表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バッドクラッカー  作者: 築目 意図
7/9

7話

至って真面目な、おふざけなんて微塵も入っていない顔で、

『ストライプ』は言うのだった。

「神はいる、ですか…」

「ああ。疫病神も益神も太陽神(ラー)創造神(アトゥム)神の息子(キリスト)も、全て実在する。」

キリストはあくまでも人の名前なので、

いても別におかしくはないだろう。

「神だけじゃない。

天使も妖怪も超能力者も、宇宙人もUFOも。

いわゆる『非科学(オカルト)』と呼ばれるもの、

その一言で片付けることが出来てしまうものの殆どが

実際にこの世にいる。」

いや、()()と言うべきかな?

話しに一区切りをつけ、紅茶を飲み干すと立ち上がり、

続きは移動しながら話そうかと言って、

『ストライプ』は部屋を出た。

すぐに後に続き、三歩ほど後ろを歩く。

『スケープゴート』はついてきていないが、良いのだろうか。

「いきなりこんなことを言われて戸惑っているだろう?

なぁに、そんなに難しく考えなくたって良いんだ。

君は今まで生きてきて、

全てのものが常識と論理だけで説明できると

思っていたのかい?

違うだろう。」

『ストライプ』は振り替えることなく、

歩みを緩めることなく、

僕が先ほど出た部屋、

『ボディーランゲージ』に連れられて出た部屋の方へ向かっている。

部屋を出たときには気づいていなかったが、

僕が目を覚ました部屋の奥にも

まだまだ廊下は続いている。

遠くが霞んで見えないほどの距離(これはちょっと大げさだ。)続く廊下には

所狭しとドアが立ち並んでいる。

「君は今まで、幽霊にもUFOにも妖怪にもであっている。逢っている。

気づかないだけで

気にしていないだけで

気にしていない振りをしているだけで。」

もちろん、神にだって。

暫く沈黙が続く。

『ストライプ』は僕が目を覚ました部屋の

一つ奥の部屋の鍵をあけ、僕に中に入るよう促す。

わざわざここまでくるのなら

何故さっきの部屋に連れていったんだ。

横の部屋に行くのなら最初からそうして欲しい。

部屋の中は簡素なもので、

家具は

備え付けられたベッド、

さまざまな器具が置かれた台車、

色々な瓶の入った、見た感じ医療用の物が入れられている棚だけだった。

『ストライプ』は備え付けのベッドに腰掛け、

台車の上の器具をなにやらいじっている。

「視界の端にうつる影、

言葉や論理じゃ説明できない音や現象、

やたらと運がいい人なんてのもいただろう。」

君は運が良いほうかい?と『ストライプ』はいう。

運が良ければ人違いで拐われたり

いきなり指を切り落とされたりはしないだろう。

「僕には君の運なんて知ったことじゃないが、

悪かったのなら喜んでくれ。

あれは全て非科学(オカルト)で説明がつくものだし、

君は()()()の仲間になったんだ。」

まぁ、非科学(オカルト)ってくくりでの仲間だがね。

『ストライプ』は至極ゆるやかに動いていたが、僕には反応できなかった。

きっとまだこの人たちに常識が通用すると信じていたのだろう。

しかしその期待は裏切られることとなる。

まさか、台車の上にあったナイフを使い、

右手の指を親指を残し切り落とすなんて

誰が想像出来ただろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ