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絆創膏

 ここは悪事の拠点。うふふんジャポンこと、近所の小さな薬屋さんだ。今日も、嫌々出勤してきた。


『そういえば、仕事って事は、給料あるのかなぁ』


 店に入って、店主に挨拶すると奥のEVへ向かう。


『さあ、いくら公認とは言っても、悪事は悪事。確信犯の詐欺的行為。はぁ……、やる気が出ない……』


 しかし流石はEV。人の気持ちなど、知ったことかと薬品工場へ到着。


「おはようございます! 主任!」


「先生。おはようございます!!」


「おはようでござんす! 師匠!」


「おはようございますです。主将!」


『なんだかなぁ。主任? 先生? 師匠? 主将? バラバラじゃんか!? って、そんなガラじゃないし……。てか、おはようござんすって、どこの言葉だ?』


 黒タイツの挨拶をかわして、デスクへ向かう。


『で、今日の商品は?』


 デスクに置いてある書類に目を通す。


『絆創膏かぁ……。これは、ちょっと大変そうだな。特殊効果を付けると、詐欺商品ではなく、優良商品になってしまう可能……性? って、僕は何を考えているんだ!? よく考えてみろ? 詐欺紛いの商品を開発するよりも、最優良商品を開発する方が、よっぽどいいじゃないか!? そうだろ? そうなんだよ! って、僕は何を独りで、ブツブツと妄想しているんだ! そうと決まれば……』


【繰り返し使える魔法の清潔絆創膏登場。傷に当たるガーゼ部分が、常に清潔になるようになっています。《ばい菌バイバイ・ガーゼでガード》】


『ってあれ? 常に清潔?』


「主任。注意書きは!?」


 黒タイツに声を掛けられハッとする。


『どうして、注意書きが必要なんだ? 優良商品に注意書き?』


 小首を傾げながら、「じゃあ、取り扱い説明書に」と言っておく。


【但し、ガーゼを清潔に保つ為に、傷口から出る菌も、完全にカットします。使用時は、別売りのガーゼを別途使用してください】


 今日は良い気分だ。詐欺紛いのイカサマ商品などではなく、優良商品を開発したのだから。


 薬屋に戻ると、店主に笑顔で「お疲れ様でした!!」と言って、外に出た。うん! 空気が清々しい!


『明日からも、この調子で頑張ろう!』


 その僕の後では、店主が意味深な笑みを浮かべて、僕を見送っていた。






深みにはまっていく僕、この後どうしようか……

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