見知らぬ部屋
「どこだ…ここ」
ふと気が付くと見知らぬ部屋にいた。壁は白一色に下は畳と異様な部屋だ。扉は……ない!
「おい、まじかよ。夢だよな、多分。うん、そうだ」
取り敢えずもう一眠りすることにした。
「あぁぁぁぁああ、なんも変わんねぇぇぇえ。ほんと、どこなんだよここ」
どうやら夢ではないらしい。それにしても、異様な空間が広がっている。西も東もわからない。俺は、確か学校の帰りで公園の近くを歩いていたはずだ。そこで何かを見たはずが思い出せない。気づいたらここに居た。
「どうしたってんだ」抜け出そうにもなんのヒントもない。
「何でもいいからヒントになりそうなものはないのかよ……なんで、この部屋には扉がないんだよ」
その時あることに気が付いた。
「扉がないのに俺はどうやってここに来たんだ?」部屋を見回す。
「考えられる可能性は2つか…。そもそも扉が存在しない場合。壁は俺がこの部屋に入った後に作られたってことになるが、その可能性は低いな……」時計を見ると短針は5と6の真ん中にあった。
「学校を出たのは確か16時半くらいだった。そこから、俺が何かを見た公園までは20分くらいだから、そこからまだ40分しか経っていない。俺が誘拐されたとするなら壁を作るなんて大仕事そんな短時間じゃできないよな…てことは」俺が考えているもう一つは扉が存在してる可能性だ。
「何か見落としているのかもしれないな。よし、調べてみるか」
しかし、予想に反してなにも発見することはできなかった。6月の後半ともなれば少し動いただけで汗が滲んでくる。俺は半ば諦めかけ、畳の上で横になった。畳は少し温度が低く気持ちが良かった。
「無理だ。もう、どうすることもできない」必死に思いついた二つの可能性がどちらも潰れ、考えることさえもやめようとした時、
「はっ!まさか!」すぐに気が付くべきだったのかもしれない。ある可能性の浮上に俺は希望を持った。
「床ならまだしも畳が外気より冷たいなんてことあるか?」俺は他の畳も触って見たが、温度が低かったのは最初に横になった畳だけたった。その畳をめくると、床が開けられるようになっていた。
「何があるかわからないけど、ここで何もしないよりマシだな」
床の下には階段が続いていて、ひんやりと涼しかった。灯りは一切なく、唯一あの何もない部屋から差す光だけだ。俺は足元に気をつけながらゆっくりと下っていく。
「なんか、明るいぞ」下の方に僅かに赤い光が見える。さらに下ると途中でそれが蝋燭の光であることが分かった。その光を頼りに蝋燭の場所まで行くと一枚の扉があった。俺は細心の注意を払いドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。
「えっ!?」そこには予想もしていなかった光景が広がっていた。