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君の手を取り共に歩もう  作者: にしのかなで
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帰国後の顛末

予定通り次の朝、帰国の途についた。ハヴェルン一行の中から無理を言い一番の早馬を借りて休む間も惜しんで走った。しかし、馬車で一週間以上かかる行程の上、馬の足も休ませてやらねばならない。それでもハヴェルンに入ってから休息を半日取った。魔法魔術技師の試験は申請すればいつでも受けられる。しかし、書類手続きやその後の爵位の申請を考えるとどうしても時間が惜しい。できれば彼らが帰国するまでに全てを終わらせておきたかった。

やっと首都アデーレに帰り着き近衛隊に馬を返す。その足ですぐに試験をと心は焦ったが国王陛下に謁見を申し込む。流石に我が身のことばかり考えてはいられない、ウルヒリでの出来事を報告しなければ。

陛下には割とすんなりお会い出来ることが出来た。どうやらアルベリヒ殿下が根回しをしてくださっていたらしい。たまには気の利く方だと思いながら謁見の間に入ると陛下からお言葉をいただく。

「この度は大変ご苦労であったな、エイナル・オブリーよ。ウルヒリでの話は大体ヴィルヘルミナとアルベリヒからの伝達で聞いておる。なのでその報告は後で帰国した者に聞くとして、さて、お前の急ぎの帰国理由を先に済ませようか。ガウス魔法魔術技師長、オブリーが、昇格試験を受ける用意がある。ウルヒリからの推薦状もあるらしいので後は頼んだぞ。」

・・・・殿下、どこまで話をしたんですか⁉︎

しかし、お陰で試験は受けられそうだ。ここに来てやっとホッとする。

「久しいなオブリー。愚息の世話でいつも迷惑をかける。推薦状は・・・ふむ、問題ない。では、魔法省に移動しようか。」


魔法省では、正式な手続きを取り今回は机上試験は省かれ実技のみとなった。

360度をぐるりと円卓に座る高位魔法魔術技師と魔法省大臣に囲まれやはり緊張したがなんとか無事に試験を終える。

異例なことに試験結果はすぐに出た。

「おめでとう、エイナル・オブリー殿。貴殿は今日から称号はニームになる。更に特Aクラスであるからして、望めば爵位が頂けるが?どうする。」

魔法大臣の問いかけに答えは一つ。

「恐れながら、爵位を頂戴したく存じます。」

「わかった。他の一行がこちらに帰国するまでには爵位が決まるであろう。その間、留学の報告書、新しい称号への移行書、爵位拝命の書類手続きがある。疲れているであろうが早々に頼んだぞ。」

「かしこまりました。」

「それにしても、君が遂に折れるとはなぁ。恋の一念なんとやら・・・か。まあ、めでたい。そもそも今までの身分に甘んじていたのがおかしいのだ。よくやったな。」

大臣・・・なんか余計な一言が聞こえた気がしますが。


とにかくそれからはシュヴァリエ公爵家に帰りあちらでの報告をし、離れにこもり書類の山を片付けていった。書いても書いても終わりが見えない気がしたが明日にはルディ様たちが帰られるというのでピッチをあげ魔法省に向かう。時間は既に夜の9時だが魔法省に昼も夜もないこの時ばかりは感謝した。

しばらくして大臣に呼ばれ新しい称号を正式に授かる。それから爵位について説明を受ける、魔法魔術技師の爵位と貴族の爵位の違い。一代限りで仮に跡継ぎができていたとしても継承はされない。また、爵位を持つからには今の仕事を離れなければならずとりあえず魔法省勤務を推薦するということ。

ああ、そうか。爵位を持った執事など聞いたことがない。どう説明しようか・・・。

その頃にはよはすっかり開けていた。続いて国王陛下から爵位を拝命することになる。

頭の中は若い主と幼くも逞しい侍女の顔が浮かぶ。しかし、彼らなら言うだろうお嬢様を幸せにすべきだと。

覚悟を決めて謁見の間に向かう、陛下から拝命したのは予想以上の爵位、伯爵であった。

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