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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

BL短編集

唇にとまる言葉

作者: 藍上央理

<プロフィール>

商業では粟生慧で執筆しています。

おもに電子書籍ではBL中心です。

商業の内容はほぼエロです。

 ねぇ、おまえが好きなんて言わないでよ。

 どうせ、肩抱き寄せてすぐにでも夜の静寂を蹴破るんだろ?

 僕のうなじや鎖骨にキスを降らせながら、さっきまでたばこ吸ってた唇から、あまりにも空々しい言葉を吐かないでよ。

 僕の両腕組み伏せて、傷つきやすく感じやすい僕の奥まで、これでもかって、味わうつもりなんだろ?

 空虚な言葉を聞くと、僕の背筋は熱を失っていく。

 一夜限りの抱擁に、僕の胸の氷は溶けやしない。

 僕の瞳はいつも違う顔を見てる。僕の名はいつも違う響きを持ってる。僕はいつも見知らぬ誰かを待ってる。

 ただ一人の誰かが僕の名を呼んで、真実の言葉を聞かせてくれるときまで、ときめきを胸の奥に仕舞ったまま、人目に触れぬように守っていく。

 だから、もう僕のことが好きだなんて言わないでよ。

 どうせ、同じ唇で違う誰かに同じことを囁いてるんだろ?

 僕に姿を重ねて、ここにはいない男のことでも考えてるんだろ? まるで、隙間を埋めるように簡単に愛を語らないでよ。

 泥のような愛を積み重ねても、それはどろどろと崩れていくだけだから。甘い砂糖菓子のような言葉を積み上げても、いつか蟻のたかる醜い塊に変わるだけだから。

 大切な宝物のように、心に秘めたときめきを暴かないでよ。まるで、それを受け取る相手は自分だと言わんばかりに振る舞うのは止めてよ。

 僕は唇に言葉を留める。

 それはアンタにじゃない。


 ここにはいない、まだ見知らぬ相手に。


ご感想お待ちしております。

なお商業収録作品は除外しております。

「キミイロ、オレイロ」関連作品のみ。

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