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主に連れられて

八雲亭、蒼尾の自室


蒼尾は青い淵の眼鏡を掛けて、書物を読んでいた。最近紫から勉強用にと渡された本を

読んでいる。じっくりと内容を見たからページをめくり、次へと進んでいく。


「ふ~ん・・・なるほど・・・そういう事か・・・」


何か納得したように蒼尾は本を閉じて身体を伸ばした。その瞬間、尻尾に強い衝撃が襲い

尻尾は大きく揺れた。だが蒼尾は全く焦っていなかった、犯人は解りきっているからだ。


「何か御用ですか?紫様?」


尻尾に埋れながら紫は顔を出した。スキマを使って蒼尾の尻尾にダイブしたようだ


「ん~蒼尾、これから出掛けるのだけど貴方もどうかしら?」

「お出掛けになられるのですか?何処へ?」


蒼尾は冷静に立ち上がって、本を本棚へしまう。紫は尻尾に埋もれたまま答えた


「ええ、ちょっと幽々子の所に行くところよ」

「幽々子・・・あっ紫様が良く話される西行寺 幽々子様ですね?」


西行寺 幽々子、紫の親友で冥界に住んでいる女性っと蒼尾は聞いている。

少々気分屋で付き合っていて飽きない、ちょっと食いしん坊という事を聞かさせているが

蒼尾自身は幽々子とは全くもって面識がない。


「ですが、私が付いて行っても宜しいのでしょうか?」

「いいのよ、幽々子も貴方に会いたがってたし」

「私に・・・ですか?」


蒼尾は少し呆気に取られたような顔をした、すると紫は予想通りの反応だっと呟いて

言葉を続けた。


「私が前に貴方を名前を出した時に興味を持ったみたいでね。詳しい話をしてあげたら

是非とも会ってみたいわ~って言ってのよ」

「そうなのですか・・・では紫様。お出掛けのお供をさせて頂いても宜しいでしょうか?」

「勿論よ。それにしても相変わらず固いわね~、もっとラフな感じでいいのよ?」


紫は藍同様に、自分に対して硬すぎるっと注意するが


「いえ、紫様は母と同じ、私の目標ですから」

「強情ね~・・・まあいいわ、行くわよ」


そう言うと、紫はスキマを展開してその中へ入っていく、蒼尾もその後に続いてスキマに

入るとスキマは閉じた。


その頃の藍しゃまはっというと・・・


「はぁ・・・紫様もご自分のお仕事をここまで私に押し付けないで欲しいものだ・・・」


紫の分のお仕事を一生懸命にこなしていました



冥界、白玉楼


スキマを通って目的地に到着した紫と蒼尾はスキマから出た。


「ここが・・・白玉楼・・・」


広大な冥界に、大きく立つ建物。八雲亭とはまた違う雰囲気を醸し出している。

蒼尾は若干そんな強い雰囲気に飲まれつつあったが、頬を叩いて気を引き締めた


「ほら、行くわよ」

「はい、って紫様!?幾らご親友様の御自宅だとしても勝手に!!」


紫は勝手に門を開けて、どんどん中へと入っていく。蒼尾はそれを見て慌てて後を追った


「大丈夫よ。幽々子とは長い付き合いだしこれぐらいの事、軽く流してくれるわ」


蒼尾が紫に追いついた所で、紫がそう言うが蒼尾は今一納得出来ない。だがこれ以上

何を言ったとしても無駄だと悟り、口を閉じた。


「(はぁ・・・母さんは何時もこんな苦労を重ねてたのかなぁ・・・)」

「幽々子~来たわよ~」


紫がある和室に入ると声を上げた。すると


「あらぁ~よく来てくれたわね紫」


のんびりと間延びした声が聞こえてきた。紫が和室に入った後に続いて蒼尾も入った。


「失礼します」


そして、蒼尾は部屋に入った時、初めて息を飲むっという感覚を体感した。


艷やかで綺麗な桜色をした肩に掛かるほどに伸びている髪

淡い水色をした着物を着ていて、清楚で優しげな印象を抱かせる

そして、柔らかで白く綺麗な手には畳まれたセンスが持たれている。

彼女こそ、紫の親友であり冥界の幽霊の管理を任されている西行寺 幽々子である。


蒼尾は、藍や紫という美女が傍に居るのも関わらず、思わず息を飲んでしまった。

今まで感じた事のない新鮮な感覚だった。


「どうしたの?蒼尾」

「い、いえ!なんでもありません!!」


蒼尾は紫に声を掛けられて、ハッとし気持ちを引き締めた。蒼尾は幽々子に向かい合う様に

座っている紫の隣に腰を下ろした。幽々子はっというと、ジッと蒼尾を見つめている。


「あの・・・私を見られていますが、何かお気に触るような事をしましたでしょうか?」

「いいえ、そういう訳じゃないわ。貴方が・・・八雲 蒼尾君でいいのよね?」

「はい」


そう答えると、幽々子の顔は少しずつ明るくなっていく


「貴方の話は良く、紫と藍から聞いてるわ。知ってるかもしれないけど

私は西行寺 幽々子。宜しくね」

「此方こそ宜しくお願い致します、八雲 蒼尾です。幽々子様」


蒼尾が蒼尾言うと、幽々子は口元をセンスで隠しながら柔かに笑った


「別にそんな固くしなくてもいいのよ?さんで構わないわよ?幽々子さんで。

あ~っでも、私的には幽々ちゃんの方が良いかしらね♪」

「さ、流石にそんなお呼び方は・・・では幽々子さんと・・・」


蒼尾は流石に幽々ちゃんと呼ぶのにはかなりの抵抗があるらしく、幽々子さんと呼ぶ事にした

が、幽々子は若干不満そうだ


「藍と同じで固いわね~・・・幽々ちゃんでいいのに・・・何時かそう呼んで貰うわよ?」

「出来ればそのような日が来ない事を私は願います」


蒼尾は決まっているかのような堅苦しい言葉を返した。だがその言葉は自分の心を隠す様な

言い方であるようにも感じる事が出来た。

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