白饅頭、再び
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―――て
まただ、この感じ。
―――――!
フワフワしていて、それが気持ちよくって、
このままずっと眠っていたいなぁって思ってしまうこの感じ。
「自分寝すぎやっちゅうねん!」
「ぎゃぁぁぁあああああああ」
急に聞こえたものすごく濃い関西弁と、ベッドから落ちたような衝撃にデジャブを感じながらも思わず目を開ける。
「…あんたっ!」
「久しぶりやな、魔法の世界はどうや?」
目の前に広がるのはいつかの白い世界。
目の前にいるのは、いつかの白饅頭。
「あんたね!なんで私が…!」
「まぁまぁ。どーどー。文句言いたい気持ちも分かるんやけどな、今回はあんまり時間がないんや。はよせな手遅れになる。」
文句を言おうとした私を見えない力で抑えつけ、白饅頭が話し出す。
口を開こうにもまったく動かすことができなくなっている。
「本来なら、吾輩は世界に干渉することを許されへん。
やから、これから起こることを予期しても、今回自分を送ったみたいに、それが両方の世界に関わることやない限り、誰ともコンタクトをとったらあかんっちゅう決まりがあるんや。」
何度動こうとしても動かず、とうとう抵抗することをあきらめた私の目の前を、白饅頭はフワフワと左右に移動する。
「けどな、今回はちょっと微妙やねん。動き次第ではな、自分、生き残るかもしれんし、死ぬかもしれんのや。」
「…は?」
思わずもれた声。
どうやら体は動かないままだけれど、声は発することができるようになっていたみたいだ。
「どういうこと?」
「…詳しいことは言えん。動き次第では片方の世界だけに関わることやからな。それが決まりや。」
ただ…と、白饅頭は続ける。
「助言することはできる。
自分は、元の世界にいたままの自分やない。
今回、2つの世界を救うために選ばれたんは偶然なんかやないんや。それ相応の力を秘めとる。」
「私の…力?それってどういう……っ!」
その時、私の足元に黒い穴が開いた。
わたしは徐々にその穴に飲み込まれていく。
「ちょっ…!またこれ!?」
「…時間みたいや。この言葉を覚えとき!きっと自分ならできるはずや…!」
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ーーーーー!
そうして私は、再び暗闇に飲み込まれた。