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会えない時間が愛を育むのですわ!

恋愛フィーバー中。色々一気に強くなったベアトリーゼ。



 立派なケッテンベル家の紋章の入った馬車に揺られ、私は大好きなクロード様のエスコート付でお家に帰りました! クロード様タイムが延長じゃーい! わっしょい!

 紳士なクロード様、エクセレントぉおおお!

 むしろ勝手に帰ったお父様グッジョブですわ!


「庭を随分お気に召していたようですので」


 今日の思い出に、と貰った花束はしこたまお金をかけてドライフラワーにしましょう!

 魔法があるせいか、プリザーブドフラワーみたいに色が綺麗に残っているの!

 私の愛も恋もこの花のように永遠に色褪せなくてよ!

 クロード様が帰るや否や、屋敷からセシリアがやってきた。


「可哀想なベアトリーゼ異母姉様! あんな年上の後妻にされるなんて!」


「クロード様は初婚もまだよ。アンタの頭には造花でも詰まってんの?」


 何処が可哀想なのよ。さっきの馬車もこの花束も見えてないのか、この小娘。

 実の娘を置き去りにして帰った親父がいる方を憐れまれたほうが、まだ筋が通るわ。


「え?」


 私のいつに無くドライな反応に、何か変な顔をするセシリア。

 どうやら思いがけずぴしゃりと言い返され、二の句が継げないみたい。おどおどと視線をさまよわせていた。

 あら、普段とは逆ね。でも、暫くすると聞かなかったことにしたのか可愛らしい顔を悲愴にして、私に詰め寄る。テイクツーとかリトライとか要らないわ。


「可哀想なお異母姉様! 私が変わってあげられれば良かったのに……!」


「じゃあ変わる?」


 今更代わってやんねーけどな! クロード様は私のフィアンセなのよ!


「え゛!?」


 ほらー、善人面のガワが剥がれてまっせ―お嬢さん?

 思ったんだけど、セシリアのいい子ブリッコって完全に偽善だよな? 大袈裟に憐れんで、カワイソウカワイソウって言って何もしない! 異母姉を思って泣く優しい私素敵! ってやりたいやつ。

 本当は年上のクロード様が嫌なんでしょ? どうだったって聞くんじゃなくて、可哀想って決めつけてかかっていた。セシリアもクロード様を苦手としていたことは知っている。

 だって、クロード様が来る予定の時は晴れの日なら外出、雨の日なら仮病で閉じこもっていたものね! たまにうっかり会っちゃうことはあったみたいだけど。

 あのクールかつミステリアスの良さが分からないなんて、本当に薄っぺらい小娘です。

 オメーの好物はプリンス銀河出身のキラキラ星人だもんな。


「実は弟のローゼス様とどちらかというお話だったのだけれど」


「ローゼス様と!?」


 セシリアが血相を変えて色めき立った。

 おうおう、クロード様との時とはえらい違いじゃねーか。


「タチアナ異母姉様の失態のせいですもの。クロード様は我が伯爵家に婿入りするために、お忙しい傍ら領地の勉強や運営に研鑽を重ねてくださっていたのよ? そんな失礼なことないわ」


 そう勿体ぶるように言うと、セシリアはぶるぶる震えて真っ赤になっていた。

 そりゃそーですわね、私やセシリアの年齢で公爵家のローゼス様は凄く人気ですもの。

 三男というのが難点ですけれど、ルックスの人気はピカイチそうな美少年でした。

 ですが、クロード様と私の縁談が纏まった以上、ケッテンベル公爵家は、我が家以外のところへとローゼス様の婿入りを探すでしょう。

 セシリアは義妹ですし、多少喋る機会は増えてもそれだけですわ。

 うちの馬鹿親が許しても、ケッテンベル公爵家からのお許しが出ないでしょう。

 もし、私の代わりのクロード様かローゼス様を選べと言われたら、セシリアはローゼス様を選択したでしょう。

 男性を見る目のないセシリアには同情する。

 タチアナもそうだったけれど、あのクロード様の素晴らしさが分からないなんてなんて残念なオツムなのでしょうか。






 ですが、流石残念なセシリアですわ。

 わたくしがクロード様に御呼ばれして、公爵家に行くたびに呼んでもないのについてくる。

 最初は心配だと言っていたけれど、ローゼス様を見つけるとそっちに挨拶も適当に駆けていきますもの。我が家の恥を晒すようで心苦しい。

 婚約者同士の交流ということで、それぞれの家で月に一度は会うことになっております。勿論、お忙しいクロード様のご予定が会えばですが……

 クロード様にご迷惑が掛かると思えば、三度目からは流石に馬車に同乗を拒否します。

 逢瀬の邪魔をする奴は誰であろうと馬に蹴られると相場が決まっているのです!

 それとも、ローゼス様は言い訳で本当はクロード様と私の間に割って入る気なの!?

 いくら異母妹とは言え許すまじ!!!

 何度目のセシリアの我儘か心配か分からない問答になって、クロード様との約束お時間が刻々と迫る。約束の時間が迫るにつれて私の怒りのボルテージは最高潮。

 思わず、レースの手袋を取ってセシリアの御自慢のお顔に叩きつけてやりました。


「クロード様が激務の中で割いてくださったお時間、逢瀬の邪魔をするというの?

 ならその手袋を取りなさい! セシリア・マルベリー! 直々に引導を渡して差し上げましてよ! 今すぐ叩き伏せてやりますわ!!!」


 愛は強いのですわ!!

 護衛騎士から剣を奪い取って、もはや獣のように荒い息でじりじりとセシリアを追い詰めます。

 セシリアは大泣きしておしっこを漏らして逃げていきました。

 あ、水たまりで転んだ。

 あのシフォンドレスってマダムマジョリカの最新作じゃなかったっけ? まあいいですわ。確か三日くらい前に自慢しに来たわよね。

 それで「お姉様は一着も持っててらっしゃらないのね、可哀想」と要らなくなったマジョリカのサイズの合わないドレスを押し付けてきた。こぼした紅茶のシミ付きの。いやがらせじゃねーか。

 メイドのバネッサやコラリーがドレスを見てかなり引いてたぞ。ありゃアレンジやリメイクも不可能な感じだな。辛うじてレースやリボンだけ使える感じ。

 無事お茶会も終わりマルベリー伯爵に帰った後に怒られましたが、呼ばれてもいない割り込み客が来るのはどうかと思いますの。

 しかも、セシリアはクロード様だけでなくフリード様にも好かれていませんのよ。

 ケッテンベルご当主のマーカス様なんて、顔を見るたびにお髭が引き攣ります。

 このまましつこく乱入を続ければ、ケッテンベル公爵にシバかれるのは誰でしょうかと質問したら、馬鹿親はセシリアをちゃんと閉じ込めるようになりました。

 おかしいと思ったのよ!

 使用人は私の味方なのに、なんで毎度出てくるかって! やはりテメーの仕業だったのですわね!







読んでいただきありがとうございます。


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