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蒼尾 夢への協力者を得る

遅れてマジすいませんでしたぁぁぁああああああ!!!!!!

「…やべぇ、此処何処だ…?」


門番を突破して紅魔館内に入る事が出来たのは良いのだが、迷ってしまった蒼尾。よくよく考えなくても迷うのは当たり前だった。来た事も無いだたっ広い屋敷に一人では行って、迷う事無く屋敷の主の下へたどり着く事が出来る訳がなかったのだ。そして


「また来たか…」


この屋敷に住んでいるらしき妖精達が先程から攻撃を仕掛けまくってきている。正直言って面倒、ウザい。直撃したと仮定しても蒼尾にはダメージ所か、身体を揺らす事も無い。が、一々喰らってやるのもなんだか癪に障るので尻尾を使って、弾幕をはじいて全てぶつけ返している。そうしながら廊下を進んでいくと、ある部屋へと入った。そこは……視界を埋め尽くすほどの本の山だった。


「これはまた凄いな」


蒼尾は圧倒されながらも本棚にある本の題名を横目でちら見にしながら進んでいく。中には、強い力を宿している魔道書などもあって興味をそそられる。その中に一つ、今まで一番強く心が擽られるものがあった。


『種族における、転換魔術』


もしやこの魔術をつかれば、自分も母と同じ妖怪へとなれるのではないかと期待してしまった。だが種族を変えることは禁忌。外道や外法と言われるような手段を取るしかないほど、種族を変える事は禁断の物。だが手を伸ばしたくなってしょうがない、駄目だと解っていても手は伸びていく。しかし次の瞬間蒼尾は後ろへと飛びのいた。刹那、先程まで蒼尾が居た位置には大玉サイズの弾幕降り注いだ。恐らく当たっても問題は無いだろうが、反射的に避けてしまった。まあ過ぎた事はしょうがない。


「パ、パチュリー様、トラップが避けられちゃいました!?」

「魔理沙と博麗の巫女以外に避けられる者が此処に来るなんて驚いたわ」


蒼尾が奥の方へと目を向けながら、腰の帯をキツく締めなおす。敵が居るからだ、奥に居るのは赤い髪に白いYシャツに黒いベストにロングスカートを着用し、黒い羽がある悪魔。腰まである紫の髪と同じ色の服を着込んでいる女だった。


「勝手に本を閲覧しようとしないでくれる、それはかなり貴重な本なの」

「それは悪かったな、俺の夢を実現出来るかもしれん本だったもんで」

「えっでもそれって……」


悪魔、っといっても感じられる力はそれほど高くは無いので小悪魔と言った所だろう。小悪魔は本をとって確認するとやっぱりと声を上げる。


「パチュリー様、やっぱりこれ種族を変える大魔術の本ですよ」

「種族ね、貴方は種族を変えて人間になる事が夢なのかしら。七尾の妖怪」

「否違うね、俺は完全な妖怪になる事が夢だ」


その言葉を聴いた魔女、パチュリー・ノーレッジは興味を控えたような笑みを浮かべる。


「詳しく聞かせて貰えるかしら?」

「話す必要があるのか」

「あるとは言い切れないわ。でも貴方の夢を叶えてあげられるかも」

「………いいだろう」


自分には未だ見つけられない夢の実現の道、しかし魔女ならその方法も知っている可能性が高い。知っていなくても魔術や魔法関連の知識は自分異常に深い筈だ。それなら自分へのメリットは大きい。メリットの大きさに納得し、蒼尾は自分の夢を魔女パチュリーへ語り始めた。パチュリーはそれを怪訝そうな顔をせず、真剣な顔つきのまま、集中して聞いてくれた。自分が長年眠りに付いただった事、九尾の母と人間の父の間に生まれた半人半妖である事、母に多大な迷惑をかけた事、母に恩返しと同じ存在になりたいという思いを、無意識のうちに熱く語っていた。


「………………これが、俺があの本へ手を伸ばしてしまった理由だ。この図書館の所有物に無許可で手を伸ばしてしまった事は謝罪する…」

「………いえとても興味深い話だったわ。貴方の夢も、それに賭ける情熱と思いもね」

「…初めてだったよ」

「何が」


パチュリーは使役する小悪魔、愛称こぁに紅茶を入れされて飲んでいる。何故か蒼尾は客人のように扱われていて、蒼尾も紅茶が振舞われていた。ややぶっらきらぼうに答える魔女に、蒼尾は少し自虐的な笑み浮かべながら言う。


「俺の夢は今まで誰も話した事がなかった。尊敬し愛する母さんにも、紫様にも誰も語らずに、自分の心の中に締まってた。それが今はどうだ、初対面のアンタに語っている。如何してだろうな」


今までの自分なら取らなかった行動を笑いながら、初めての紅茶を口にしてみる。緑茶しか飲んだ事が無かった蒼尾には、とても新鮮で新しい味だと感じた。今の心内を表現するように。その心にパチュリーは答えた。


「さぁ、そう思ったんじゃない。自分の夢を語ってもいいと、それか私ならぞれを実現する術を知っていると」

「そうかもな……それだと俺はアンタを利用しようと思ったわけだ。すまなかった」

「…利用されるのは気に入らないと思ったけど、交換条件ならどうかしら?」

「条件…?」


そう、条件。そう言いながら再び紅茶を啜る。


「貴方は九尾の血を引いていて、更に今は七尾。新しい魔法の術式に、応用にも使えそうな力や耐性を持っている。だから、貴方は私の実験や魔法の術式を手伝う代わりに、種族変換魔術を準備してあげる。これなら公平じゃない?」

「パ、パチュリー様!?あの大魔術を使うのにどれだけ魔力や霊力、複雑な術式を組まなきゃいけないのはご存知ですよね!?」

「勿論、でも公平にするにはこれしかないわ。七尾が実験に協力してくれるなら、幾らが手間掛かる術式を組んでもお釣りが帰って来るわ」


それはそうですが…まだ納得しきれていないこぁ。肝心の蒼尾も悩んでいる。これは自分の夢だ。それを他人に任せてしまっていいのかと。でも母に恩返しする為にどうしても妖怪になって母のそばに居る必要がある、そのためなら


「解った、その条件を呑もう」

「成立ね」


そういいながらパチュリーと蒼尾は握手をする。


「私はこの紅魔館図書館の魔女。パチュリー、パチュリー・ノーレッジよ」

「俺は八雲 紫様の式神、八雲 藍の一人息子。八雲 蒼尾だ」

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