんに食ってかかろうと鎖をガシャガシャ鳴らしていると急に目の前の風景が落ちていき、ぐるっと一回転して横向きになる。・・・いや、景色がそうなったのでは無かった

 目の前には両手両足を鎖で縛ら、首から上が無い自分の身体があった。その後ろにはスミスさんが居て、手に血塗れの大きなナイフを持っていた

 

 

 「・・・・・・」

 

 

 そのまま眼を閉じて、そこで意識が消えた

 

 ・・・ああ、誰か・・・この際誰でもいい・・・・・・。神様でも・・・悪魔でも・・・

 

 

 この苦痛の日々から・・・僕を助けて・・・・・・

 

 

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