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掌編小説集2 (51話~100話)

三時間後

作者: 蹴沢缶九郎

Bは友人Aの家に遊びに来ていた。通された部屋で何時間か談笑して、ふと外を見るともう日が暮れている。


「おや、話に夢中になってつい長居してしまったな。また遊びに来るよ。」


Bはそう言いながら自分の腕時計で時間を確認する。時計の針は四時を指していた。


「おかしいな。四時でもうこんなに暗いのか。」


部屋の時計を見るが、部屋の時計もやはり四時を指している。その様子を見ていたAが説明した。


「驚かそうと思って黙っていたんだが、実はこの部屋の時間だけ他より三時間ほど遅れているんだ。それが磁場のせいか、はたまた空間の歪みといったものか、原因は私にも分からないんだが…。」


「そんなバカな。」


とBは部屋を出て、腕時計で時間を確認する。先ほど四時を指していた時計の針が七時を指している。今度は携帯電話の時間を見ながら部屋に戻る。すると携帯画面上の時間が七時から四時へと表示が変わった。どうやらAの言っている事は本当らしかった。


「こんな事があるのか…。」


Bは信じられないといった様子だったが、そもそも腕時計や携帯が嘘をつくはずはないし、信じざるほかなかった。


「なかなか不思議な体験をさせてもらったよ、それじゃあまた。」


BがA宅の玄関を出たところで突然、胸を押さえ苦しみ出した。持病である心臓病の発作だった。Bはその場に倒れ、死んでしまった。


驚いたAは咄嗟にBを例の部屋へと運んだ。部屋で息を吹き返したB。訳も分からず、Aに聞く。


「一体どうなったのだ? 突然胸に激痛が走って、そこから記憶がない…。」


「驚いたよ、突然倒れてしまうんだから。でも君をこの部屋に運んだので助かったんだ。」


「そうだったのか、助かったよ、ありがとう。」


Bはそこで、ふと思った疑問をAにぶつけてみた。


「ところで、今から三時間後、つまり私が死ぬ時間にこの部屋の時間が追い付いたら、私はどうなるんだ?」


しばらく考えた後、Aは答えた。


「たぶん、また死ぬだろうな…。」

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― 新着の感想 ―
[良い点] コメディーというよりもミステリアスな感じでした。AとBの名前があればより臨場感が出るかもです。
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