29 兵法『五事』
○【元・不思議の森】
マノン
「トロールさんたちは太陽を好みません。お日様のとどかない、深い森の中なら別ですけど――――
日の光に当たったトロールさんは、岩になると言われてるくらいです。」
それを聴いたギヨティーヌは、ベイト・ノワール渓谷の岩山に有った岩たちが、もしやトロールたちでは? と少しうろたえる。
しかし日が陰れば、トロールにもどると知りホッとした。岩が夜に動き出すような様子を、目にしたことはなかったからだ。
フェニックスの見ているモノを、見ることの出来る、
『不死鳥の眼』を持つ、マノン・マドレーヌが話すには……
マノン
「フェニックスさまが見ている限り、ケモイチ村までの道は、開けた場所が多いです。
岩になったトロールさんは、何体かおられるみたいです… でも、動いてる方は見当たりません。」
ギヨティーヌ
「詰まり昼の間は、トロールさんたちが、ケモイチ村へ向かうことはない訳ですわね…
―――― ところで、マノンさん貴方…
村に帰ったら真っ先に、お母さまに黙って村を出て来たこと、謝罪なさいまし。
そうでないと、お父さんは許しません!」
マノン
「… あっ、はい分かりました。母に謝ります……」
(何故、お師匠さまが、お父さん?…
あぁ、わたしの亡くなった、お父さんが許さないだろう。と言うことですね…)
ギヨティーヌ・タタンは、愛弟子であり、現地の事情に通ずるマノン・マドレーヌの言葉を、思案げに眉を寄せたが… あれこれ考えても仕方がない。
ここで『兵法』を、使うこととした。
ギヨティーヌ
「マノンさん、ここで計画を練り直しましょう。『五事』を用います。」
マノンは小首をかしげる、しかし興味からか表情豊かな尻尾が、プンプンと浮かんでいた。
マノン
「はい、お師匠さま! 五事とは、なんですか?」
ギヨティーヌ
「〈道・天・地・将・法〉
この、五つの事柄のことですわ。
1.『道』道義を立てる。皆が共感する物語で、民心を掴む。
2.『天』天の時。天候や季節、時間帯、運命の巡り、タイミング。
3.『地』地の利。地形や場所の知識。
4.『将』リーダーが必要。
5.『法』組織編成、秩序・管理・運営、法令の徹底度、明確な賞罰。
『ケモイチ村とトロールさんを、感染症から救いましょう。』
これが、道義立てと成りますわね。
天の時は、隠密能力のある者を、❝ケモイチ村❞ と ❝トロールの丘❞ に、探索へ差し向けて、タイミングを計りましょう。
地の利は、マノンさんにお任せします。」
マノン
「わかりました! お師匠さま。」
ギヨティーヌ
「将・リーダーは、わたくしが僭越ながらやらせて頂くとして、臨機応変に考えましょう。
クロさま、参謀役をお願いいたします。」
クロ・ド・プラチナ
「心得た。」
ギヨティーヌ
「法制度は… 紫微大王だけ気をつければ、とりあえず良いですわ。
タコたちが C:。彡 C:。ミ どれ程のモノかは、当てにしないで考えましょう。」
タコ魔物
「タコの権利を無視してるダコ〜」
紫微大王
「御主人さま〜 それは酷おございますぅ。」
紫微大王は、それでもニヤリと笑みを見せる。
ギヨティーヌ
「わたくしと、マノンさんはサラマンダーさんを呑んで、大丈夫でしょうけれど、
皆さん ❝感染症❞ は、大丈夫ですの?」
紫微大王
「わたくし共、紫微一族は皆アンデット、バイ菌やウイルスなど関係ございません。」
クロ・ド・プラチナ
「我は元より生体では無い。」
ギヨティーヌ
「恐怖の大王さんはオートマトンなので… 問題なさそうですわね。」
恐怖の大王 (青銅の少年像) に憑依した廉貞
「問題ないさ〜〜♬」
ギヨティーヌ
「タコさんたちはいかが?」
タコ魔物
「タコたちは、生きてるとか解らないタコ。て言うか、寄生して個体を増やす意味では、ウイルスと同類ダコ〜」
ギヨティーヌ
「そうなんですの?! … もしかして、意思疎通できますかしら?」
タコ魔物
「それは、やって見ないとわからないダコ…」
ギヨティーヌ
「…… ですのね、でも良いことを聴きましたわ!」
次にギヨティーヌは、探索に長ける紫微一族を、❝ケモイチ村❞ と ❝トロールの丘❞ へ差し向けることとする。
パンデミックが起きたと云う、トロールの丘の状況は、是非とも知っておきたい、もっとも重大な情報になるのは明らかだ!
ギヨティーヌ
(隠密能力なら、
忍者✦禄存さんと、
透明人間の破軍さんに、
幽霊ファントームの廉貞さんが、適任なんですけれど…
恐怖の大王さんから、廉貞さんを、離す訳には参りませんわ!)
「禄存さん、貴方は侍⚔武曲さんと、トロールの丘へ行ってくださいまし。
場所は分かりまして? かなり危険が伴う任務ですわよ。」
禄存
「元より、『虚』に生き『虚』に死ぬる定めなれば。」
武曲
「『義』を見てせざるは『勇』なきなり。
場所は先程、愛弟子どのより聞き申した。」
ギヨティーヌ
「わたくしは『死間 (死んで工作するスパイ)』を望んでおりません。
アンデットの貴方がたに言うのは、おかしいかも知れませんが…… 無事に帰ってきてくださいね!」
禄存
「承知!」
武曲
「同じく、承知つかまつった。禄存どの、先へ行ってくだされ!」
禄存
「承知。忍法✦水走り!」
そう言うと、忍者✦禄存は『刀印』を結び、足へ水車ができ特急で走って征く。
あとを追って走る、侍⚔武曲も速い速い!
ギヨティーヌ
「破軍さんは、吸血鬼ヴァンピールの文曲さんとのチームで、ケモイチ村に潜行して欲しいんですの。場所、わかりますわよね?」
破軍
「Hands up! ココからが本番だ、文曲!」
文曲
「Alright! このビート、感じるか? 破軍!」
破軍
「Yo! 今夜はオールナイトで飛ばすぞ!」
破軍・文曲
「(〃⌐ロдロ)ㄏ✧ㄟ(〇∀〇-〃) Yay!!」
Wメガネの二人はハイタッチすると、透明人間の破軍はメガネをはずし、文曲は蝙蝠へ変身して飛び立ち、そして見えなくなった。




