41 ウォートロールの強攻
○【ケモイチ村、外れの物置跡】
ボッォ━━━ォォォン!!
あっと言う間に、物置小屋はバラバラに吹っ飛び、世界衛生ウイルス研究所に、捕らえられていたウォートロールの複数名が、次から次へとケモイチ村へ乗り込んで来た。
指を鳴らす、吸血鬼ヴァンピール。
吸血鬼ヴァンピール✴文曲
「低血圧✴パチン♪」
ウォートロールは顔色が真っ青になった… かどうか分からないが、流石にヒューマンとは体力が違う、
動きは鈍くなっても、トロールの爪の一振りで、周辺の木々も切り飛ばされ、近くの建造物へ突き刺さる。
ヅカ〜ン! ドッ! ドッ! ドッ! ドッ!!
透明人間の破軍
「Yo バフ❗ Hey デバフ‼」
透明人間の破軍が、ウォートロールにデバフで弱体化を、吸血鬼ヴァンピール✴文曲へは、バフで能力向上の支援をした。
ウォートロールの振り降ろされる爪を、顔にかかった髪でも直すが如く、簡単に弾き返した文曲は、
❝内緒ポーズ❞ からその人差し指で、氷雨そぼ降る天へ向け手をのばす✴
文曲
「吹けよ風、呼べよ嵐、叫べよ竜巻!」
ウォートロール
「ウォォオォォォォ……」
氷雨が激しく地を叩いたかと思うと、稲光が一瞬、世界を真白く染めた。
道を失い舞い狂う風の獣たちが、空を引き裂く螺旋となって、ウォートロールたちへ巻き付くと、大気を震わす轟音を叫びながら、天を目指して昇って征く。
文曲
「これに、サラマンダー・パウダーを混ぜておけば、愛弟子 (マノン) も喜ぶだろう。」
サラマンダー・パウダーの、朱へ色づく竜巻は、一頻りそこらじゅうを吠え廻ると。
ウォートロールを優しく着地させる、余裕もみせた。
文曲
「天空を支配するマイェストレレ (女王たち) よ、感謝もうしあげます。」
吸血鬼ヴァンピール✴文曲は、邪悪な風を使役する妖精〈イェル〉へ、謝意を表す。
そこへもう1人、魔法陣を通って出て来た。
侍⚔武曲だ。
世界衛生ウイルス研究所から、ウォートロールの後を追ってやって来たのである。武曲は✪魔法陣❂へ触れ、❝魔力❞ を注入し転移魔法を維持すると、
侍⚔武曲
「ウイルス研究所でも✦禄存殿が、魔法陣を維持して御座れば、乗り込もうではないか!」
× × ×
❥アルコルちゃん★彡とタコ魔物たちは、馬防柵でウォートロールの対応を続けるべく、その場へ残し。
他の紫微一族たち、
ギヨティーヌとクロ・ド・プラチナ、マノン・マドレーヌは仔犬の霊犬 戌 を抱っこして、
ソフィー・シューが ❝魔動蒸気機人間砲弾❞ を積む ❝魔動蒸気機関トラック❞ に乗って、救援隊スタッフ数名と共に、
世界衛生ウイルス研究所に通ずる魔法陣のある、ケモイチ村の外れへ結集した。
ギヨティーヌ
「クロさまにはウイルス研究所へ来て、いただきたいのですわ。
もし転移魔法が使えなくなっても、わたくしをケモイチ村へ連れてもどって欲しいのです。」
クロ・ド・プラチナ
「うむ、その様にしよう。」
ギヨティーヌ
「マノンさん、貴方にはケモイチ村に残ってもらいたいのですわ。と言っても、転移魔法陣に ❝魔力❞ を注入し続けて、維持してもらいたいのです。」
マノン
「… わかりました。魔法陣を維持します!」
ギヨティーヌ
「良いですか、呼吸法を忘れずに!
足の裏から息を吸い、大地のエネルギーを臍下丹田に貯めて、魔力にするんですのよ。
これも修行ですわ。」
マノン
「はい、お師匠さま!」
霊犬 戌
「 ◤˶ˊ◕㉨◕˶◥ わんわんお! わんわんお!」
マノン
「こちらこそ霊犬さま、お世話になりました。」
眷属霊犬 戌 が、マノンから放たれ、人狼ルー・ガルーの貪狼の元へ飛んで行く。
貪狼は 戌 に頬ずりして、
貪狼
「(˶‘ᵕ’)ノ"ˊᵕˋ*) よ〜し よしよしよし、よ〜し よしよしよし〜 戌ちゃん、大変でちたねぇ〜、大丈夫でちたかぁ? よ〜し よしよしよし よしよしよし〜
お嬢さん、僕の眷属が、お世話になりました。」
マノン
「いいえ、こちらこそ。貪狼さまも、お気を付けください。」
貪狼
「どうです? 今度、美味しい焼き菓子でも食べに行きませんか?
よ〜し よしよしよし、よ〜し よしよしよし〜」
紫微大王
「(σ⚆益⚆)σ ちょっと〜 貪狼ちゃ〜ん。御主人さまにドヤされっちまうぞぉ〜」
貪狼
「よ〜し よしよしよし〜
『泊まりで』なんて言いません。お茶にもお誘いしないだなんて、そんな失礼なことが出来ないだけです。
よ〜し よしよしよし よしよしよし〜」
マノン
「∩˶ˊ⌓ˋ˶∩ ほえー」
○【世界衛生ウイルス研究所、別棟格納庫】
感染者が集められ、ケモイチ村やトロールの丘へ送られていた、世界衛生ウイルス研究所の敷地内の端、別棟になる格納庫へ、
転移魔法陣を通り抜け、ギヨティーヌたちは出て来た。
格納庫の扉を開くと、古い石橋の向こうに、瘴気に包まれる異形の軍勢が姿を現す。
ウォーウイルスに感染したウォートロールが、怒声を荒げながら徘徊し、
その後方では、得体の知れぬ化け物の奇声が、
ギィイィィィィイィィィッ!
リュウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!
アヒィィィィィィィーーー!
と聞こえて来る。
さらにその後ろで、白いドラム缶のようなパワードスーツの集団と、それより一際大きいカーキ色のゴーレム共が持つ、熱せられた斧とその機動音は、ガガガガッと軋みを上げ、
そしてその遙か背後の、真っ白な防護服を着る者たちの中心に立つのは、赤色の防護服をまとった世界衛生ウイルス研究所所長―――― ベラ・マルグヴェン。




