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32 馬防柵

○【ケモイチ村、夕方】



 ケモイチ村へ、透明人間の破軍はぐんと、蝙蝠こうもり姿の吸血鬼ヴァンピールの文曲もんごくが、やって来た時はまだ、夕方とありトロールの気配けはいはない。

 村民そんみんはひっそりと家々へ閉じこもり、息をひそめている状況じょうきょうだった。


 だが、あのマノンの父、アンドレ・マドレーヌの馬車が石畳を叩いた広場には、『WHVI』とロゴのある、防護服ぼうごふくと白いドラム缶パワードスーツの集団が、堂々と居座いすわっている。

 透明人間の破軍はぐんは村の集会所と思わしき、鍵をかけ忘れた一つの窓から中へ、失礼して入り込み、そこに居る幾人いくにんかの村民の会話へ、聞き耳を立てた。



○【ケモイチ村、集会所の中】



村人 アラン

「マノンちゃんの捜索隊そうさくたいを作りたい、村長たのむ!」


村長

「ダメだ行かせられない。」


村人 アラン

「じゃあ、オレだけでも行かせてくれ!」


村長

「マノンちゃんのことは、オ・ソレイユりょうから来てくれた救援隊きゅうえんたいにたのんである、まかせるんだ。」


村人 アラン

「オ・ソレイユりょう救援きゅうえんをたのみはしたが、来るのが早すぎるんじゃないか? WHVIって有るんだが… あれは何です。」

(WHVIは、世界衛生ウイルス研究所か?…)


村人 デオダ

「ケモイチ駅に、長距離ちょうきょり念話ねんわ魔術機まじゅつきがあって良かったですね、村長。

今回の伝染病のような緊急事態きんきゅうじたいは、起こるものだからなぁ。」


村長

「せっかく救援が来てくれたんだ、信じようじゃないか。な、アラン。」



○【ケモイチ村、広場】



 WHVIの防護服とパワードスーツを見張っていた、蝙蝠こうもり姿の文曲もんごくの所へ、透明人間の破軍はぐんは合流し、

 文曲もんごくは情報を共有すべく、眷属けんぞく蝙蝠こうもりを飛ばす。



文曲もんごく

眷属けんぞく 、たのんだぞ!」


眷属けんぞく蝙蝠こうもり

「 ₍₍ ⎛⎝㇏^˶˃ ᵕ ˂˶^ノ⎠⎞ ₎₎ ちすちす! ちすちす!」



○【ケモイチ村の上空】



 足元に雲がたなびくクロ・ド・プラチナをり、すでにケモイチ村の上空へ到着した、ギヨティーヌ・タタンは、

 弟子のマノン・マドレーヌを前へ、恐怖の大王 (青銅の少年像) へ憑依ひょういする、幽霊ファントームの廉貞れんていを後ろに、

 情報収集のため、高所こうしょより物見ものみをしている。


 そこへ一匹のヴァンピール眷属けんぞく蝙蝠こうもりが、一生懸命に羽ばたき報告へ飛んできた。



ギヨティーヌ

「あら、可愛らしいですわね。」


マノン

文曲もんごくさまの、眷属けんぞく さまですね。」



 マノン・マドレーヌはモフモフに垂れた、お耳をピコピコさせている。



ギヨティーヌ

「マノンさん。文曲もんごくさんには何匹も眷属さんがいましてよ。

 お耳で聴き分けたんですの? 嗅覚きゅうかくぅ?!」


マノン

「いえ… ❝魔素まそ❞ です。お師匠さまが、呼吸法を教えてくださいましたけど……」


ギヨティーヌ

「そぉ〜〜ですわね! ちゃんと出来てましてよマノンさん!」

( (; ゜д゜) おそろしい子❗

 ちょっと臍下丹田せいかたんでん呼吸法を教えたら、魔素感知まそかんち会得えとくしたと言うんですの?!

 元々、嗅覚や聴覚はするどいと思っていましたけれど……)



 眷属けんぞく蝙蝠こうもり はマノン・マドレーヌの手へ乗ると、



眷属蝙蝠 a

「 ⎛(⎝^˶˃ ᵕ ˂˶^⎠)⎞ ちすちす! ちすちす!」


マノン

「お師匠さま、集会所に村の人たちが何人か集まってるそうです…

 どうしたんですか、お師匠さま?」


クロ・ド・プラチナ

(師弟コントをやっておる。)



 愛弟子まなでしマノンによって、師匠のギヨティーヌは少女漫画の白目になっていた。



恐怖の大王 (青銅の少年像) の廉貞れんてい

御主人ごしゅじんさま〜 遊んでないでそろそろ行くの〜」



 ギヨティーヌ・タタンに後ろから、スク○ンダークロスした少年像の廉貞れんていは、

 ギヨティーヌを抱え、クロ・ド・プラチナより飛び立ち、巨人ジェアン❇巨門こもんたちの居る所まで、空を移動して行く。



○【ケモイチ村への道、夕方】



ギヨティーヌ

巨門こもんさん、日の入りまで時間がありませんわよ!」


巨門こもん

「自分で試合時間を決めちゃだめだ! ふえるまで全力をつくそう❇」



 巨大化した、巨人ジェアンの巨門こもんにかかれば、馬防柵ばぼうさくも ❝合戦かっせんジオラマ❞ を作るがごとく、ちょちょのちょいだ。

 その向こうでは、サラマンダーの黒焼きをすり潰して、あか粉薬こなぐすり ❝サラマンダー・パウダー❞ を、せっせこ作る面々があった。



紫微しび大王

巨門こもんちゃん、派手なお仕事でおございますねぇ〜」


アルコル

「大王、口動くちうごかすまえに手動てうごかして!」



 地味目なメガネ・メイド姿の❥アルコルちゃん★彡が、サラマンダー・パウダーを、夜に見えにくい黒い袋へ詰めていく。



紫微大王

「❥アルコルちゃん★彡なんでオレたちゃ、こんな地味な労働なのぉ?!」


タコ魔物

「文句言うなタコ! 泣けてくるタコ〜」


タコ魔物たち

「そうタコ、そうタコ C:。彡 C:。ミ」


紫微大王しびだいおう

「オイ貪狼どんろう、聞いてんのか貪狼どんろう!」


貪狼どんろう

「んん? どうしたんだい✨君たち✨✨」


アルコル

貪狼どんろうは、こう言う地味ぃ〜な作業に没頭ぼっとうするタイプなのよ。」


紫微大王

「もう、これも入れちまえ!」


アルコル

「あ〜 それサラマンダーの脱皮だっぴかわでしょ〜」


紫微大王しびだいおう

「イイんだよぉ〜 なんならマヨネーズでもたらすか? マヨ好きだろ、御主人さま。」

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