他人事は無責任ともいう
「で、や。世界っちゅうんはな、自分らの世界をベースにしてるもの以外にもう1つあるんや。」
樹形図が消えると、代わりに私がよく知る惑星、地球の映像が浮かび上がる。
そして、その横に似たような形をした、地球のようなものがもう1つ…
「自分らのよく知る地球は、文明…科学が発達した世界
こっちの世界は人間…魔法が発達した世界や、簡単に言うとな。」
「魔法って…」
そんな非現実的な、と言おうとして、すでに自分がその非現実の中にいることに気づいて口をつぐむ。
「吾輩の仕事はな、そんな2つの世界が干渉してしまわんように管理することなんや。
万が一にでも干渉してしもたら、どちらの世界も崩壊してしまう。
自分らの世界で言う、二兎追うものは一兎も得ず、っちゅうやつやね」
2つの世界は白いのの言葉に従って近づき、触れ、そして爆発する。
「文明と、人間の進化の両方を得ることができない…」
「そういうこっちゃ。
ただ、この魔法世界でなんや厄介なことが起こりそうでな…
自分にはちょーっとその原因を突き止めて、阻止してほしいんやわ」
白いのがそう言った瞬間、私の足元に黒い穴が開いた。
その黒い穴は徐々に私を飲み込んでいく。
「なにっ、これ…っ!」
視界が白から黒へと染まっていく。
「詳しいことはそのうち分かる時がくるから安心しとき!
…まぁ、最初はなぁんも分からんやろうけど」
最後の呟き!聞こえてるんですけど!!
「何はともあれ、2つの世界のためにも頑張ってや~」
「ふっざけんっ…!」
完全に他人事のような口ぶりで、ものすごくスケールの大きいことをサラッと聞いたのを最後に、
抵抗もむなしく、私は意識を手放した。