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衝突

「なんか棒みたいのないっすか?」

それぞれが辺りを見渡した。

「あ、そういえば先ほどガムテープを見つけました」

静香は、さっきまで自分が調べていた棚を開け、ガムテープを取り出した。

「ガムテープなんてどう使うんだよ」

「ほとんど何もないんだから、ガムテープがあるだけマシかもしれないわ」渡辺がすかさずフォローを入れる。

「使えなければ何の意味もない。おい、花月とか言ったか?さっきまで偉そうなこと言ってたんだから、何かアイデアでも出したらどうなんだ?」

「お前、いい加減にしろよ。なんでそんな言い方しかできないんだ」

「は?お前、大学三年だろ?俺は四年だ。年上への態度がなってないな。敬語を使え」

「お前に敬語を使う意味なんてない。それに、年上への態度がなってない、だと?まさにブーメランだな。お前こそ年上への態度を改めるべきじゃないのか?」

「いい度胸じゃねーか。覚えとけよ」

沈黙が走った。それを遮るように田中が言った。

「あ、あの、とにかくその紙を取る方法を考えませんか?」

「田中さんの言う通りだわ。どうにかして取りましょう。そうだわ。コードか何かにガムテープをくっ付けて取れないかしら?」

「それはいいですね、やってみましょう。あそこに電気スタンドがありますね。あれのカードを使ってみましょう」田中が電気スタンドを取りに行く。

東田は単独行動を始めたが、気にせずに作業を続けた。

「あ、テープがくっ付いた。もう少しっす」

「茶畑くん頑張って」渡辺が声援を送る。

「取れたっすよ!」

茶畑が棚の間に落ちていた紙を取り出した。

「な、何が書いてあるんですか?」

「………読めないっす」

「貸してもらっていいかしら?」

渡辺は紙を受け取り、書いてあることを説明する。

五月(ごがつ) 俄 (にわか) (とき) (むら)、そう書いてあるわ」

「何のことかしらね?誰かわかる人はいる?花月くん、何かわからないかしら?」

「え、俺ですか?」

「ええ、そうよ。あなたなら何かわからないかしら?」

「………いや、俺は普通の大学生です。渡辺さんの期待には答えられないと思います」

「そう…」

「いや、それにしてもなぜこんな場所に落ちていたんでしょうね?」田中が疑問を呈する。

「確かにそうっすね。誰かが落としたんすかね?」

「もしかしたら、ゲームってこういうことだったんではないでしょうか?」

「兵藤さん、どういうことかしら?」

「はい。つまり、一種の宝探しゲームみたいなものではないかと」

「じゃあ、他にもあるのかもしれないですね。私、探してみます」田中は張り切って探し始めた。それと同時に他のメンバーも部屋の中の捜索を再開した。

「京介くん」

「静香さん、どうかした?」

「京介くんのことだから、もしかすると思って。さっきの紙のことだけど、答え分かったんじゃない?良かったら教えてよ」

「そうだね…俺も静香さんに聞きたい事があるから、それに答えてくれたらいいよ」

「うん、いいよ。何?」

「東田とは知り合いだったの?」

「えっ…?」

「いや、さっき呼ばれてたから。そうなのかなって」

「東田さんとは今日初めて会ったよ」

「そっか。ありがとう」

「じゃあ、今度は私の番だね。あの紙の答えを教えて」

「あれはたまたま気付いただけなんだけど、要は共通するものは何か、って事なんだと思う」

「共通するもの?」

「そう。五月、俄、時、村に共通するのは『雨』だよ」

「雨?」

「後ろに雨を付ければ、五月雨(さみだれ)俄雨(にわかあめ)時雨(しぐれ)村雨(むらさめ)になるから」

「本当だ。でも、なんでさっき言わなかったの?」

「まぁ、自信はなかったし、これが何を意味するかわからない時点で無闇に情報を出したくなかったんだ。確証を得たら、言うつもりだったんだけどね」

「言おうよ。みんなで協力した方が解決も早いよ。もしかしたら、すぐに出られるかも」

「いや、それはないと思う」

「え、なんで?」

「最初の放送で言ってたことを思い出して欲しいんだけど、食事は用意してあるって言ってたでしょ?ゲームマスターは俺たちの食事を用意しているくらいだから、すぐにここから出すつもりはないんだ」

「そんな…京介くんがいればすぐに解決できると思ってたのに」

「さっきも言ったけど、俺はみんなに期待されるような人じゃないんだ。過度に期待するのはやめて欲しい」

「そっか、ごめんね」

調査を再開しようとした時、何かを見つけた、と言う声がまた聞こえた。





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