表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

第6話 専用武器はロマン。その武器を作る理由は?

さて、ダンジョン住まいについて様々な事を話してきたが、ダンジョン住まいにおいて解体と並んで重要なスキルがある。最初に言っておくと、取らなくても良いが、取っておいた方が絶対に良いスキルである。ぶっちゃけ、このスキルの為にダンジョン住まいの為の用意に時間がかかったと言ってもいい。


「ええっと、うちのマスターからこっちにお願いしろと言われたんですが・・・」


本日のお客様はあの4人組の一人であるヘイン君だ。今回はシェルター内の鍛冶道具一式を置いた鍛冶場に案内する。そして、彼から受け取ったのはボロボロのショートソード。ほっほう、なるほど。


()()()()()()()って言われたろ?」


「ええ。コボルトとの戦闘で手に入れたんですけど、誰も受けとりませんし」


そりゃな、コレお宝だもん。モンスターの武器はモンスターが絶命すると、基本的にどこで倒しても消える。ところが、稀にモンスターが絶命しても消えない時がある、コレを俺達冒険者やギルドは()()()()と呼んでいる。


「そらな。ドロップは基本どんな状況だろうと、()()()()()()()()()()()()()。自分の武器も持ってきてるよな?後、渡されたお金と一緒に渡してくれ」


うむ、銀貨10枚と、確かに。流石は高ランククランリーダーだ、相場が分かってる。さて、前述したダンジョン住まい必須の重要スキルはもうお分かりだろう、()()()()()である。受け取ると同時にあるモノを取りに行く。そして、持ってきたものにヘイン君が目を剥く。うむ、ナイス反応!これが見たくて、ダンジョン住まいも知ってる奴もラッキーボーイ、あるいはガールには秘密にするのである。


「あの、それってミスリルですよね?!」


「おう。これと君の武器、そしてコボルトのドロップを使って、君専用の武器に作り替える」


「それで、銀10って安すぎませんか?!」


あ~、やはり、アレだ、魔法鉱石と言う名前に()()()()()()()()()だな。ここにあるのは小さい塊、所謂ミスリルはミスリルでもミスリル屑と呼ばれるものである。お値段は勿論、鉄などと比べ物にならないが、大体1キロ銀2ってとこである。が、これはギルドの方で売られる。が、基本、市井には出ない。まあ、この鍛冶の為に、ダンジョン住まい限定で売るのである。どんぐらい買うかって?ハハッ!これもまた()()()()()である・・・・・・とだけ言っておこう。


「あ~、良く誤解されるが、ミスリル装備は()()()()()()()()()()ぞ」


「え?」


事実である。実際に武器屋でミスリル装備を買うと、大体が銀20~40と言った所だろう。その訳は、ミスリルの性質にある。まず、ミスリルとは何か?()()()()()()()()()()である。もう一度言う、()()()()()()()()()()である。ここであっ・・・ってなる者が多い。良く、魔法を斬ると言う芸当が出来る武器とされているが実際は違う。


「ぶっちゃけ、ミスリル武器は敬遠されてるし、防具は国家の儀式の場でしか使われてないほどだぞ?」


「ナンデ?」


「あ~、うん」


ヘイン君に鍛冶の準備をしつつ、苦笑しながら教えていく事にする。


「問い、ミスリルとは?書物や聞きかじりで構わない、言ってみたまえ」


「魔法伝導率が高く、硬度もかなりの物を誇る武器には優秀な鉱石と聞いてます」


うん、嘘じゃないな。実際に鉄や鋼より硬いし、魔法の伝導は非常に良い。頷きながら、彼の武器を柄と刃の部分を離し、コボルトドロップの剣も同じようにバラす。炉を熱し、準備が出来た所で振り向く。


「では、防具としては?」


「・・・・・・あれ?」


彼も思いだそうとするが、精々、先にも言ったが、祭での近衛騎士達の鎧ぐらいだろう、見たとすれば。本当に誰もがそれぐらいの記憶しかない、間違いない。何故か?


「ヒントは自分でも言ってるぞ、魔法伝導率が高い、コレな」


「あっ!も、もしかして、あの武器で魔法斬るって・・・」


そう、アレ、斬ってるように見えるが、魔法伝導が高いミスリルが接触した部分の魔法を吸収し、振り抜いた勢いが魔法を斬ってるように見えているだけである。


「そ、魔法を吸収してるだけ」


「それって、まずくないですか?」


お?優秀な子は話が早くて助かるな。その通り、非常にまずい。特に武器と防具して扱うなら尚更だ。何がって・・・


「まあな、魔法伝導率が良い、つまりは受けた魔法が残り続けるんだよ」


これがどういう事かと言うと、ミスリル製の剣で炎の魔法を受けたとする。すると、剣に上書きされない限りは炎の魔力が残り続ける。すると、どうなるか?なんて言うまでない、ミスリルも無敵の鉱石ではない。魔力が残り続けると、もちろん耐久は減っていくし、熱を持った剣が鞘をジリジリ焼き続ける。気づかないと大惨事と言う訳だ。じゃあ、どうするかって言うと、他の無害な魔法で()()()()()()()()()のだ。剣ならシャープエッジと言う剣の鋭さを増す補助魔法が一番だろう。まあ、魔法受ける度にそれしてたら魔力にキリが無いと言うオチもつくが。んで・・・


「では、それを前提に考えてみよう。これが鎧の場合はどうなる?」


「あっ・・・・・・」


そう、炎はもちろん氷は言わずもがな、雷とか受けたら即死より辛い惨劇が待ってるし、土の場合は膨張圧縮繰り返しされて死亡とかもあり得る。勿論、素早くディフェンスアップ系統の魔法を掛ければそういう惨劇は避けられるが、一々魔法受ける度にかけてられない。まして、戦闘中にそんな余裕が出来るか?と言われると出来る訳ないのである。


「で、それなら盾でいいじゃんって思うだろ?盾の方が厄介なんだ、これが」


炉に一掴みのミスリル屑を突っ込み、溶かすのを待つ間に、二つの刃を近くに置いて、鍛冶の開始である。


「盾は受ける事が多いからな。下手すれば、様々な魔法を吸収しちまって、あっという間にパリン!ってのもあり得る。戦闘中にな」


「うっわあ・・・・・・あれ?でもそうなると、今からする鍛冶も色んな意味でそう言う事では?」


うむ、実に優秀でよろしい。まあ、こちらの鍛冶はそうならない。と言うのも・・・


「この鍛冶に関しては当てはまらない。このミスリルは君の剣とモンスタードロップの剣を繋ぐだけの役目だけだからな」


どういう性質かは知らんが、モンスタードロップの武器はミスリルを介すると強く結合する。そうすると、ミスリルは魔法伝導が良いなどの性質を無くし、接着剤のような役割をするのである。何故かは今もなおも研究中らしい。二つの刃を一緒に炉に入れて、溶かし、先ほど溶かしたミスリルを混ぜ合わせ、型に流し入れて、インゴッドにする。それを叩いていくんだが・・・


「ヘイン君、ロングソードの方が良くない?」


彼の希望はショートソードだったのだが、彼のシールドはミドルシールドと考えると、ショートソードは少し心許ない。何が?って攻撃範囲である。確かにタンカーの仕事を考えるとショートソードが良いかもしれないが、ここまで地頭も良いなら、一歩進んで、攻撃を受け、攻撃して削るタンカーになってみても良いと思う。話してみて分かるが、全体をちゃんと見ている、状況を把握しているのが上手いように思う。


「良いんですかね?」


この答えが分かってる証である。おそらく、彼自身も武器の交代を考えていたのだろう。彼のパーティの4人、あるいはクランに入った事で増えてるかもしれないが、パーティメンバーに足りない物がある。()()()、これに尽きる。彼のパーティは剣士と魔法使いが居るが、タンカーの彼も攻撃に加われば、頭の良さも相まって、かなりの殲滅力のアップになるだろう。


「実際、欲しいだろ?敵を削り倒す力」


「ですね」


ロングソードは特性上、斬ると言うより突く事に重きを置いているが、ドロップを使ったロングソードならばゴブリン程度なら冗談抜きで刺し貫く事も可能だ。回避するにはバックステップするしかないので、味方の被害を攻撃と同時に減らせる。実際のとこ、クランに入ってない、もしくはクラン入りたてのルーキーが当たる壁がコレである。今の武器を続行し安定化か、殲滅力を上げての効率化か。この2つのどちらを取るか悩むのだ。


「う~ん・・・・・・」


悩んでる内に、コボルトの剣の柄を袋に包む。この部分は流石に利用方法は無い。無いが金になるので、御持ち帰り用と言う訳だ。ちなみに、これ1つで金貨1と交換である。今はまだ悩んでるので内緒にしておくが。これもまた、この鍛冶の楽しみである。


「ロングソードでお願いします」


「あいよ!」


さて、ここからは彼には離れた位置で待機してもらって、鍛冶の時間である。見た目は普通の鉄のインゴッドだが、これ、時間かかるんだよな。なんでって・・・


「槌、でかくありません?」


「硬いからね」


ヘイン君の言う通り、本来は金槌のサイズの槌本体がでかいハンマーサイズの槌を使うと言えば分かるだろうか?まあ、と言っても、まずは大まかな加工の為なんだがね。ダンジョンで初めてドロップ装備が落ち、それを加工した武器の時は普通の槌でやろうとして、結果、何百本もの槌が折れたらしい。その為、まず大まかな加工にはコレが必須となった。後、地味に筋力増加の補助魔法のストレングスもかけている。


「なんで、街の武器屋で頼めないのか?とか思ってる?」


「ええ、まあ。鍛冶レベルも上がるし、武器屋の鍛冶の方は専門家ですし」


ヘイン君の思案顔を見て、問いかけてみた。うむ、その通り。その通りなのだが、それ故にドロップ品の加工は自分達ダンジョン住まいに任されると言ってもいい。何故か?


「そう、武器屋は専門家なんだよ。だが、同時に武器屋の店主だ」


「あっ」


そう、受けれはするが、武器屋と言うのは武器を売らねばならないのだ。要は、それにかかりきりになって、武器を補充する事が出来なくなっては本末転倒である。じゃあ、大店に頼めばいいと思うじゃん?残念、大店はほぼ国家の御付きである。やれないとは言わないが、予約だけで余裕で2~3年待ちだろう。よし、そう考えてる内にこちらは大まかな形になったな。


「よし、ここからは普通の槌で整えていくか。まあ、信頼の意味でもこの武器関連に関してはダンジョン住まいに移譲されたって訳さ。勿論、解体のみにしてもいいんだがね」


そう、別に鍛冶技能は取らなくてもいい。が、しかしだ・・・・・・


「お金が・・・・・・そうしないと稼げないんだ」


「アッ、ハイ」


まあ、そういう事である。実際、コボルトの剣でも銀10だからね。うん、大事だから、そんな顔してるけど、将来、マジで大事だと思うようになるぞ、ヘイン君!あ、言ってて涙出てきそう・・・・・・

これが、ダンジョンに住まうって事だ!!!まあ、お金、稼がなければ、調味料とか買えませんからね。ダンジョンに住まうのは、まず、お金!と言うお話とヘイン君にユニーク武器をと言うお話。ヘイン君のユニーク武器は次回に続きます


後、ミスリルについての新解釈。まあ、色々穴あるかもしれませんが、こういう感じと思っていただければ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ