蒼尾の修行
「(ズズッ)・・・うむ、良い出汁が出ているな。次はあれだな」
「はぁ・・・」
蒼尾は紫の気まぐれによって白玉楼の西行寺 幽々子の元で暫しの間修行を積む事に
なってしまった。蒼尾の幽々子として従者修行は直ぐに始まっていた。まずは
屋敷の掃除に始まり、それから昼食の支度と次々とあった。昼食は妖夢と共に準備する
筈なのだが・・・
「良し、これではこれでいいな。次は・・・おっと、こっちも良い感じになってるな」
「す、凄い・・・」
蒼尾は片手で食材を高速で刻みながら、片手でフライパンを揺らして炒め物を作っている
フライパンの上には調味料が入った瓶が浮いており、時折傾いて中身がフライパンに
掛けられて行く。妖夢も調理はしているものの、蒼尾のあまりの技術と手際の良さに
圧倒されてしまっている。蒼尾は藍から家事などのやり方を教わっており、食事などの
準備は蒼尾が担当する事になっていた。
時折蒼尾は、包丁を指に沿わせて高速回転させながら食材を刻み、フライパンに放り込む
などのパフォーマンスをする。かなり危ない事だが、能力を使用して指を硬化させ
安全性を高めている。
「妖夢先輩、料理出来ました」
「せ、先輩・・・///。解りました、では料理を運びましょう!幽々子様がお待ちです」
「はい、行きましょう」
蒼尾は尻尾の上にも料理を載せて、器用に料理を妖夢と共に料理を運ぶ
「(先輩先輩先輩先輩・・・ああ・・・なんて良い響き・・・)」
妖夢は蒼尾に先輩と呼ばれるのが嬉しいのか、何時もより張り切っていた。それと
後輩に当たる蒼尾に良い所を見せたいのか、仕事効率と動きのキレが普段とは段違いだった
だが
「(先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩・・・)」
「またなの妖夢?」
食事中に妖夢は上の空になり、幽々子が何度も呼びかけても上の空のまま
どうやら先輩と呼ばれる快感に囚われてしまったようだ。その様子を見た蒼尾は
首を傾げて、どうして妖夢はこれほど上の空なのだろう?っと思っている
「何故妖夢先輩はこの様になってしまったのでしょう?」
「さぁねぇ?あっ蒼尾君、お茶のお代わりくれないかしら?」
「はい、既に此方に」
そういう蒼尾は、既にお茶が入れられた湯呑みが幽々子の手元に置かれていた。
「流石は藍の息子さんねぇ・・・。お茶の入れ方も味もどれを取って一級品よ」
「お褒めいただき恐縮至極」
「もう硬いわね・・・」
そういいつつ、幽々子は蒼尾の頬に手を当てながら近づいた
「ゆ、幽々子さん?」
「ふふふ・・・」
幽々子は蒼尾にかなり近い距離まで近づいていた。もうあと少し近づいてしまえばキスが
出来てしまうほどの距離まで近くなっていた
「い、いかがなさいましたか?」
「別にね・・・貴方が欲しいと思っただけよ」
「え・・・?」
蒼尾が声を上げた時には、幽々子はもう既に下がっていて、座っていた位置に戻って
お茶を飲みなおした。蒼尾は若干混乱してしまったようで、頭の上には?が浮かんでいる
「なんだか心が満たされるような感じね、・・・ふふふ・・・良い事思いついちゃった♪」