あとがき
今回のお話はお上品な言葉で言えば「勧善懲悪」であり、俗な言葉で言えば「スカッとジャパン」「ざまぁ」なお話です。
正直下手な長編よりも受けるんですわ、この手のお話。
今回は「なるべく読者を怒らせる」ように仕向けたつもりです。患者を殺す詐欺療法を勧める医師が、娘の小学校入学式ではしゃいで幸福をかみしめているのを見てたら大激怒ですし、
宝くじで組違い賞とは言え当たりをゲットしたら怒りが大爆発しますよ。
「他人の不幸でメシが美味い」の逆バージョンです。言ってみれば「悪党の幸福でメシが不味い」って奴です。
それだけ許せない奴に天誅が下るってなると、面白いわけですよ。ジェットコースターは落差がでかい程面白いわけでして。
そりゃあれだけ追放ざまぁが受けたのにもきちんと理由があるんですよね。人間の本能に刺さるんですわ。
本作のメインディッシュはいわゆる「ざまぁ」なんですが「香り付け」として「悪党の視点から民間療法の闇を描く」事もしています。
なぜ真っ当な医者の言う事を信じる事が出来ないのか? そのメカニズムを披露して
「ネギを背負ったどころかカモ鍋のそのほかの具材を用意してだし汁までつけてくれて、あとは火をつけるだけで鍋になるカモ」から搾取する実態を公表したつもりです。
人間「自分が信じられる事」以外の物は信じる事が出来ないんですよ。
敬虔なクリスチャンはダーウィンの進化論を受け入れないし、転売は法で認められている商売だ! って思ってる奴には何言っても無駄ですよ。
真っ当な医者の言ってる事と自分の信じている事が違っていた場合は「医者は国と結託して患者からカネをむしろうとしている!!」って自然に思います。それが「人間の限界」って奴です。
「真っ当な医者の言ってる事と自分の信念とが全く違う人」は「人類全体の0.01%」しかいない希少種なんですが、日本人だけでも約1億人いますから1億人×0.01%だと1万人いるんですよね。
その1万人から月1万円奪えば月収1億、年商12億だからまぁまぁうまい商売かと。
作中では「高濃度酸素水」が売り物だったから原価ほぼ0円の水道水に値段付けて売るんだから「ボロい」商売だなと。
正直厚皮やその関係者からしたら高濃度酸素水を信じてる人なんて「無限にカネが引き出せるATM」程度にしか思ってないでしょう。少なくとも人間扱いはしてないはずです。
人間「快不快」の感情を突かれるともろくて弱いもんです。そんな怪しい話に騙されるわけがない! って思ってる人ほど「コロリ」と騙されますよ。
人間って奴はもろくて「耳や心に心地良い話は悪い話じゃない」って勘違いを起こすんですよ。騙されないように。
それと「厚皮レベルまで酷い医者、いるわけないだろ!」って思うかもしれません。でも「事実は小説よりも奇なり」って言葉があるように
「血圧は高くていい。降圧剤は高リスク。減塩もしなくていい」っていう内容の本を書いてる医者、お気の毒だけど『実在』するんですよね。
「そんなことやったら脳の血管破裂して死ぬか植物人間か麻痺の3択ですがな!」って言いたくなる医者は『本当にいます』よ。残念ですが、俺の妄想じゃないです。
なので騙されないように。厚皮みたいな「アカン」医者は『実在』します。3回も「実在する」「本当にいる」って言ったからな俺は。




