登校
文章が成り立ってるのか不安です。とんちんかんな部分があるかもしれませんが、無視して読んでください。
霞夜が帰った後、サキは『館』の自室のベットに突っ伏していた。
沙雪の父親子仲、良すぎだろ・・・
「ベタ父子」と呼ばれたサキでも引きそうになるくらい、沙雪の父親子仲は異常なほどよかった。それこそ、この二人、結婚してもいいんじゃないかと思うくらい。『館』の住人と銀次はいつものことのように微笑ましそうに見ていたが、至近距離でしかも慣れないサキにとっては、とてもきつかった。
紫月がフラれたのも、性格のほかにこんな父親が側にいるせいかもしれない。後、これは憶測に過ぎないが、花吹雪と沙雪の仲が悪いのも異常すぎる父親好きの所為かもしれない。
なお、紫月は始終羨ましそうに霞夜と沙雪のやり取りを見ていた。その視線に鳥肌が立ったのはサキだけのようだ。
あー、なんか疲れた
ちなみに、部屋に帰ってからすぐに姿見で自分の顔を確認したのだが、瞳が水色になっていた。・・・これで妖怪の仲間入りか、としみじみと思ったサキだった。
ダラーンとベットの上で伸びていると、コンコンとドアがノックされた。
「サキちゃん、入るよ」
「入らないでください」
紫月がドアを開けて部屋に入ってきた。サキはベットに突っ伏したまま紫月を睨む。本当ならば、紫月が部屋に一歩踏み入れる前に廊下に押し戻してドア前で話すのだが、疲れて体がいうことを聞かない。
「疲れているようだね。どうしたんだい?」
「沙雪と霞夜様の仲って異常にいいんですね・・・」
「そうだよねぇ。・・・羨ましい」
紫月の最後の言葉にサキは背筋がゾゾッとした。
コイツ、霞夜様に嫉妬してる・・・!
どいつもこいつも沙雪のことが好き過ぎではないだろうか。沙雪は武家の出だという事だけあって容姿が美しい。その上に、少し尖った性格をしているのが一部の人に大ウケ、大多数の人からも可愛いと思われているはずだ。
「人間関係がサキの方が少なくとも得意でしょ」と沙雪は言っていたが、これは自分の方が苦手なのではないだろうか。
サキは紫月に見えないようコッソリと大きな大きなため息をついた。
◇ ◇ ◇
とうとう、この日が来たか・・・
翌朝、サキは九頭竜学園へとつながる〈鬼門〉を見上げていた。〈鬼門〉はその名の通り九頭竜学園を取り囲む北東の位置にある艮山にある北東の方向に開いた門だ。ここが一番『館』から近いので、『館』の住人は〈鬼門〉から登校する。
ちなみに今朝、紫月からもらったループタイを確認したら、なんと今日の空のような水色になっていた。「空色水晶はその日その時の空模様を映し出すんだよ」と紫月に偉そーに説明された。
「はーい、みんないる?」
紫月が一応『館』の主なので点呼をだらだらととっている。
早く終わらないかな
〈鬼門〉の周りには寮ではなく江都の街から通ってくる生徒たちでごった返している。通り過ぎるたびにジロジロ見られるので、サキはそっと住人たちの後ろに隠れた。なお、ここに頼れる姉貴分ことアズサはいない。アズサは一応、引きこもりなので学園の授業には遠隔で参加しているのだ。
そうすると何となく暇なので、サキは沙雪に話しかけた。サキと沙雪は魂は別物なものの、体は同じなので脳内で話し合うことができるのだ。
───沙雪、
『どうしたんですの?』
───『館』の住人の中に見慣れない顔がありますが・・・
住人の中にゲームなどでお稲荷さんの化身みたいなのが着るような服を身にまとった少年がいる。歳はサキより五つほど下だろうか。目元が長い前髪で隠れており、根暗そうに見える。見たところ、髪が長い以外普通の人間のように見える。育ちがいいのか、後ろで簡単にまとめられた黒髪はサラサラとしている。
『ああ、あれは狐神の末裔の二千翔様ですわ』
───狐神?
『ええ。京都の伏見から来た公家の御子息なのですの』
公家!
公家はこの世界では武士より政治的影響は小さいが、位は上となっている。
『とても頭の回転が速い方で、「〈烏天狗〉の頭脳」と呼ばれていますわ』
───ほお
〈烏天狗〉に入っている所を見ると、この公家の坊ちゃんも何かしら問題児なのかも知れない。
まじまじとその少年を見ていると、紫月の点呼がやっと終わった。
「んじゃ、しゅっぱーつ」
妙に幼い紫月の掛け声で、『館』の一団は学園に登校した。
サキが〈鬼門〉から九頭竜学園に入るのはこれで二回目だ。今日とこの前、〈烏天狗〉の仕事を手伝った時の二回。前に入った時は、このような状況でまたこの門をくぐるだなんて、思いもしなかった。
入ってすぐの所に先生方が登校する生徒を見守ように立っている。つい、数十年前まではこの先生方はいなかったそうだが、その昔この門の前で他の生徒を巻き込んだ激しい喧嘩をしたヤツがいたそうだ。それから先生方が登校する生徒の監視をするようになったのだ。
「おっはよー!」
サキが先生方の所を警戒しながら(周りからは睨んでいるように見えていたらしい)通り過ぎると、鬼門寮の方から猫桜が走ってきた。
猫桜は紫月の妹だが『館』には住んでおらず、寮生活を存分に楽しむという武家のお嬢様の中では珍しい学園生活を送っている。いつも白地の着物を着て、赤い花の簪を付けている。紫月の妹なだけあって、猫耳の可愛い子なのだが、何というか、紫月より妖怪っぽい。首、手首まで黒い毛で覆われ、手にはなんとギョロギョロと動く猫の目がついている。大体、手の目の方で物を見ているらしいので、顔に着いた方の目は常に閉じられている。だが正直言って、動く目玉が気持ち悪い。まあ、妖界では珍しい事ではないと思うのでこれも慣れなければいけないな、とサキは思った。
ちなみに、猫桜も〈烏天狗〉に入っている。そのため、勿論困った性質を持っている。
「サキちゃん、おはよ。今日も可愛いね」
また・・・
堂々とお世辞をいう猫桜。紫月と同じクチのようだ。兄妹なだけある。
「おはようございます」
「ねぇ、サキちゃん。今日ボクと給食食べない?調度、いい場所を知ってるんだよー」
「遠慮しときます」
「えー、なんでー」
サキが断ると、猫桜は口を尖らせた。
「後ろのヒトが怖いんですよ」
「猫桜、私の恋敵になる心算かい?」
「ふふふ、お兄様。ボクの方がサキちゃんに気に入られているんだよ?」
いや、別に気に入ってない
猫桜の困った性質・・・それは百合という所だ。この世界では性別のない種族もいるので性別の垣根を超えた結婚などは認められているのだが、やっぱり同性愛者は少ないらしい。
そういう所は本人の自由だと思っているサキだが、兄妹間の色恋沙汰の火種にはなりたくない。何より、先程から左右に腕を引っ張られて痛いことこの上ない。
あー、めんどくせー
この世に色恋沙汰ほど厄介な兄妹喧嘩はない。
「ねえー、ボクとご飯食べようよー。ついでにボクの部屋にも遊びに来てー」
「それだけで終わる気がしないのでお断りします」
「じゃあ、私と・・・」
「お断りします・・・!」
サキは猫桜からの誘いはやんわりと断り、紫月からのものはきっぱり断った。しっかり思いを伝える。これが色恋沙汰にならないための最善の解決方法だ。
「ほら、ボクの方がサキちゃんに気に入られてる」
「チッチ、サキちゃんはツンデレなんだよ」
んなの知らん!
「おい、そこっ!早く行かないと朝礼に遅れるぞ!」
兄妹口論が始まりかけた所で、見守りの先生に睨まれた。時計を確認すると、もうかなりギリギリの時間だ。
「いっそげー!」
『館』の一団は凪を先頭に大急ぎで走り出した。
読了ありがとうございます。
自分の作品がどれほどのものか知りたいので、評価などなどよろしくお願いします。
(不定期更新なので、とても空くことがあります)




