22 煩悩具足
マノン・マドレーヌの身体は宙で躍動し、三叉戟を触手の付け根に付き立てた!
触手は暴れ、マノンは一撃を喰らい空中へ弾き飛ばされる。粘液の熱さと衝撃に息ができない、けれど――――
さっき、破軍からもらったバフのお陰で、ダメージはわずかだ。
右腕の投網を掴み直すマノンを、一瞬、霧となったクロ・ド・プラチナが受け止める。
巨門
「マノンくん持ちこたえろ、俺が行く!」
巨門は、さらなる巨大化魔法でむくむく膨れ上がり、マノンから投網の持ち手を受け取るそばから、ぐぐグィッと氷舞台へ巨大ダコを引っ張りだす……
その刹那、触手が巨門を、叩き崩そうとした。
貪狼
「薔薇結界✿ ぬぅっふ!」
巨大ダコの触手攻撃も、貪狼の薔薇結界に阻まれ、巨門へはとどかない。
紫微大王
「コォら破軍! お前、タコの親玉にデバフかけてねぇだろ!」
破軍
「Hey Yo✨」
ギヨティーヌ
「✦禄存さん、⚔️武曲さんは、伏兵に備えて警戒体制を。」
禄存
「承知!」
武曲
「畏まった。」
紫微大王
「引っ張り出すぞ〜〜〜〜〜 そぉれー!」
手のあく者ら、ギヨティーヌも、廉貞は念力で、タコ魔物もふくめる全員が、巨大ダコのかかった投網を引いて行く。
破軍にデバフをかけられ、巨大ダコの身体はビクンとわななき、紫の泡を吹きながら悶絶した。
あきらかにその力はゆるみ、引きずり出される巨体から、伸びた篦太い触手が氷舞台を叩きつけ、その重みで氷床を粉砕する。
どろりと落ちて来る粘液まみれの巨大ダコに、皆は慌てて立ち退くが、
ギヨティーヌ・タタンだけは、腕を組み一歩も引かぬ構えだ。
いや、そればかりか。頭からぬるっぬるっの猛毒粘液をかぶると同時に、翠玉色へ光り輝きだす。
❝奥義❞ を発動させたのだ。全身に帯びる ❝氣魄❞ は、彼女の見た目を変化させ、何人たりと傷一つ付けられない者へと変化した。
ギヨティーヌは、わずかチャージタイム1ミリ秒で奥義詠唱を完了する。では、奥義プロセスをもう一度見てみよう。
ギヨティーヌ
「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、万のこと皆もって、空事、戯事、真実あること無し。
奥義『煩悩具足』!」
108ある煩悩、特に ❝三毒❞ 貪・瞋・痴の煩悩。
〈むさぼり〉〈いかり・にくしみ〉〈おろかさ〉は、人間の心を蝕む毒である。
これを開き直って受け入れ纏い、鎧具足とし、相手の攻撃にこの乱れた ❝氣❞ を絡み付かせ、相殺させるのだ。
すなわち「毒を以て毒を制す」のである。




