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三日月が夜空に輝く頃  作者: オルソー
~序章~『妖霊と少年の秘密』
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『蛇の正体』

「……こ、ここは」


 辺りは真っ暗だ。寝ていたのか頭がまだ充分に働いていない。

 ぼんやりとようやく目が慣れてきて、それとほぼ同時に今、なにが起こっているのかを思い出した。


「あれれ? もう目を覚ましたの? あと、数十分はもつと思ったんだけどなぁ」


 気付くとすぐ近くに俺をさらったあの少女が立っていた。こいつの口ぶりからするに薬品かなにかを嗅がされていたみたいだ。通りで頭も上手く働かないわけだな。


 案の定、足は自由だが手は縄か何かで後ろに縛られている。しかし、なんだろう。この縄、若干湿ってるのか冷たく感じるぞ。

 それはともかく今、一番大切なのはこいつの目的を知ることだな。

「お前はいったいなんなんだ?」


 俺は相手にペースを掴ませないよう少々強引に話を振る。あまりそういうことを気にしないタイプなのか少女は、少し思案顔になり口を開いた。


「まぁ、なんていうのかなぁ。君の近くに最近住み着いているやついるでしょ?」


「……三日月のことか?」


「そうそう。あいつと同類だよ」


 俺はその言葉を聞いて驚愕した。三日月と同類ということはすなわち……


「お、お前も、妖霊なのか!?」







「なにしてるのさ!! 早く零夜を助けにいかなきゃ!」


「……少し待てい。うるさい女子じゃな」


「だから僕は男だってば!」


 所変わって邦広家。

 取り残された三日月と恵。零夜のことが心配でいてもたっても居られない恵と妙に落ち着いている三日月。双方が一瞬にして穴や傷だらけとなった庭に立っている。その一瞬に雨が降ったわけでもないのにそこは多くの水で濡れていた。

 それを見て、三日月が不安げな顔をする。


「少し、厄介なことになったかも知れんな」


「どういうこと? あの女の子のこと?」


「あぁ……。やつは恐らく水を操る妖霊じゃ」







「なんでこんなとこにわざわざ……?」


 少女は自身が妖霊ということを明かすと、ここだと場所がまだ悪いとか、自分に有利なところに移動するとか言って俺を屋上まで連行した。

 ……地形が関係あるのだろうか。

 ここはどうやら廃墟になったビルらしい。

 と、言ってもまだ電気も水道も使えるらしかった。ビルと言っても小さい方で全部で7階までしか無かった。


「ここが一番、ボクにとっては殺りやすいとこなんだよ。この近くではね」


 相手は完全に油断しているのか普通の人間の俺くらいすぐに殺せると踏んでいるのか、今はもう先程の縄などで拘束すらされていない。あくまで俺は囮らしい。何の囮か。それは……。


「……来た来た! やっとのお出ましだぁ!」


 突如、声を荒げて叫ぶ少女。その視線の先には三日月が居た。


「少々遅くなってすまない。主」


 近くの建物から一気に跳躍してきたのだろう。屋上に居る俺の隣に着地するなり謝罪する三日月。


「いや、特に何もされなかったからな。あいつもあくまでお前が目的みたいだな。俺はお前をここに来させるための罠だったみたいだし」


 ざっと状況、相手の心情を分析し三日月に伝える。

 三日月は少し感心したような顔つきをし俺に見ていたが、またすぐに敵に視線を戻した。


「承知した。……時にお前。名はあるのか?」


 視線の捕らえる先に居る少女に三日月が問いかける。すると


「名前……。名前ねえ。人間の方でいいの? 」


「……どちらでも」


「なら、ボクは鎗水やりみず 杏佳きょうか。誰が名付け親なのか知らないけど、とりあえずこの名前を使ってる」


 少女。鎗水はそういうと屋上にある貯水タンクの側まで歩み寄って行った。その行動を見ると三日月はより一層、警戒する体勢に入ったように見えた。


「……まぁね。そんなことはどーでもいーよね。三日月弥生。お前はここで、死ぬんだから!」


 すると、鎗水は貯水タンクを力一杯に殴り亀裂を入れた。そこから水が溢れ出てくる。


「主! 来るぞ!」


 三日月がそう言った瞬間。無数の槍が飛んできた。

 慌てて俺はしゃがみ回避する。あくまで三日月を狙った攻撃なのか、俺には幸いにも当たらなかった。

 こ、こいつ……! さっきタンクの水を一瞬で槍に変えたぞ!?


「なるほど。やはり貴様は水蛇すいじゃの一種か」


 三日月が水の槍を全て回避し、あるいは抜いていた皇で斬り、鎗水に話しかける。

 その昔、妖霊の時代。中でも有力な妖霊の一族が五族あったらしい。その中のひとつが水蛇。水を自在に操り、身体を自由に伸縮できる特徴を持っていたようだ。

 


「一種とは失礼だなぁ。ボクはれっきとした本家の末裔だよ?」


「……そうか、それは失礼したな」


 鎗水の言うことから察するにどうやら妖霊にも本家と分家があるんだな。

 人間と近い習慣などもあったみたいだと昔、親父に読まされた文献に書かれてた気がするし。あまり俺たち人間と暮らし方や考え方の違いは無さそうだ。


「その本家様がなぜこのような……。おっと」


 水で作られた槍はまた飛ばされ、三日月のセリフが途切れさせられた。


「よくしゃべるやつだな。父様や母様から聞かされていたのとは随分と違うみたい。それとも猫被ってるのか?」


 少し苛立ちが含まれた鎗水の声。なにか相当な因縁が三日月にあるらしかった。


「少しは落ち着けば良いものを……。っと。ま、言ってもダメそうじゃなぁ」


 間髪入れず、次々と槍を打ち込まれる。俊敏性の高いらしい三日月は易々とこれらを避ける。

 ……しかし、俺は三日月に妙な違和感を感じていた。


「ま、まぁ、水蛇は、昔から短気、じゃったからな!」


 そう。挑発こそするものの、決して自身から攻めに転じないのだ。

 それに始めて出会った夜。あの時のような気迫が三日月に感じられない。まるで煮えたぎっていない。騎士戦団を蹴散らしたときのような力、『雪月花』を使えばこの一方的にやられているだけの状況は容易く打開できるはずなのに……。

 もしかして三日月は俺の知らない攻撃条件のようなものがあるのだろうか? そこまで考えていると鎗水が不意に言った。


「……三日月弥生。お前はなんで妖霊化しない」


「っ……。」


 俺はその言葉を聞いた瞬間、なにか嫌な予感がしてならなかった。

バトルシーンはやっぱり難しい……。何か書くコツとか無いですかね?

と、言うわけで五話まで来ました!ラブコメはいつなんだ!って言う皆さん。もうしばらくお待ちください。ヒロインが多くなりそうで気が気でないのですよ……。

いつものようにご指摘、ご感想などいただけたらモチベーションに繋がりますのでもし、宜しければお願いします!!

では、次回予告を。

次回はいよいよ本気モード前回の弥生ちゃんが登場です!

……あれ?あんまり進んでない??

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