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アプリ

「しまった、素材を入れる袋がない」


 依頼をあらかた済ませ、指南書に従いながら素材の剥ぎ取りをしていた。

 その際になってようやく素材を入れる袋を持ってきていないことに気付いた。

 金はない。買うことはできない。

 その辺の魔物でも狩って皮で作ればいいのかな。そんな簡単に作れるのかな。


「……なんかないかな」


 困ったときのスマホ! これ一台あれば大抵のことはできてしまう! 夢も希望も財布もその他すべてはあなたの手の中に!

 まぁ、素材をどうこうするアプリはないと思うんだがな。

 やはりインストールされていたアプリにはそれらしきものはない。


 アプリストアにでもつなげてみるか。どうしてまだあるのか謎だし。

 電波なんてないはずなのにやはり当然のようにつながってしまう。コンテンツを適当に眺める。

 ……異世界のくせにやけに多いな。しかもこれどうやって表示してんだろ。充電も何もしていないのに。


「……お?」


 アプリストアで探していると、それっぽいものを発見した。してしまった。

 えーと、何々? ……アプリ名はアイテムボックス?

 説明によると、どうやら写真で取った素材を別次元に飛ばして保管可能らしい。写真を撮れば四次元○ケットに突っこめるということか。

 いいじゃん、超便利やんけ。早速インストールしよ。

 インストールの表示をタップすると、普通にインストールが始まった。本当にどうなっているのやら。


 ……あれ、なんかほんの少しだけ体がだるくなったような……?

 ステータスに変化があるのか?


『HP:9999+

MP:9999+


筋力:9999+

体力:9999+

精神力:9999+

集中力:9999+

敏捷性:9999+

魔力:9999+

魔力耐性:9999+

運命力:?+』


 変化なしか……いつみてもバカみたいなステータスだな。あたまわるそう。

 体のだるさもただの気のせいな気がしてきた。もう別にいいや。


 お、アイテムボックスのインストールが完了したな。

 早速起動し、バラした素材をアイテムボックスの写真に収めていく。

 取り出すには、取り出したいアイテムの写真をタップすればいいみたいだな。超楽じゃん。


 素材をアイテムボックスに入れ終え、まだ日も高いので他に便利そうなアプリが無いか探して見る。

 ふむ、いろいろあるんだな。魔法的なものはすべてこの中に入っていそうだ。

 おや? 名前は書いていないアイコンは真っ黒のアプリがあった。説明欄は……『あなたのための魔法』? 何だそれ面白そう。説明はそれしか書いていないが、面白そう。

 ということでインストール。


 …………なんか、急にだるくなってきた気が。

 先ほどよりもより顕著に表れている気がする。インストールは……あと半分くらいか。まぁ待っていればすぐに終わるだろう。

 もう一度ステータスを確認してみるか。


『HP:9999+

MP:7988


筋力:9999+

体力:9999+

精神力:9999+

集中力:9999+

敏捷性:9999+

魔力:9999+

魔力耐性:9999+

運命力:?+』


 MPだけめっちゃ減ってない? え、大丈夫なの?

 だがステータスを開いている間にもぐんぐんとMPだけが減っていく。

 え、え、え? 大丈夫? 本当に大丈夫なの?

 ……もしかして、インストールにMPをつかっているのか?

 なら、なぜアイテムボックスのインストールでは減らなかったのだろう――もしかして見えない部分で減っていた? +の値が減っていたのか?


 考えている間にもMPは減り続け、だんだんと体が重く感じられて来た。

 しかし、それもMPの値が4919のところで止まった。

 ホームに戻ってアプリの一覧を見ると、先ほどの真っ黒いアイコンのアプリのインストールが終わっていた。

 やはりインストールにはMPを消費するようだ。おそらく、アプリによって消費するMPも違うのだろう。


「ま、まぁいい。とりあえずこいつを起動してみるか」


 いくらMPが減り体がだるいとはいえ、一般人よりも多いのは明らか。動けないわけではない。

 まぁ普通にしているとだるいのはだるいが、動こうと思えば動ける。なんというか、意志次第といった感じだ。


 黒いアプリをタップする。

 開かれたアプリは、やはり真っ暗で何も表示されない。

 やがて同期するときと同じような歯車が表示され、回り始めた。

 また前の世界での出来事を引っ張ってくるのだろうか。


 数分待つ。

 ステータス画面を開く。通信を行っているためか、MPがちょっとずつ減っている。

 なるほど、こちらの世界では通信にMPを消費するのか。この様子では、0になれば意識を失いそうだ。


 0になる前に通信を切ろうと思っていたが、MPを3000残して歯車が消えた。

 やがて表示されたのは、ツ○ッターでよく見る診断メーカーっぽいもの。

 ……え、俺はこんな運任せの茶目っ気しかないもののためにMPを7000近くあるいはそれ以上を消費したというのか?

 あほらしい……!


 だがここまでやったのにアンインストールするのももったいない。

 くそ、もってけ泥棒! 俺のMP!

 意を決すと診断の画面をタップする。


 ぽちっとな。


『診断結果、あなたのための魔法は「幻想世界」に決定いたしました!』


 幻想世界? 何それ中二臭い。

 イマジンワールドって読めばいいのかな。


『「幻想世界ワンダーワールド」の評価』


 ワンダーワールドだった。


『評価:??????』


 は?

 ちょいまてやこら。

 何も書いてないんだけど、どうなってんの?

 いじめ? いじめですの?


 ……はぁ。最悪だ。

 あれだけMPを持っていかれたというのに、使い方も説明すらもないなんて。

 もういいや。今日は帰ろう。

 俺は意気消沈しながらギルドのある街へ向かった。

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