表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/25

うがい薬

 近所の小さな薬屋……。


「君は……、ここで、働いてみる気はないかね?」「まあいい。次にここに来た時に、説明してあげよう」


『あの言葉……。嫌な予感がする……』


 そう思いながらも結局、ここに来てしまう僕。そして、表から薬屋を眺めている僕。そして、あの黒い画用紙に書かれた白い文字。


【口腔ケアに、たくさん使うともったいないというあなた!! 今すぐ買ってみて。新登場の画期的うがい薬!】


『とうとう、売り文句に【買ってみて】と付けてしまったか……』


 とは思いつつも、そのネタ的誘惑に負けて店内に入ってしまった。


「いらっしゃいませ〜」


 店主が、不気味な声で誘惑している。ひとまず店主は無視して、目的のうがい薬を探す。


【喉にこびりついた雑菌も、歯垢も、口臭雑菌も、全てまとめてノックアウト! 口腔ケアの救世主《もう歯磨きなんて古臭い》登場!】


 毎度の事ながら、ネーミングが意味不明だが、その内容に興味がわく。


『うがい薬で、口腔ケア? しかも、歯磨きしなくて、虫歯にならない!? ありえない。そんな事が、あってたまるか!』


 胡散臭さ全開のその商品を手に取って眺める。


【使用上の注意。一日三回以上の使用は、お避けください。薬剤の成分が強すぎる為、口腔環境が悪化する恐れがあります】


『ま、まともだ……。いいのか? この薬屋で、こんなまともな商品を売っていいのか?』


 疑い始めたらキリがない。僕の頭の中では、この薬屋にまともな商品なんてなかった。


「ちょっと持って来な!」


 突然、時代錯誤な店主の声が聞こえたので、カウンターの方を見ると、店主がカウンターに片足を乗せて、人差し指で誘っている。


『おいおい……。そこは、土足厳禁じゃないのか……?』


 とは思いつつ、うがい薬を持ったままカウンターに近付く。


 と、突然、店主が商品を奪い取ったと思うと、おもむろにパッケージを開けだした。そして、目の前に掲げられた白い紙。


『……! 取り扱い説明書!!』


 ぶん取るように、手に取るとパッケージと違う個所を探す。


【この商品は、細菌駆除のため、強力な薬剤を使用しています。飲み込むと、何かしらの障害が起こる可能性があります。必ず、本剤を使用後は、一般的薬品会社のうがい薬にて、口腔内を洗浄してください】


『あった……。しかも、中に……。詐欺だ。しかも、あからさまに確信犯だ……』


 店主の顔を覗くと、何か納得したように頷くと、パッケージをテープで止めて、カウンターの後ろに置いた。


「で……、働いてみる気になったかい?」


 何が『で……』で、『働いてみる気に』なのかさっぱりわからない。


「そうか、じゃあ君の仕事を紹介しよう」


 ちょっと待ってくれ。何が『そうか』なんだ!? 僕の仕事って何だ?


「じゃあ、こっちに来てくれるかい?」


 納得も理解もしていないのに、店の奥へと案内される。そして、ネタ探しの旅は、悪夢の旅へと変わっていくのだった。




「ようこそ! 裏日本、うふふんジャポンへ!!」





さあ、物語の急加速です。


ただ、毎回何かの商品だけは書いていきたい気がします。


リクエストお題募集中。ネタでもいいですよ。(←「それは自分で考えろ!!」と自分にツッコミ)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ