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ゆめみる少年と前を向く少女  作者: 遅めの果物
クラスメイトと夏休み!
18/36

栞さんと初デート?(5)

「楽しかったですね!」


 水族館からの帰り、駅に向かっていると神崎がそんな言葉を掛けてくる。


「ああ、楽しかったな」


 本当に人生でこんな体験ができると思っていなかった俺は、本心からの言葉を神崎に返す。高校に入ってからは楽しい日々が続いていたが、彼女なんかは作れるわけも無く…デートなんかもできるはずがないと思い込んでいた。


(まあ、彼女ができたわけでもなければ、相手が俺に好意を持っているわけでもないんだがな)


 そうだとしてもやはり嬉しいし、何より楽しかった。


「イルカさんのショーとか凄く可愛かったですね」

「かけてくる水の量は驚いたけどな」

「ペンギンさんもいっぱい居ましたし」

「あのボスみたいな奴も可愛かったな」

「シャチさんにベルーガさんも凄く大きくて可愛かったです」

「シャチは大きかったなー、ベルーガ…?あ、シロイルカのことか。あれも可愛かったな」

「あー、あと…」

 ・

 ・

 ・


 そんな風に今日の思い出を話し合っていると、いつのまにか駅に着いていた。




 今は駅のホームにいる。ちなみに、神崎に切符を買おうとしたら「大丈夫です、こんなものまで買ってもらっちゃったら、もう帰れませんから」と言ってきた。どういう過程で帰れなくなるのかは知らないが、そこまで言われるのだったら買わないほうが良いだろう。


「私は、前沢さんが敬語じゃなくなったのが一番嬉しいですよ」


 突然、神崎がそんなことを言ってくる。


「…あ、すいません」


 たしかに、思い返してみれば友達のように気軽に話していた。


「いいですよ、かしこまらなくて。私は普通の前沢さんが好きです」


 平然と、当たり前かのようにそんなことを言ってくる。


(そんなこと言ってると、勘違いされるぞ…)


 俺はそんなことはないが、本当に好きなのか?と勘違いしてしまう奴もいるだろう。


「あ…でも、私からも一つ」

「なんだ?」

「これからよろしくお願いします、大輝さんっ」


 そう、悪戯っ子のような小さな笑みを浮かべて、俺にそんなことを言ってくる。


(今のは…急すぎるって…)


 俺の顔が熱くなる。言葉も上手く出ずに、早くなった心臓の鼓動だけが聞こえてくる。神崎の方を見ると、恥ずかしかったのか顔を赤くし、俯いている。

 …そこから、顔を赤くさせて下を向く二人の絵が、電車が来るまで続いた。




(…それにしても、本当に楽しかったよなぁ…)


 俺は電車に乗りながら、そんなことを考えていた。

 最初、デートに誘われた時は夢かと錯覚するぐらいの衝撃を受けた。まあ、今日一日が夢ということはないだろうが。

 シロイルカやシャチを見て、ペンギンのコーナーで写真を撮って、イルカショーで水を掛けられ…水族館を出た後、展望台にも行ったな。

 そこから見えた海の青い景色と、公園の緑の景色が絶景だった。神崎がコインを入れるタイプの望遠鏡を見て、目を輝かせていたので、100円を入れてやると遠慮しながらも覗き、そこからは子供のようにはしゃいでいた。


(ほんと、濃い一日だったな)


 …そんなことを考えていると、肩に何かが乗るような感触があった。


(なんだ?これ)


 そう思い肩の上を見る…と同時に、少しだけ顔をのけぞらせる。俺の肩には神崎の頭が乗っていて…まあ、神崎が寝ていたのだ。


(うっ…)


 可愛い…なんて思いながら、俺は神崎の事を見ていた。今日は色々な事があったので疲れているのだろう。幸い、降りる駅までは後30分ほどある。少しでも寝かせてやろう…と考え、そっとしておいた。




「おーい、神崎、起きろー」


 後二駅で降りるので、俺は小声で神崎に声をかける。…だが、神崎からの反応はない。


「おーい、おーい」


 何度声をかけようとも、少し体を揺らしても、神崎が起きる気配はない。


(どうしたらいいんだよ…)


 とは言っても、俺が取れる方法など一つしかない。周りからの目が怖いし、何より俺の心臓が持つかどうか。緊張と羞恥でどうにかならなかったら良いのだが。

 そうこうしているうちに降りる駅に着いたので、考えている事を実行に移す。


(…失礼します)


 俺は、神崎の背中と足の部分に手を入れて抱き抱えた。その瞬間、周りから刺すような視線を感じたが、出来るだけ無視してホームへ向かった。


(これ、予想してた何倍も恥ずかしいな)


 だからといって降ろすわけにはいかないので、羞恥に耐えながらも歩き続けた。




「これ、どうすれば良いんだ…?」


 マンションに着いた俺は、そう口にしていた。


(勝手に神崎の部屋に入るわけにもいかないし…俺の部屋に入れるのもな…)


「大丈夫です、起きてます」


 神崎が、急にむくりと体を上げて、そう言ってくる。


「なんだ、起きてたのか。なんでここまで寝たふりしてたの?」

「最初は本当に寝ちゃいましたけど…起きてあの格好をしてたら寝たふりするしかないじゃないですか」


 …まあ、考えてみればそうか。少し言いたいこともなくはないが、それは心の中に抑えておく。


「ご迷惑をお掛けして…」

「いいよ、迷惑なんかじゃないから。今日も楽しかったし」


 恥ずかしかったが、迷惑はしていない。


「あ、そうでした。本当に私とのデートがお礼になっているんですか?」


 突然、神崎がそんな事を聞いてくる。


「ああ、そうだけど」


 何度も言うが、当たり前だ。


「…それじゃあ、これから毎週、デートしましょう!」


 神崎は、顔を赤くし、微笑みながらそんな事を言ってきた。

 その後、俺は家に帰り、今日の方への認識を改めた。


(そうだ、これは夢なんだ)


 …と。

「やって参りました、質問コーナー!」

「なんだ、なくなったんだと思ってたよ」

「今回はー、そのことについての質問だよー」

「お?なんだ?」

「質問、なんで水族館回はあとがきがなかったんですか?」

「それは…水族館回は、一度の回として一気に邪魔がなく見て欲しかったから。だそうだ!」

「うわー、取ってつけたような理由だねー」

「正直、サボりだと思われても仕方ない。って言ってたな!」

「なあ、これってやっぱり俺いらな…」

「また次回の質問をお待ちしております!」

「じゃあねー」

「えぇ…」




というわけで、水族館回、ついに終わりました。…とは言ってもおまけの回があるのですがね


なんと、総合評価100ポイント到達しました!本当に嬉しい限りでございます!


最後に、ご視聴ありがとうございました!少しでも面白かったと思っていただけたならブックマークやポイント、レビュー、感想をどうかお願いします!作者のモチベーションが上がります!

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