『始まりの鐘』
「おっす! 零夜って……。どうしたの、お前?」
「……なにが」
結局、あの後騎士戦団がいつ襲ってきてもおかしくないと三日月に脅され一睡もできなかった。襲ってくる理由はあれだろう。完全に三日月の退治だ。普段の俺なら自分に直接は関係ないのでほっておくし、昨夜見た三日月の強さ。あれなら三日月ひとりでも大丈夫だと思う。
しかし、そう言うわけにもいかなかった。昨夜、三日月が言っていたことなのだが封印されていた三日月は俺の血を偶然とはいえ、浴びてそれを解いた。。その時、契約的なものを自動的に結んでしまったらしい、俺と三日月は。
そしてその血は、俺の血が大量に出てしまうが決して無くならない体質『ディバインド』によって出た血なので……。
三日月が退治されてしまうと俺の『ディバインド』が暴走し、俺まで死に至る。……らしい。
その結果、三日月は俺と主従関係になっているらしく、俺のことを主と呼んでいるみたいだ。
「……とばっちりだぜ」
と、口では言ってしまうものの正直、三日月が味方なのはとても心強かった。
しかも元はと言えば血を浴びせてしまった俺の責任も多少はある。なので俺と三日月は当然ながら協力関係を結ぶことにし昨日はお開きとなった。
そして騎士戦団が言っていた秘術の書というのはどうやら三日月が封印されていた本のことらしい。邦広家に伝わる秘術でどうにか封印した三日月。今のとこ、俺に対して危害を加えるような素振りはないんだが、封印されるってことはそれなりの事をやらかしてるってことだよな……。
「あの~。零夜さん? 黙っちゃって、大丈夫??」
「……ん、あ、悪い」
さっきから喋りかけてくるのは同じクラスの紫竹時 蓮斗。がっちりとした体格でツンツンと立った短髪。身長も俺より遥かに高い。
「どうしたよ? この洋光月高校の生徒は清く、正しく、元気よくがモットーなんだぞ!」
このバカらしい発言はいつものことなので俺は、はいはいと適当にスルーしておく。
俺たちが通う洋光月高校。俺はその二学年。と、言うか実は三日月と出会った夜。つまり昨日が始業式で二年生になったばかりだ。紫竹時は一年の頃も同じクラスだった。
「あれれ? 蓮斗に零君。どーしたの? こんなとこで」
後ろから話しかけてきたのは春日部 道乃。ちなみに零君とは俺の事だ。
こいつも一年の頃から仲が良く、よく三人で話していた。短く切り揃えられたオレンジっぽい色彩の髪が特徴だ。活発でいつもどこからともなく現れる変なやつでもある。
ものすごく美少女なんだけど、性格が変すぎて彼氏はできたことがないらしい。もったいない。
「それがよ、零夜のやつがさっきからボケーっとして俺の話を聞いてくれねーんだよ」
「別にボケーとはしてないだろ。ただ考え事をしてただけだって」
しかし、今日はなんかを忘れているような気がするんだが……。
「あ、二人は急がなくていいの?」
何か思い出しそうなタイミングで道乃が問いかけてくる。なんだっけ……。
「え? なんでだよ?」
「……あっ!」
色々ありすぎて大切なことを思い出した。(若干一名、気付いていないがスルーで)
「朝のホームルーム!」
俺が叫んで走り出した時、ちょうど予鈴がなった。二年初めのホームルームから遅刻とかシャレにならねえぞ!!
「……な、なんとか間に合ったな」
「はは、あれくらい走ったぐらいで息切れとはざまぁねえな!」
「ほんとだよー。男の子なんだからもうちょい体力ないときついよ、いろいろと」
遅れそうになった元凶が二人してなんか言いやがっている。
「お前らが長々と話すから……」
と、俺が言うと教室の前の方のドアが開く音がした。新たな教室と生徒達でホームルームが始まった。
「そーいや、零夜。昨日の夜、お前の家なんか大変だったらしいな。大丈夫だったか?」
昼休み。道乃、俺、蓮斗で昼食を取っていると俺に蓮斗がしゃべりかけてきた。ちなみに道乃と蓮斗は弁当持参。俺はコンビニ弁当。朝は朝食を作るだけで精一杯だから昼の弁当まで作っている余裕はないのだ。
健康面を考えて朝、昼同じ食べ物ってもの避けたいし。
「あ、あぁ。なんか泥棒が入ったみたいでさ。大したものは取られなかったし、大丈夫だよ」
昨日の騎士戦団との戦いが近所に広がっているらしい。あれだけ派手にやらかしたら警察沙汰になるのは必然だし。ここは適当に誤魔化しておこう。幸いにも相手はこの蓮斗だ。バカだからなんでも引っ掛かる。
なんて考えていると今度は……
「零夜!? 大丈夫!!?」
バンッ!と教室のドアを開け放ち、入って来たのは恵だった。今朝は主に三日月の事で遅くなってしまったからこいつとは別々に登校となってしまったのだ。
しかし、こいつにしては妙に慌てている。
「どうした? 俺はいたって大丈夫だが」
「そーそー。零君は頭はまぁ、あれで残念だけど体は核爆弾喰らっても平気だからねー」
さすがにそれは無理だわ。ってか道乃に頭が残念って言われるとは思ってもなかったぜ。こいつも蓮斗ほどでは無いがけっこう頭があれだ。
「ところで恵。なにをそんなに慌ててるんだよ?」
実際気になるところはそこだ。いつもクールと言うかマイペースなこいつがこんなに取り乱している姿はあまり見たことがない。つまりレアだ。写真を撮りたいくらい。
「なにをって。昨日の夜、零夜の家に泥棒が入ったんでしょ!? 朝も待ってても全然来ないから心配で心配で……」
こいつは昔から俺の身に危険があったりすると過保護の親の如く、すごい心配してくれる。小さい頃はずっと恵のが俺より断然背も高く運動神経も良かった。親がいつも居ない俺にとっては一番親しい間柄だった。
だから恵も親の居ない俺の事を心配してくれるのだろう。
「いや、大丈夫だよ。こうして今も元気に居るわけだし」
「そ、そうだね……。あー、良かったぁ」
安堵のため息をつく恵。しかしいつ頃からだっただろうか。俺が恵の背丈を抜かし、運動神経で勝っていったのは。
第三話どうでしたか?小説を書いていて思うのですが、自分でもよくもまぁ、こんだけ想像できるな、と。想像力豊かってやっぱ良いですよね。
と、言うわけで今回は予告通り一癖や二癖もあるような零夜の学友が登場です!今後、活躍できら場面は来るのか……。
では、予告を。
次回は今回登場の新妖霊との熱い場面盛りだくさんです!
では、今回も評価、ご指摘、ご感想などよろしくおねがいします!




