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―時の約束―  作者: 陸後
1/1

序章:始まりの合図

幾度になく流れた血

誰も望まなかった結末



…燃え盛る 夢のような一夜……



(どうして君はまた先に居なくなる?)


(何故貴方は必死に私の名前を叫び続ける?)





(また寂しさだけが残るのはもう嫌だ)



(思い出したときにすぐ消えるそんな儚い思い出も嫌…)





でもまた何度でも巡り会ってしまう・・・・・・




見つめたいだけなのに


抱きしめたいだけなのに



何故許されない……?





…もう一度……


…たった一度だけでも…




…許されるなら……




          [もう 結末をつけよう]









序章:始まりの合図








ガタン…ゴトン……

電車の揺れが車内に響く…アナウンスから、行き先が放送された。



『ザー……次は、葎衛〜葎衛…降り口右側―――』



「お姉ちゃーん…あとどれくらい〜?」

アナウンサーの声を遮る様に、

肩辺りまで伸びた橙色の髪の少女…妹の真名は、足を上下に動かしながら説いた。

「えっーと…次……ね。」

車内の行き先表を見て問いに答える、少女の姉である私。

朝早くから出てから、ずっと乗りっぱなしのせいで少し腰が痛かった。

「はぁ〜やっとかぁ〜…楽しみだね。」

わざとらしく息をはいて、真名は窓の外に目を向けた。

朝は田舎で緑が多かったところも、徐々に高い建物などが見え始めていた。

少しずつ見え始めてきた都会の様子に緊張を覚える。




「…早く姉さんの“アレ”……秘密が解ければいいね。」


突如そう零し、何処か口調が静かな真名に少し違和感を覚えた。

驚いたが、表に出さず少し瞬きして頷き、

「…そうね……」

曖昧な返事をして、ゆっくり腰を屈めた。

すると、“アレ”は『リン』と静かな音を響かせて、首元の服から宙に揺れる。



「ねぇ、これから行く街ってどういう所なの?」

不意に真名は明るい口調で、私に笑顔を向けた。

「………えっと、とても綺麗な街らしいけれど…」

不意をつかれたせいか作り笑いを浮かべると、気を遣うように真名は明るく笑みを浮かべた。

「へぇ〜…ぁ、まず着いたら、公園行きたいなぁ!あの有名な公園だよね!?早く出られるように用意しよ〜っと!」

鼻歌交じりで後ろの荷物に手をかける。家を出る前に、真名が鞄に入れたのはハンカチとティッシュ・・・それに、MDカセットだ。


「真名・・・いくら他に乗っている人が居ないと言っても・・・少し静かにしようね?」

朝に乗っていた、大勢の乗客は一人残らず居なかった。「別にいいじゃん〜居ないんだしぃ。」と頬を膨らませて、ちゃんと座りなおした。

先ほどの行動がまるで嘘のような・・・小さな子供の様だった。


「それに〜お姉ちゃんが昨日は『新幹線で行くから、ゆっくり寝ていていいよ』って言ったのに、今朝になってから『早く起きて、電車で行くことになったから。』って叩き起こしたんじゃない〜」


さらに不機嫌になる真名。今朝になってから今日通る新幹線に【珠之波(じゅのば)行き】がなかったのに気付いたので、慌てて電車を選んだのだった。

そのために、真名を必死で叩き起こしたのだ。

けれど、叩き起こしたといっても、引っ叩いて起こしたわけではない。



まぁ…“多少”は手を使ったが…




「お姉ちゃん?」

不意に真名から呼ばれて、我に返る。

「ぁ…何?」

「もう〜ちゃんと起きてる?昨日、遅くまで読書したりとか…」

そう言いながら、目の前で手を軽く振る。

「大丈夫よ。ちょっとボーっとしちゃっただけだもの」

微笑んで見せると、「ホントに?」と疑った眼差しで見つめられた。

「本当よ」と言うと、「無理しないでよ?」と言ってそれ以上聞かれなかった。


私は、そっと電車の天井を仰いだ。







これからいく街で、きっと何かが分かる気がする。


それが何かは分からない。



けれど、必ず…






〔アナタヲ ミツケテミセル〕





『ザー…次は、珠之波市〜珠之波市…降り口左側―――』

「さ、行こうか。」

私は自分のバックを背中に背負った。

「うん!」

真名も元気に立ち、並んで街に到着した。




物語の始まりは此処から――…


前に一度書いていましたが、続かない為に勝手に消してしまいました。

今回のは、前作より編集をして出しております。

どうぞ、最後まで楽しんでいってください。

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