蒼尾と博麗の巫女
八雲家
和風の古い型の屋敷の作りの八雲亭。その庭で一人の妖怪が石の上で座禅をしていた。
長い金色の髪は背中触れるほど伸びていて、髪留めで留められていて、ポニーテールの様
になっている。座っていて身長は解りにくいが、おそらく180は超えるほどの身長はあるだろう。
肌は白く綺麗で、太陽の光で輝いている。一番目を引くのは、金色に輝いている7本の尻尾であった。そしてここで、先程の言葉を修正するとしよう。
彼は石に座っているのではなく1本の尻尾を石にさすように置いて全体重を支えているのだ。
尻尾の力も大切だがかなりのバランス感覚が問われる芸当である。
その妖怪は九尾の妖怪であり幻想郷の賢者である八雲 紫の式神
九尾の八雲 藍の息子『八雲 蒼尾』であった。
「・・・」
蒼尾は、この状態でバランスを保ちつつ妖力と霊力をに練り上げている。
元々持っている妖力を更に純度が高い妖力と霊力にしているのだ。
蒼尾は半人半妖である為、妖力と霊力をどちらも持っている。
が、純粋な妖怪な母と比べたら妖力も霊力もまだまだであり、蒼尾はそれが
コンプレックスの様に感じていた。自分は半人半妖であると理解する事は出来るが
蒼尾は自分が弱い事を嫌って自分を鍛え続けている。
「・・・はぁ!!」
蒼尾は目をカッと開いて、力を解放した。その瞬間、蒼尾を中心に衝撃波のような物が、巻き起こり庭の木々などを大きく揺らした。
蒼尾は石から、降りて身体を伸ばした
「あ~・・・さぁって・・・散歩でも行ってくるか」
蒼尾は一旦屋敷に戻って居間に『散歩に行ってきます』っと書置き
を残して、屋敷を出た。
霊力を使い、宙に浮き空を飛んで行った。
蒼尾は空を飛びながら幻想郷を眺めていた。すると高台にある神社
が目に付いた。
「あれが、紫様が言ってた博麗神社か?」
蒼尾が目覚めてから30年近い月日が経っているが母、藍によってほとんど八雲亭から
出た事が無く、幻想郷の地形や詳しい事は話でしか聞いた事が無く出かけようとすると
母に阻止され出掛ける事が出来なかったのだ。が、今回は母の目を盗んで出かけて来たのだ。
「行ってみるか」
蒼尾はゆっくり降下して行き、博麗神社の境内に降り立った。
境内はかなり綺麗にされていてが神殿はいかにも年季の入った物で
所々に綻びがある。
でもそれを総合して中々良い神社だ。
「じゃ、折角神社に来たんだしお賽銭でも入れるかな?」
蒼尾はお賽銭箱の前に移動し、懐から財布を取り出した
が、財布の中を確認すると顔を歪めた
「こ、小銭が無い・・・札しか無い・・・」
蒼尾の財布の中にはお札しか、入っていないのだ。
母、藍は蒼尾が永い永い眠りに着いていた蒼尾に対して
とてつもない程に過保護になってしまったのだ。
それは金銭面でも同様である。
「あ~・・・もうお札で良いっか・・・」
蒼尾は諦めた様に、財布からお札を取り出した。取り出した
1000円札2枚。それをお賽銭箱の中へ入れた。
そして鈴を鳴らして2回、腰が90度に曲がるように深く礼をし
2回手を叩き、もう一度、礼をした。
礼をし終わった所で蒼尾は後ろから肩を捕まれた。蒼尾は勢い良く
後ろを振り向くと
黒髪に大きな赤いリボン、顔の両側に髪を一総まとめて赤い髪飾りを付けていて
白と赤の色をして、脇が見えている巫女福を纏った少女がいた
「ねぇ・・・今いくら入れたの・・・」
「え~っと・・・2000円ですけど?」
すると少女は震えだし、涙を流して蒼尾の手を握った
「有難う!本当に有難う!!」
「は、はぁ・・・」
その頃の藍
「『散歩に行って来るから、心配しないでね。母さん。』だと?
蒼尾ぉぉぉおおおお!!!??何所に行ってしまったんだぁぁぁぁああああああ!!!!!!?????」
「ニャ!?」
「まったく、蒼尾が起きてから30年も経つのに親馬鹿体質は変わらないわね~・・・」
「本当に有り難う御座います!」
「いやあのもういいですから・・・(汗)」
蒼尾はお賽銭を入れてから、蒼尾に礼を言っている彼女に通されてお茶と煎餅を
出されていた
「私の名前は博麗 霊夢です」
霊夢は自分から名乗った、普通なら面倒くさがる筈の霊夢が率先している
それほどまでに多くのお賽銭を入れてもらって嬉しいのか
「俺の名は八雲 蒼尾。宜しく」
蒼尾は手を差し出すと、霊夢は少し送れて手を握り返した
「八雲?蒼尾さんって紫の家族か何かですか?」
「ああ、俺は紫様の式、藍母さんの息子さ」
そう言うと、霊夢は納得したように頷いた
「なるほど、それであの式みたいな感じが知った事ね。
それで、どうして此処に着たんです?」
「いやぁね、俺は永い間家から出た事がなくて、出掛けようとしても母さんに
邪魔されて出かける事が出来なかったんだ。今回は目を盗んで来たんだけど
前から紫様から聞いてたこの『博麗神社』に来たって訳さ」
蒼尾の説明を聞いていた霊夢は、少し呆れた
「あの式ってそんなに過保護だったの?」
「それにも事情があるんだよ。俺が永い間封印から目覚める事が無かったから
目覚めてからこれでもか!ってぐらい俺を思ってるんだ。しつこいほどにね」
「まあ、解らなくも無いですけど・・・」
霊夢は呆れながらお茶を啜った。蒼尾もお茶を啜る。
「おっと、もう戻らないと」
「帰るんですか?」
蒼尾が立ち上がると霊夢は若干、残念そうな声を出した。
蒼尾を気に入ったのか、心から残念そうな顔をしている。
「散歩に行ってくるって書き置き残して出てきただけだからね
流石にもう戻らないと、母さんが心配して暴走しちゃうからね。まったく」
蒼尾は肩を落とすような仕草をして、ため息を漏らした。霊夢はそれを見て
軽く同情したが、それほどまでに母に愛されているという事なのかと思った
「じゃあね、霊夢ちゃん」
そう言って、蒼尾は麩を開けて空に浮かび上がって何処かへ行ってしまった
「蒼尾さん・・・か・・・」
霊夢は蒼尾の名を呟いて、自分の湯呑に残っているお茶を飲んだ
「また来て欲しいわね・・・一人で飲むより美味しかったし・・・」
霊夢は空いている窓から外を見た。空は蒼尾の名と同じように蒼い空だった
「蒼尾ぉぉぉおおお!!私は心配したんだぞぉぉおお!!!!????
お前に何かがあったのではないのか、とても心配していたのだぞ!!!!」
「ごめん・・・でも、俺だってもう結構な歳なんだよ?もう自由でも・・・」
「ダメだ!!蒼尾、お前は私の宝なのだ!!お前は私が一生に愛すると
決めたんだ!!」
「ええ・・・過保護すぎるよ・・・」
「さあ♪私と一緒にお風呂に入ろう♪」
「はぁああ!!?なんでだよ!!!??」