35 生きている山
○【ケモイチ村、夜の上空】
マノン
「目にグルグルの、暗い靄が、かかってます。ウォーウイルスの症状です!」
クロ・ド・プラチナ
「あれは、マウンテントロールである。」
空で不測の事態に備えていた、クロ・ド・プラチナが、その正体を答え。
彼の背に乗るマノン・マドレーヌの頭頂の、不死鳥の羽根が煌めいた。
マウンテントロール
「グルル… グルル…… ォォォォォ……!」
御嶽の鳴動の声に、翼ある者は飛び去り、そうでない生き物はブルブル震えている。自然が恐怖していた。
大気は怯え畏怖の匂いが立ち込める、マウンテントロールの霞深き森のツル植物に、
脚をからめ取られて、懸命に抜け出そうとする、白金の霊犬を、
旋回するフェニックスの眼は逃さない!
眷属神犬 戌
「 ◤˶ ; ㉨ ; ◥ わんわんお! わんわんお!」
マノン
「…… 見えます見えます、あれは… 貪狼さまの眷属さま、戌 さま… ではないでしょうか?!
クロ・ド・プラチナさま、救けに行くべきです!」
クロ・ド・プラチナ
「その通りであるが、ギヨティーヌにも知らせるべきだ。」
マノン
「わかりました。」
マノンとクロ・ド・プラチナは、巨門の肩に乗る、ギヨティーヌの元へ移動した。
ギヨティーヌ
「―――― なんですってぇ?! おそらく、武曲さんが連絡用に預かっていた、貪狼さんの眷属さんですわね…
廉貞さん、わたくしをマウンテントロールの森まで、連れて行ってくださいまし。」
青銅の少年、廉貞
「わかったの〜」
ギヨティーヌを、青銅の少年の廉貞が、スクラ○ダークロス (後ろから抱えて飛ぶ) して、
マノンを乗せるクロ・ド・プラチナと共に、マウンテントロールの森へ急ぎ飛び立つ。
○【マウンテントロールの森】
マノン
「この辺です。この… この辺りに……
あっ、居られました!」
注意深くその存在を捜って行く、マノン・マドレーヌの瞳がとらえた、人狼ルー・ガルー 貪狼の、眷属霊犬 戌 へ、
森のツル植物はからまり、近付けば他の蔦たちも感応する、まるで動物のようにウネウネと、素早く稼働して寄せ付けない。
ギヨティーヌ
「それでは廉貞さん、霊犬さんを傷付けないように、思う存分やってお仕舞いなさい。」
青銅の少年、廉貞
「やるの〜
眼からビーーーーーム!」
まばたきする間もなく ❝恐怖の大王❞ の眼からの光線が、霊犬の周りを焼き払い、皆はそこへ着地するが早いか、
マノン
「戌 さま!」
マノン・マドレーヌはクロ・ド・プラチナより急いで飛び降り、眷属霊犬 戌 へ巻き付き、未だにうねるツル植物を、素手で取り除こうとした。
ギヨティーヌ
「いけませわ、マノンさん! 慌ててはっ、」
マノン
「ぃたぃ…」
マノンの手へ痛みが走り、ツル植物からは、クラゲのような毒針が発射される。
ギヨティーヌ
「煩悩具足!」
マウンテントロールの、森のツル植物が鞭の如く、唸りを上げ周辺で暴れる中、
ギヨティーヌ・タタンは、奥義『煩悩具足』を発動させ、ツル植物を、
ギヨティーヌ
「ふんぬ!!」
と引きちぎった!
小さき霊犬 戌 は、マノンの手へ倒れ込み、ギヨティーヌはマノンを抱いて、クロ・ド・プラチナへ飛びのると、
恐怖の大王の廉貞と共に、蘇らんとする森より離脱した。
霊犬 戌
「 ◤˶ ; ㉨ ; ◥ わんわんお! わんわん わんわん わんわんお!」
ギヨティーヌは、霊犬の訴えに耳を傾けるのだが――――
ギヨティーヌ
「… わたくし、霊犬さんの言葉が、わかりませんの……」
マノン
「お師匠さま、
… サラマンダー・パウダーは、ウォートロールに効果あり。だそうです!」
ギヨティーヌ
「(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ஐ:*+ 良かったですわ。」
マノン
「トロール狂暴化の原因は、世界衛生ウイルス研究所の、所長の娘が、
トロールに取り替えられたから、ウォーウイルスに感染したヒューマンを… えっ?!……」
マノン・マドレーヌは、その内容に絶句する。
クロ・ド・プラチナ
「…… 世界衛生ウイルス研究所、所長の娘が、トロールに取り替えられたため、ウォーウイルスに感染せしヒューマンを、トロールたちの住まう森へ放ち、故意にトロールたちを、感染させるに及んだ。
命を受け、こちらへ向かいしも、マウンテントロールの森に捕まり、逃るること敵わず、やっと報告が出来たしだいにて、」
マノンの代わりに、クロ・ド・プラチナが霊犬の、言葉を訳したが、
そこまで話すと、眷属霊犬 戌 は力尽き、マノンの手の上で、パタリと気を失ってしまう。
× × ×
「霊犬さま、霊犬さま、痛くないですか?」
「 ◤⁎´ꈍ㉨ꈍ◥ わんわんお……」
霊犬 戌 は、温かい蒸しタオルに恵まれ、夢現の中、幸福に包まれていた…




