5話
「これから君には、非科学否定連合軍の
兵士として戦ってもらう。」
三度目の、意味がわからないだった。
いや、意味がわからないというのは少し違う。
薄々勘づいていた。
恐らくこのまま家に帰れる何て事は無いことを。
ここから逃げる事は出来ないであろう事を。
この先連中に利用され続ける事を。
しかし、まさか兵士になれと言われるなんて
少しも想像していなかった。
戦争なんて縁もゆかりもないこのご時世に、
兵士になれと言われたことがある奴は
極少数だろう。
「兵士…ですか?」
「兵士だ。
ああ、大丈夫。
兵士と言ったって、君は不死身さ。死ぬことがないからね。
そんな心配はしなくていい。」
そうではない。そんなことは考えていない。
こんな、ついこの間まで気弱な一般人だった一少年に
戦争の駒に成れと言うなんて、人の心がないのかと、
糾弾したくなる。
「おいおい。戦争だなんて一言も言ってないじゃないか。」
「え?」
だから戦争なんて言っていない。
『ストライプ』はそういって僕と自分のカップに紅茶を注いだ。
『スケープゴート』は未だ一言も発さず、茶菓子を口に運んでいる。
「じゃあ、戦争じゃないのに兵士を使うんですか?」
「いや、戦争では無いと言うのは少し甚だしいかな。」
「はぁ…」
意味がわからない。
顔に疑問が出ていたのか
『ストライプ』は紅茶を一口飲み、
そんな難しく考えるなよ
と言った。
「君が思うような、国対国の戦争じゃないってことさ。」
そうなのか、それなら良かった。
そんな大きな規模の争いに巻き込まれたら
例え不死身でも生きてはいられないだろう。
「おいおい、勘違いして貰っちゃ困るぜ?」
やれやれと分かりやすくジェスチャーをし、
肩を竦める『ストライプ』。
なにか勘違いをしているのだろうか。
「だから、国同士の戦争なんて、
そんな規模の小さいもんじゃないって言ってるんだよ。」
「は?」
「その戦いは、長く、激しく、醜く、何千年も行われているものさ。」
勿体振る様に紅茶に口をつけ、『ストライプ』は言う、
「僕たちがやっているのは、『科学』対『非科学』の戦争さ。」
「は?」
「は?って言われてもね。」
またも紅茶に口を着ける。
そういえば、僕はまだ一口も紅茶を飲んでいないではないか。
せっかくいれてくれたお茶を飲まないのも失礼かと思い、紅茶に口を着けようとする。
しかし、『ストライプ』は自分が飲み終わると
こちらを待たずに話し始めてしまった。
「言葉通りの意味さ。
非科学、まさか聞いたことないなんて事はないよな?
科学で説明の着かない事象を、
俺たちは論理的に力付くで無くしている。」
「はぁ…」
思わず生返事になるが、一呼吸置く間も無く『ストライプ』は口を開く。
「時に『バッドクラック』。」
神って信じるかい?
と。