第一部 40
──女子の長話ったらとんでもねえよな。
美里が帰ってくるのを待つつもりだった。できれば玄関に入る前にとっ捕まえるつもりだった。
でないと、家の時間に飲み込まれてしまう。
青大附中校舎からつながった出来事の道が途切れてしまう。
二時間、つかず離れず、清坂家と羽飛家の間をゆっくり歩き、靴の中は完全に水浸し、水虫が怖い。
──美里の奴何考えてるんだろなあ、あいつ。
結局まだ、美里とは面と向かって話をしていない。周囲から得た情報は評議委員会からまたはクラスから担任から溢れんばかりに流れてくるが、肝心要の立村と美里からは何一つ聞き出してはいない。「伝聞」と「推測」「憶測」でしかまだ、貴史の頭には届いていない「評議委員長選挙の顛末」物語。ドラマじゃないのだから、これはきちんとノンフィクションとして、当事者の美里から聞き出したい。
──ったく、おっせーよな。
一台、バスが通り過ぎ、手前の停留所で止まった。ひとり降りてきたのが見える。
──そっか、美里も今日はバスで帰ったのか。
黒い姿しか見えず、誰なのかはっきりと確認こそできないが、バス停よりもぐっと小さめの背丈といい、降りた瞬間から早歩きするくせといい、美里以外の何者でもない。貴史には見えた。
「美里か」
呼びかけた。早歩きなら貴史の方が二倍、いや三倍速い。
返事はなく、黒い女子の影は立ち止まっただけだった。
向かい合う。大きな水たまりを間にはさむ。
完全に闇の中だが、目の前でまっすぐ貴史を見据える視線は強い。光っているかのようだ。
「何?」
「来い」
手を伸ばせば届く距離。貴史は美里の腕を片手でつかんだ。荷物なんてとっくに家へ置いてきた。向かい合う美里は両手にかばんと紙袋、さらに手提げと大荷物。動きようがなさそうだった。
「やだ、あぶないって!」
思わず一歩踏み出した。水たまりにふたりびちゃんと足を突っ込んでしまったようだ。足首から靴下まで一気に水が染み込む。泥水の跳ねる音が響く。そばには誰もいなかった。
「やめなさいよ! もう、靴濡れちゃうでしょが!」
「こんくれえでびいびい言うなよな。お前があん時たれた小便こんくらい広がったんだぞ! 覚えてねえのかよ!」
「ばか! そんな、私、そんなにしてない! 変なこと言わないでよ!」
絶対に腕は話さない。指がちぎれても。貴史は美里を強引に自分の方へ引きつけた。美里が片方の手で持っていたかばんを取り落とした。拾おうとするがバランスをうまくとれないまま動けずにいる。拾ってなんかやるものか。つっこんだ足から脳天まで泥水が植物状態で吸い上げられていくようだ。汚水のまま言葉をぶつけた。
「お前な、なあにがデートだあ? 腐っても彼氏の立村が地獄に突き落とされたってのに、平気な顔してお買い物三昧クッキー食いまくりのやりたい放題かよ! ったく現実逃避もいいとこだよな。今朝だって菱本先生が俺にいろいろあいつのこと聞いてきて青ざめてたし、天羽だって難波だって轟だって奴のばかさかげんを心配していろいろ泣きつかれるわで偉いことになってたんだぞ! なのになにか? お前ひとり、ちゃらちゃらと近江と無駄話してたってわけかよ? あれだけ、クラス全体を巻き込んでいろいろやらかしておいて、結局だめだったらこうやって逃げるのかよ! なあにが立村のことを考えてだ? 結局お前、何にもできなかったからああなっちまっただけだろが。まったくどいつもこいつも何考えてるんだ? いい加減にしろよこのボケ!」
「なんであんたにそんなこと言われなくちゃいけないのよ、離してよ!」
美里が何度も腕を払おうとする。いつもだったら適当なところで手を緩めるところだが、そんな甘っちょろいこと言ってられない。暴れる美里の両足をそのまま、水たまりの中に押し込んだまま貴史は揺さぶった。
「菱本先生だってな、評議委員長改選のことがわかってからすぐ、俺の家に電話よこしたらしいぞ。姉ちゃんが電話占領してたから結局取れねかったけど、それでもやっぱし大変なことになったってわかったら普通知らせるだろが! 連絡つかねかったから結局朝、俺がくるの待ってて話、してくれたんだぞ? それが普通だろが!」
「普通、ってそんなこと私わかんない!」
足をばたつかせる美里を、絶対に放さなかった。
「いいか! なあんも知らないまま俺は今朝学校に行ったわけだ。立村が無事委員長に選ばれてめでたしめでたし。さ、次こそあいつとさしで話せねばなって思ってたところにだぞ? こんな大どんでん返しが起こっちまったって知らないままで話しかけてたらいったいどうなってたと思うんだ? お前だってそんくらいわかるだろが! 奴の性格考えれば俺がうっかり委員長おめでとさんなんて言っちまったもんなら、その場で窓から飛び降りねえとも限らないだろ? そういうことをなぜ、お前先に教えようとしねえんだよ! 評議委員会終わったの、どんな遅くたって五時前だろが! うちに電話かけるくらい余裕で出来るだろが! それでねくてもうちにだったら直接用事つけて来るとか、夜中でも合図するとか、いろいろできるだろ!」
腕を揺さぶり、もう片方の手で肩を押さえつけた。本当なら一発ひっぱたきたい。突き飛ばしたい。公共の歩道だからせいぜい水たまりでばしゃばしゃぶつかり合うことしかできないけれど、小学校の頃と同じように本当なら、つかみ合いのけんかに持っていきたい。そのくらいのエネルギーが溢れている。何度も足に力を入れ、踏ん張った、叫んだ、わめいた。やはり人はいなかった。
「やめてよ! 何勝手なこと言ってるのよ! 見てないくせにそんな、遊んでるなんて勝手に決めつけないでよ! 私だって評議なんだから、やらなくちゃいけないこといっぱいあるんだから! それに何よそのデートって! デートなんてしてない! 近江さんと話してただけなのに何わけのわからないこと言うのよ! 離しなさいよ! その手、なんとかしなさいよ! 痛いんだから、ほんとにもう、止めてよ、あんた何考えてるのよ、貴史、貴史あんた」
わめき散らしていた美里の言葉が、ふと、途切れた。
「言いたいことはそれだけかよ」
「離してよ」
力ない声で美里は答えた。数秒前、威勢よく文句をつけていた姿と、一瞬のうちに切り替わった。つかんだ指先にかすかなゆるみを感じた。それが何なのかはわからない。ただどうしようもなく美里が弱く見えた。
「冷たい、から」
「はあ?」
「足、濡れちゃうじゃない」
「それがどうしたってか。あん時だってお前、靴ぐしょぐしょにしちまっただろうが」
「なんで、あんたそんなこと言うのよ、貴史、何でそんな」
首を振りながら美里は両手で顔を被った。
「もう、やめてよ」
いきなり、激しくしゃくりあげた後、声を張り上げて泣き出した美里をそれでも貴史は放さなかった。
水たまりから、連れ出した。
──ったく、教室でちびったとこを保健委員よろしく俺が連れ出してるみたいじゃねえの。
あの出来事の起こった五年生の秋、五時間目。机に座ったまま動けずに硬直していた美里を貴史は水をかぶせて正気に戻した。
貴史が担任の沢口先生にぶん殴られている間に美里は気づかれることなく水たまりの始末をしたはずだった。
奇跡としか言いようがないのだが、机の面積いっぱいの水たまりをこしらえておきながら、誰にも知られずにすんだはずだ。
でももしあの時、貴史が動かなかったら?
──もしお前がこの場でちびったら、始末するの俺だぞ。
ぎりぎりの瞬間、貴史が美里に囁いた一言を思い出した。ずっとずっと忘れていたその言葉は、今果たさざるを得なかった。
真っ黒い水たまりにひとり立ちすくんでいる美里を、他の連中が遠巻きに見ている中、引っ張り出すことができるのは五年生でも中学三年でも、やはり貴史だけのはずだった。
もう何も聞き出す気持ちになれなかった。
──当事者の話ったって、よっく考えたら俺が集めてきた情報だけで十分通るじゃねえか。
逃げられそうで、美里の腕をコートの上から素手で握ったままでいた。
しばらく声をあげて泣きじゃくっていた美里には何も言えず、ただ考えていた。
──実際、天羽、難波、轟の三人は評議委員会でもって立村の居場所を確保するよう動いているしなあ。あれでいいじゃん。
もし貴史が動かねばならないとすれば、立村が家出してしまうくらいの出来事があればの話だろう。平であれ三年D組の評議委員としては認められているのだ。認めていない女子が一部存在する点については目をつぶるとしても、まずあと三カ月程度は立村も座っていられるはずだ。
──むしろ、あいつが一番めげちまうのは、難波のやらかしたことだろうが。
難波が立村を見放したように聞いたので、最初思わずかっとなってしまった。しかし難波なりに考えた結論ということならば、男子として何も言うことはない。
極めつけは、立村自身が「黒い手帳」を手渡したという事実だ。
たかが手帳と言うなかれ。立村は暇があると黒い大判の手帳を握り締めて本条先輩にひっつき、
「先輩、メモしていいですか、今、なんって」
などと必死に書き留めていたものだった。主に評議委員会関連のことではそうだった。何気なく、
「立村、いったい何そんな必死こいて書いてるんだあ?」
尋ねてみると、真面目な顔して、
「本条先輩の言うことを全部頭に入れたいんだ。評議とか、いろいろなこととか」
言い切っていたものだった。その中には本条先輩お得意の恋愛講座が入っているかどうかわからない。ただ、立村が黒い手帳に注ぎ込んでいた情熱は、端から見ていた貴史ですらすさまじいものに見えた。たぶん、執念か怨念か何かがこもっているのだろう。
それを天羽に手渡した。
評議委員長としての貴重な情報を、天羽に委ねた。
──つまり立村は、天羽を信じた、認めたってことだわな。
一区切りついた、そう感じた。誰かに引きずられてしかたなくではない。立村が自ら、きちんと結論を出し降りた。その行動を否定することこそ、貴史にとっては立村上総という男を侮辱することに思えてならなかった。
──つまり、もう、終わったことなんだなあ。んじゃ、あとはこちらでやりたいようにやりゃあいいじゃん。菱本先生もいろいろ思うとこあっかもしれねえけど、それはそれで別の問題だろ。
さっき言いたいことをすべて美里にぶつけたせいか、全身がすっきり清々しかった。もちろん手は冷たいし足はぐっちゃぐちゃ。さっさと家に帰って暖まりたいのは山々だが、今握り締めている美里のぬくもりだけでとりあえず歩いてはいけそうだった。
「もう、終わってっからな」
美里の家に明かりが灯っているのが見えた。一言も口を利かない美里に貴史はつぶやいた。
横から覗き込む。美里の頬が妙にぎらぎら光っていた。鼻をすすってハンカチを口に当てていた。立ち止まり、自然と道の端によれた。そのまま顔を挙げた。
「何がよ」
「天羽と話、した。とりあえず、立村の居場所は決まった」
「え?」
わけが分からないという風に首を傾げた。
「全部話は天羽から聞いた。お前が全然言わねえからしゃあねえだろ。天羽も棚ぼたで委員長になっちまったせいかぱにぱにしてたけどな。すぐになんとかせねばってことで奴なりに準備整えてたぞ。まず、立村を書記に回して仕事をさせようってことに決めて、それで通すって話だぞ」
あえて轟琴音が混じっていた点については触れなかった。いなくても十分話が通るなら、余計なことなど言わなくていい。
「立村くんを、書記に?」
「あったりめえだ! ま、二年を副評議委員長にするのは当然のことだしあのなんだ、バスケ部の新井林、あいつで決めて、それから書記を」
「なんでそんなことになってるのよ。もともと評議委員会には副委員長とか書記とかなかったのに」
意外だ。美里は知らなかったらしい。喉をつまらせながら美里がつぶやいた。
「だから立村の居場所作りだろが! 難波が寝返ってとんでもねえことになっちまったけどな、結局天羽が委員長になってまん丸く収まったってことじゃねえのか? ま、俺も最初はやべえと思ったけどな。なんとかなるだろ、天羽があれだけ動いたら。あとはうちの女子連中がうるせえったらねえが、それは美里、お前がなんとかしろよ。黙らせることくれえできるだろ。古川だっているしな。今朝古川があっさり暴露しちまったし、あれ以上つっこむ奴はそうそういないだろよ」
美里は黙っていた。何度か口をハンカチで押さえては放し、目頭を押さえていた。
「ただな、立村がこれ以上目立っちまうのはやべえ。天羽にも言っといたけどな。立村にはとことん書記だけやらせとけ。中途半端に目立ってど顰蹙ってのは悲惨だろ。ただでせえな、立村が全校生徒に袋に遭ってるんだから、ここでひっそりさせておくのがベストじゃねえかって俺は思うんだ。んだろ、美里、そう思うだろ」
「貴史」
かばんと紙袋と手提げを握り締め、美里は首を振り、名を呼んだ。
「ほんとに、うまくいくと思う?」
「当たり前じゃねえか」
「ほんとに、ほんとに、ほんとに?」
うつむいてまたかぶりを振った。
「貴史、いつもそうだよね。絶対うまくいくって言うよね」
「今までうまくいってただろが」
「それって、私と貴史とだったらって、ことだよね?」
「何言ってるんだお前?」
「私と、貴史とだけだったら、いっつもうまくいってたよ。けど、私と貴史と、立村くんとだとうまくいったことなんて一度もないじゃない!」
「なんだと?」
気色ばむ。顔を正面向かせた。そのまま見据える。見返された。真っ赤な頬が闇に浮かんだ。
「覚えてる? 一年の時、班ノートのことでごたごたしたことあったでしょ。あの時のこと、まだ今でも尾を引いてるんだってこと」
いきなりすっかり忘れていた時のことを言い出す美里。わけがわからない。
「ま、そりゃ」
「それに貴史だって、いっつも俺に任せろとかわけわかんないこと言うくせに、結局泥沼にしちゃったことあったじゃない、あったんだよ!」
だんだん言っていることが混沌としてきていることに美里自身気づいていないらしい。思わず揺さぶった。そんな大嘘誰が認めるか。
「じゃあ言ってみろ! 俺が、いつ、そんな責任逃れなことしたんだよ!」
「だってあの時」
叫び、再びその顔が歪み、瞳からこぼれていくのを見つめた。
「美里」
「あの時」だけで表すことのできる場面が、くっきりと浮かび上がるのを感じた。
数え切れないふたりの「あの時」の思い出よりもなによりも、一瞬のうちに黒く染めたあの事件。
青大附中に入学してからは五年秋から六年卒業までの小学時代をあえてふたり、封印してきた。
話題にのぼることは所詮軽い、思い出話。同窓会も参加したことのないふたりだ。仲間内で会うことはあってもあの頃の記憶は一切巻き戻さずに過ごしてきた。
思わず水たまりに足を突っ込んでしまったのと同じことだった。
すっかり忘れていた。
怒鳴っていた。
「だから俺は青大附属受けたんだろが!」
ゆっくり、しゅるしゅる、小学六年秋の記憶が蘇ってくる。
目の前の美里が息を止めたままじっと貴史を見返してきた。いったいどこまで涙が残っているのだろう。また、目をうるませはじめていた。美里が自分の前ではこんな泣き虫だということを、貴史は幼稚園の頃から知っているから驚きはしない。ただ、黙って放っておけばいいだけのことだ。
─気仙いろいろあったわな。
一言で片付ければ、「あの時」の粗相がきっかけで美里を巡る周囲の目線が変わってしまった、それだけのことだ。
おてんば娘のしでかしてしまったいくつかの出来事、そして貴史がそのことをおおっぴらにするように勧めたこと。
あくまでもそれは、よかれと思ってしたアドバイスだったはずだ。
しかし、思わぬ方向に美里の居場所はずれていった。貴史はそれを側で見守っていたはずだ。少なくとも美里を「守る」方向で動いたはずだ。
それでもどんどん居場所がなくなっていく美里の立場を本当の意味で理解できたわけではなかった。男子と女子の違いといえばそれまでだ。
女子たちの中で浮き上がり、このまま小学時代の友だちと同じ中学に進みたくないと思うようになった美里が、その場から逃げ出すために青大附中受験を志した、それが本当のところだった。成績優秀という理由で勧められたこともまったくないわけではないだろう。しかし、もしクラスの女子たちと滞りなくうまくやっていたら、誰が反対しても公立中学に進学しただろうと思う。そして貴史も。
金のかかる私立中学、しかもお坊っちゃまにお嬢さまの巣窟と謳われる……実際はとんでもない大ボラだったことが明らかになるが……青潟大学附属中学受験を決めた時、単純に貴史は「美里の鼻を明かせればおもしろい」程度にしか考えていなかった。少なくともあの頃は好奇心しかなかった。受かっても落ちても、ただ美里との遊びの延長上に受験というものが存在していただけだった。
今なら違う、そう思える。
ーー俺は責任とっただけだ。
美里を一年半の間、自分の判断により苦しめてしまった償いを、自らの身体で行った。それが、青大附中受験であり、進学だったこと。
「あの時」のしくじりの、貴史が背負った部分は、受験できっちり落とし前つけたはずだ。
補足説明なんてしたくない。美里にはそれだけ伝えれば十分だ。そう思いたい。
「そういうことだ、責任取るってことは」
美里の腕から手を放した。
背を向けた。もう、言うことはない。
美里は声をかけてこなかった。
──ちっくしょう! 礼ひとつ言いやしねえあいつ!
すっかり冷えきった手に息を吐きかけ振り返ろうとした時だった。
──なんだ?
水音。足元の水たまりに何か弾ける音がした。
街灯の黄色い丸が月の顔して映っている。またひとつ、足元に転がってきてぽちゃりと落ちた。
振り返った。
──美里?
教室の前扉、後ろ扉分の距離しか離れていなかった。美里がゆるく、逸らすように小石を投げつけてきた。
いったん貴史と向かい合い、物言わずにまた石を拾い、足元目指してソフトボール投手のように下から投げる。
一個、二個、三個。
──なあにどんくせえことやってるんだよ、ばーか。
美里の表情ははっきり見えなかった。ただ、きっちり、ぽっとり、貴史の足元に落ちるように放ってくる。
「みーさと、見ろ!」
適当な小石を拾い上げた。貴史は振りかぶり、マウンドのエースよろしく勢いよく全力で投げ込んだ。まっすぐ、美里の横をすり抜けるようにコントロールをきっちり効かせることを忘れない。もちろん逸れて、美里の脇に立ち並ぶ塀に当たった。
向かい合ったまま、美里が背を向けて自宅玄関へ入っていくまで、貴史はそのまま街灯のにせもの月を足元に置いたままそこにいた。