大人用おむつ
僕の家の近所にある小さな薬屋さんは、ちょっと変わったあやしい商品が揃っている。今日も、特に買うものはなかったけど、また来てしまった。そして、これ……。
【介護用品の販売始めました】
簡単な言葉が、切り抜きのダンボールにマジックペンで、書かれている。
『あれ? なんだか、まともになってきてないか? このまま、商品もまともに……、なるわけないか!?』
店の中に入ると、店主が大量のダンボールに埋もれるようにして、座っている。
『か、顔だけ見えてら……』
思わずクスッと笑ってしまった。
『と、今日は……。介護用品……っと』
探す必要もなく、大人用紙オムツの山があった。
「今日の目玉商品だ」
声が聞こえた瞬間、振り返ると、店主がダンボールに埋もれて、顔だけ出したままドヤ顔をしている。
『いや……。そんなドヤ顔をされても……』
【オムツの中に排泄した感覚がわかるオムツ。近未来型オムツは、時代遅れ。たくさん吸収して、感覚もわからない。そんな紙オムツはもう古い。お年寄りも人間です。オムツなんかで、終わらせてはいけない!】
『……え? これだけの事書いてて、オムツ?』
チラッと、店主の方を見ると、よく見ろと言わんばかりに、商品を指差している。
再度、オムツのパッケージを観察する。
【排尿吸収量。一般的排尿量の約半分】
『へ? 半分? じゃあ、オムツの意味ないじゃん!?』
再度、店主を見ると、親指を立ててドヤ顔をしている。
『もう意味がわかんねぇ……』
と、オムツに興味もないので、退散することにする。カウンターの横を通り過ぎようとすると、
「ちょっと待ちな。今日は、ためになる話を聞いて行きな」
と、何か古い映画の影響なのだろうか、口調が若干変わっている。
「君は……、ここで、働いてみる気はないかね?」
唐突に突拍子もない事を言われ、頭の中をクエスチョンマークが飛び交っている。
「まあいい。次にここに来た時に、説明してあげよう」
そう笑顔で言った途端、真顔に戻って「冷やかしありがとうございました〜」と言っていた。
とりあえず、そのまま表に出た僕だったけど……。
『なんだか、ヤバイ事に巻き込まれている気がする……』
そう……思った。
おおっぅ! どんどん書く内容がややこしくなっていく……。連日更新、どこまで可能なのでしょう……。