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君の手を取り共に歩もう  作者: にしのかなで
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不本意な半生

シュヴァリエ公爵家の一人娘、アナスタシア嬢は御歳17歳。今をときめく社交界に咲き誇る優雅な華の一人である。本来ならば結婚適齢期でもあり、身分からして自宅で華奢な手先でレース編みやお茶会などと深窓の御令嬢らしく過ごしているのが相応しい。しかし、上に兄二人下に弟という男兄弟に囲まれ育ったためか、趣味は乗馬で時間があれば兄直伝の剣の腕前で近衛隊見習いであった弟を鍛えていたという少々世間の評判と妄想からズレた姫君であった。因みにこのシュヴァリエ公爵家には多少なりとも魔力持ちが時々生まれるのだが、幸か不幸かアナスタシアはその才を持って生まれた。


ここハヴェルン王国には国立魔法魔術学校があり、赤ん坊が生まれた家には貧富の差無く魔法省から魔法技師が訪れ魔力持ちかどうかを検査する。魔力持ちの子どもであればその子が7歳になる年に魔法魔術学校への入学証が届き受け取った庶民の子どもは全て入学し全寮制の学校で17歳までの10年間を個々の適正に添い教育され卒業後はその能力を使った仕事に就く。しかも10年間の教育及び寮費は全て国費で賄われるため特に貧しい家に生まれた魔力持ちの子を持つ親は将来の仕事もほぼ確定しているためことさら喜ぶ。一方、貴族の家に生まれた魔力持ちの子どもは高位貴族になるほど家庭教師を雇い教養の一貫として学ばせる程度が多い。しかし、魔力持ちは魔法省に登録され国の有事には兵士と共にその得意分野によりある者は前線にあるものは後方支援として呼び出されこれを拒否することはたとえ上流貴族の人間でも許されない。


さて、この公爵令嬢は自ら寄宿舎を希望し父母を説き伏せ10歳までを寄宿舎で様々な家庭の子どもと育つが10歳を迎える日に大事な一人娘であり愛すべき妹を屋敷に取り戻しに来た家族の手により後ろ髪を引かれながら泣く泣く公爵邸に戻った。それからも公爵邸に派遣された魔法技師により魔法魔術技師の勉学に励み、第3級国家魔法魔術癒術師の資格を得る。本人はそれ以上の実力があるのだが、ここでも父母に泣きつかれ渋々第3級で我慢をしたのだった。


このような令嬢であったので、シュヴァリエ公爵令嬢アナスタシアの本来の姿は世間から噂される深窓の令嬢とは程遠く、第3級国家魔法癒術師であり乗馬と剣を嗜み更に一通りの貴族令嬢としての教養もある・・・と、いうことでアナスタシアは社交界デビューの年に国王陛下より王女殿下たちの筆頭侍女として王宮勤めを任命される。


「なんてこと。うまい具合に私から自由を奪いとるなんて・・・」


一時は頑なに拒否したアナスタシアだが、すでに周囲は準備を固めておりまたしても不本意に王宮へと勤めにあがったのだった。

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