痛-2 ○切り△万
スーパー八つ当たりターイム
また気がつくと、今度は手足に違和感を感じた。鎖で繋がれていたはずだったのに、今は椅子に座っていた
・・・目隠しをされていて、何も見えていないのは変わらない
動こうとすると、足は椅子に固定されていて動けず、手は指先に金具をハメられていてこちらも動けない
「・・・・・・?」
口の中にあった血の感覚はなくなっていて、切られたはずの舌も元通りになっている
「・・・ん?今こいつ動いたか?」
「はぁ・・・クラヴを呼んでくるか・・・」
二人の声が聞こえてくる。片方は村長を呼びに何処かへと歩いていったらしい。声に聞き覚えがあるが、それを考えるよりも先に口が出る
「た、助けてください!!僕は何もしてないんです!!何も・・・!!」
「あー悪いね、レクイエム。こっちも半分脅されてる身なんでな。助けたら俺が死んじまう」
あっさりと、軽い口調で返された。助ける声を、命乞いを、まるでなんとも思ってないかのように・・・
ただ、この軽口には覚えがあった
「・・・・・・ラーディ、さん?」
「おーおー、俺なんかの事を覚えてるとはねー。流石はあの人達の子供ってところかい?」
「・・・ラーディ、無駄口を叩くなと散々言ったはずだが?」
「あ・・・、すいません村長。つい口が滑って・・・」
足音と共に・・・また・・・聞きたくない声が聞こえてきた
先程まで開いていた口を閉じ、すぐに黙り込む。本能のような何かが危機を感じ取り全身が震え出す。
「・・・さて、と。そんじゃこいつを使ってみるかね」
そう言って、彼はガチャガチャと何かをいじりだした。
・・・その直後
「痛・・・・・・あああああああ!!!」
指を1本ずつ、いっぽんずつ、"切断されていく"
痛みに叫び、血は流れ落ち、また今も、僕への拷問が始まった
「痛い・・・!痛い痛い痛い痛いいたいいたいイタイイタイ・・・!!!!」
全身が震え上がり、歯はガチガチと鳴り響く。斬られて、無くなった指を必死に動かそうとして、また血が溢れる
「ほう・・・この程度では足りん、か」
その声を、その言葉を聞いて、より一層の恐怖に落とされる
嫌だ・・・いやだいやだいやだいやだ!!どうか眠らせてくれ!どうか痛みで気を失わせてくれ!!
「おい、スミス。確かハンマーがあったよな。それで叩きまくるぞ」
「・・・・・・ああ」
そして・・・今度はハンマーで頭をひたすら殴られた。歯は何本も折れ、激痛が幾度となく続いた。その鎚は、腕や足にも振るわれ、その度に骨が折れたり、ぐちゃぐちゃに潰されていく
既に心が折れている僕は、ただひたすらに祈るしかなかった。早くこの痛みから救ってくださいと・・・もし神様が居るのなら、どうか僕を助けてくださいと・・・
されども痛みは続きに続き、彼らが疲弊しきった所で、僕はようやく気絶した
どんなに祈っても・・・・・・結局、神様は僕を助けてくれなかった・・・
ラーディ
村で商売をしている男。お喋りで口を滑らせやすい。クラヴとはよく酒を飲んで愚痴を言い合う仲
スミス
鍛冶をしている大柄な男。クラヴに忠実に従っており、レクイエムへの拷問を躊躇なく行う