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49 風船オジサン

○【ケモイチ村の外】



マノン

「サラマンダーさん無事だったんですね! 良かったです…」


サラマンダー

「だふ。」



 化け物彼女の、強烈な一撃を受けたサラマンダーであったが、その生命力からすでに回復していた。


 マノン・マドレーヌへ対し、

 人狼じんろうルー・ガルーの貪狼どんろうは、左胸へ右手の平を当て、前へ身体を傾け、感嘆かんたんべる。



貪狼どんろう

流石さすが、御主人さまの愛弟子まなでし

 薔薇結界ばらけっかい✿をつけたり、足場に使う発想を、したことは無かった――――」


マノン

貪狼どんろうさま… ありがとうございます。来ていただいて。」



 マノンのフォルム・ドゥ・ワンワンを、しげしげと貪狼どんろうながめ、



貪狼どんろう

「―――― とても魅力的だ。」


マノン

「えっ、えぇ〜〜 (∩〃∇〃∩ ほえー」


貪狼どんろう

「お嬢…… いや。」



 マノン・マドレーヌの前へ向きなおり、片膝かたひざをつく貪狼どんろう



貪狼どんろう

ひめと… 呼ばせてくださいますか?

 こんな感覚かんかくは初めてだ〜〜」


マノン

「(ฅ〃∇〃ฅ)՞՞՞ ほっ、ほえ〜〜〜」


アルコル

「ちょっと貪狼どんろう〜 なに口説くどいてんの? 歳の差かんがえてよ!」


貪狼どんろう

「いや、さそってる訳では無く―――― 純粋じゅんすいに、おつかえさせて頂きたいと…」


辰子たつこちゃん 元・化け物彼女

「 (╯˶ˊ◕ᴗ◕˶)╯りゅ〜りゅりゅぅ!」


貪狼どんろう

「浮気じゃないよ〜 辰子つこちゃん、キスしておくれ、さあ。」



 元・化け物彼女の、辰子ちゃんが不平を漏らし。

 やはり、化け物彼女だった、雪兎ゆきうさぎちゃんと、アヒルちゃんも、不満げだ。



雪兎ゆきうさぎちゃん

「 ꒰⑅꜆ᐢ ᎔ . ᎔ᐢ꜀꒱ うさうさうさ、うさうさ!」


アヒルちゃん

「 (∩o・Θ・) あひー! あひー!」


貪狼どんろう

ゆきちゃん、アヒちゃん、忘れてないよ〜 こっちへおいで、さあ❤」



 すると、マノンのフォルム・ドゥ・ワンワンが解除され、霊犬れいけん いぬちゃんも現れて、貪狼どんろうに甘える。



眷属けんぞく霊犬れいけん いぬ

「 ◤˶˃̶ ㉨ ˂̶˶◥ わんわんお! わんわんお!」


貪狼どんろう

「よ〜し よしよし、よ〜し よしよしよし。よ〜し よしよし、よ〜し よしよしよし〜」


マノン

「(〃//∇//)꜆꜄꜆ ほえ〜〜」


アルコル

「マノンちゃんも、❝よしよし❞ やってもらいたいの?

 じゃあぁ〜 あたしがやって上げる❤」



 アルコルは愉しそうに、マノンへ抱きつき頬擦ほおずりした。



マノン

「*: +⁎∗ (((*´∀`))˶º Οº )) +.*⁎⋆。ほえ ほえー」



○【世界衛生せかいえいせいウイルス研究所けんきゅうじょ、前】



 ―――― 世界衛生ウイルス研究所。


 その名は、公衆衛生こうしゅうえいせいによる○けん構造こうぞうの象徴であり、世界のやまいを管理する、国際的巨大組織の一端いったんになうピラミッド『ルージュ・パルフェ〈完璧な赤〉の塔』だ。

 頂点に立つのは、❝赤き女王❞


 ベラ・マルグヴェン。



 冷淡れいたんに透き通るまなこは、人類の権利などに興味きょうみを示さず、既得権益きとくけんえきほしいままにする。

 彼女の意思は、まるで見えざる糸で、数多くの人形をたばねる傀儡師くぐつしごとく、巨大な組織を指先ひとつで支配していた。


 上層には、真っ白な防護服をまとう研究員たちが、無数の病原体を操る神官のように、機械的な手つきで試験管をあつかい、無機質な実験室を行き交い。


 下層では、白いドラム缶を思わせる装甲に包まれた、パワードスーツの群衆が整列し、圧倒的な質量と無感情な秩序ちつじょって、一糸乱れぬ1団は行進をしている。



ベラ・マルグヴェン所長

「パワードスーツ部隊よ、我々の力の程を見せてやれ!」


パワードスーツ

「ウヮーッ!!」



 これこそが、ベラ・マルグヴェン所長の、完璧な支配の形である。


 しかし――――

 その統制とうせいを破り。象牙ぞうげとうへと忍び寄る、複数の影、影、影、



 『忍者にんじゃ禄存ろくぞん

 水遁すいとんの術を極めし者。



忍者✦禄存

忍法にんぽう水曲独楽みずきょくごま!」



 手刀印しゅとういんを結ぶと。

 床を濡らす水流に、水の曲独楽きょくごまが走り、複数のパワードスーツの頭頂部とうちょうぶへピョンと跳ね、独楽こまは回転し、

 その液体の独楽こまの軸はやいばと化して、パワードスーツは次々と膝をつきくずれて落ちた。

 一瞬、敵の背後に禄存ろくぞんは現れる。だが再び、己の姿を水へと溶かし、もう見ることは叶わない。



 『侍』武曲ぶごく

 腰にく刀剣「紫電しでん」は、かみなり魔鉱石まこうせきを鍛えし一振ひとふり。



侍⚔武曲

紫電解しでんかい秘剣ひけん舞鳴神まいなるかみ!」



 太刀たち、稲妻とひらめき。

 パワードスーツの装甲を、紙のごとく斬り裂く。

 青白きジグザグの残光ざんこうけ、白い強健きょうけんるい々と倒れ重なった。



 さらにこの戦場を、一際ひときわ大きな影がおおう。


 『巨人ジェアン』巨門こもん

 はがねの筋肉でできたあしは、職員のあつかう魔動まどうブルドーザーを、サッカーボールのようにドリブルし。

 さらに、大地の鳴動めいどうとともに蹴り上げる。



巨人ジェアン❇巨門

特殊車両とくしゅしゃりょうは友達、こわくないよ。さぁ 気合を入れて、一発決めよう。ミラクル❇シューーーーート!」



 今度は巨大な魔動パワーショベルが宙を舞い、研究所の塔をゴールに見立てて、

 まるでシュート練習がネットを揺らすが如く、蹴り込まれて逝く。

 衝撃しょうげきとともに塔は揺れ、白衣の研究員たちが悲鳴を上げた。



 そして、巨門の肩にはまだ一人、異形の存在がいるのだ。


 『呪詛じゅそピエロ』紫微大王しびだいおう

 色とりどりの風船から伸びるひもへ腰掛けた ❝風船オジサン❞ と化し、巨人の肩より飛び立つと、

 狂気と愉悦ゆえつの入り混じった声で、笑う道化師。



呪詛ピエロ、紫微大王

「くくく… ファッファッハッハッハッハ〜〜〜

 さぁて、ベラ・マルグヴェン〜 お前の ❝完璧な赤の塔❞ に、染みを付けてやろぉかぁ〜

 ブワァッ! ファッファッハッハッハッハ〜〜〜〜」



 その時、一陣いちじんの風はサァーっと吹き上がり。風船オジサンを塔より遠ざけ、そればかりか空高くへ舞いげた。



紫微大王しびだいおう

「ブヒョオオオオオ~~!! 塔が、遠ざかる。塔ぁ~!

 待って、待て待て待てぇ~~~い!! 鳥がっ、邪魔だッ!って〜〜 アッ〜! オレの顔にウ●コ落としてったよ~!


 …… 塔さん… 僕のあのオジサン、どうしたんでしょうね? いきなり風が吹いてきたもんだから、飛んでったあの『風船オジサン』ですよ。

 塔さん、あれは好きなオジサンでしたよ、塔さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは〜

 成層圏せいそうけんで『落語独演会』が始まってるんですよ〜 塔さん〜〜


 〈とう〉とかけて〈健康診断〉ととく、そのこころは。〈とうの高さが気になります〉


 Ψ(*Φ益Φ*)Ψ ぐふっ〈塔の高さ〉〈糖の高さ〉糖質の高さが気になります…

 …… あれっ? 落語なのに落ちないよっ?! 上がってるよ! 上がってるよォォォォォ………」

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