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三日月が夜空に輝く頃  作者: オルソー
~序章~『妖霊と少年の秘密』
11/18

『少女の秘密』

「ただいまー」


 それから数日経ったある日。

 学校から自宅に帰った俺はほとんど今まで言ってなかったこの言葉を最近はよく使うようになっていた。いつもは誰もいない家。しかし今は二人の同居人と一人、半同居人(?)がいる。


「おぉ、主か。お疲れさまじゃな」


 古風なしゃべり方の美少女、三日月弥生が出迎えてくれた。いつも通り背中まである長く少し赤がかった髪を下ろしている。

 しかし気になったことがあった。

 それは、なぜかエプロン姿。


「あ、あぁ。ところでお前なんでそんなかっこ……」


「あ、零夜君か。おっかえりー」


 その三日月の奥から現れたのは鎗水杏佳。ついこの前まで敵対していたのにすぐにこの家に馴染んでいる。すごい才能だと思う。

 女優並みのスタイルを誇る三日月とは反対で鎗水は幼い体型をしている。目を引くその青い髪は肩下くらいまでで切り揃えられている。問題は……


「ただい……って、おいこら! くっつきすぎだ!」


「えー、なんでー? これくらいいーじゃんー」


 ボディタッチが激しすぎる。と、言うか誘惑してるとも取れる行動をこの僅か数日で数えきれないほどの回数、鎗水は試みている。本当に心臓に悪い。

 余談だが俺は体質のこともあるので(言い訳にしかならないが)女性関係とかそういうのは全く無い。あるとすればクラスメートの女子としゃべることくらいだ。ぶっちゃけて言うと俺は女性に対しての耐性が無い。

 そのことをわかってか鎗水は寄り添ってきて俺の反応を見て楽しんでいるとしか思えない。


「あ、お、おかえり零夜……」


「お、おぉ。ただいま……」


 三人目の同居人、弥富原恵。

 最近、本来の性別に戻りなんとなくその女子としての生活に慣れては来ているみたいだが、今まで男として見て来た分妙に意識をしてしまう。

 学校ではさすがにまだ男として通っているが早く女に戻れるようにと言うことで俺の家でだけはまとめている銀髪を下ろし背中ほどまである長いストレートヘアーで過ごしている。


「な、なに……? あんまり、そんなジロジロ見ないで……」


「あ! いや、そういうことじゃなくてな……。ごめん」


 その抗議の目はやはり女の子そのものだった。

 しかしまだ、恵のことに関しては謎だらけだ。その中でも一番の疑問は、なぜ性別を偽る必要があったのか。聞き出そうにも言い出せず、結局今日まで来てしまった。


「あ、そーいや、今日は零夜君にサプライズがあるんだよー!」


 いつも陽気で、はしゃいでる鎗水だが今日は一段とテンションが高かった。サプライズとは何だろう? ってか、サプライズってする前に言ったらそれはもうサプライズじゃないんではないだろうか?

 疑問に思っていると今度は恵が口を開く。


「とりあえず、食事にしよ? おなかすいたでしょ?」


「あ、それもそうだな。悪いな待たせちまって」


「そ、そんなことないよ。じゃ、行こ」


 意識している性別は違ってもやはり恵は恵だった。自分のことより相手のことを考える優しいやつ。

 それを再認識した俺は三日月と鎗水、恵と共に食卓へと向かった。





「お、おぉ! なんだこれ!?」


 卓上には豪華な食事の山。鎗水がさっき言っていたサプライズとはこのことだろう。それにしても香りと良い見た目と良いすごく美味そうだ。


「これ、お前らが作ったのか?」


「あぁ、三人で協力して主を喜ばせようと思ってな」


「最高級の天然水を使って作ったからおいしいくないわけないさ!」


「最近は零夜に頼りっぱなしだったからね。これくらいはしないとって皆で話してたんだよ」


 三人とも優しい言葉をかけてくれる。

 きっと初めは三日月と鎗水がいがみ合っていただろうけど、たぶん恵がなんとかまとめたんだろうな。料理よりそっちのが大変そうだ。


「さぁ、食べてみて」


「んじゃ、いただきまーす!」


 恵に促され手近にある豚肉と野菜の炒めものに手をつける。……が


「……。」


「ど、どうした? 主」


「まずかったの?」


 三日月と鎗水が俺の顔を覗き込んでくる。

 結論から言うと不味くはない。決して不味くはないんだが……。美味くない。

 と、言うより味がない。何なんだろうか。タレっぽいのもしっかりとかかっているのに味がしないと言う不思議な感じ。


「いや、不味くはないぞ? うん!」


 そう言うと三人とも、よかった~って顔をして喜んでいる。

 ……決して嘘は言っていない。その後の俺は味のしない謎の食事を取る事となった。

 今度、さりげなくこいつらに料理を教えよう。また食わされそうだし。



「さて、そろそろ寝るか」


 自室で本を読んでいた俺は時間が良い頃合いになったので寝るために布団を押し入れから出していた。

 ちょうどその時、ピロピロピロ……。ピロピロピロ……。と電子音が聞こえてきた。携帯がメールを受信したらしい。

 開けてみると先ほど自宅へ帰った恵だった。その内容は


『今週の土曜。暇なら僕の家に来てくれないかな?』


 とのことだった。特にすることはなく暇なので了解の返事を送り俺は床に着いた。





 そして、土曜日。

 恵の家は同じC-43地区にあるのでけっこう近所だ。恵の家に向かっている途中、昔よく恵と二人で遊んだ小さな公園の前を通った。何も変わってなかったので一緒に遊んだ日の事を思い出していた。

 あれこれ考えている間に目的の弥富原家に着いた。極一般的な一軒家で周りと逸脱しているところは見当たらない。

 なんら編鉄のない普通の家である。


(昔から、全然変わってないんだな。)


 俺の率直な感想だった。

 もう恵の家に行ったのは大分前なので模様やガーデニングなど多少変わっているかと思っていたが最後に来た時からまるで時間が進んでいないかのように変わってなかった。

 俺がインターホンを鳴らそうと玄関に近づいたとき


「あ、零夜……」


「お、おう。悪い遅くなった」


 恵が家から出てきた。家着らしくとてもラフな格好をしていた。さらしを巻いてないのか胸元に僅かな膨らみが見えた。


「……。」


「ど、どうしたの零夜? さっきから服ばっか見て……。僕の方から呼んでおいて家着で申し訳ないとは思うけど……」


「えっ!? あ、いや、そんなことないぞ? 長い付き合いだし!」


 自分でも知らず知らずの内に凝視してしまっていたらしい。

 しかし、さすが今まで男として育ってきただけあり、鈍感と言うか、どこを見られているのか正確には気づかないと言うところが心配なところでもある。


「じゃあ、遠慮せず入ってよ」


「お、じゃあ、お邪魔します」


恵に促され俺は久し振りに弥富原家に足を踏み入れた。

次回予告はネタバレになるから無しにしよう……。

って言うことで、更新ペースは不定期ですが気に入ってもらえれば幸いです。

よろしくお願いします!

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