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冬童話投稿テスト

作者: しろながす

神が言う。

生まれてきてしまった動物たちへ。

生まれてしまったので仕方がありません、この森で生き抜くための知識を授けましょう。


コマドリには太陽の様に心の闇を照らす歌を。

ヘビには太平洋の水をも飲み干す食欲を

アライグマには断層の底から湧き上がるマグマのような怒りを

キツネには毎年毎年、川を登るサケのような信心深さを

リスには人の心を揺さぶり、突き放す放任さを

クマには殻に閉じこもり、万物が押し寄せ逃げることのできない閉塞感を


冬の寒い朝、暴れん坊のアライグマが目を覚ます。

息が白い。

枯れ葉を敷き詰めた寝床から、蔦を登り上の階に移動する。

顔を洗うために水道の蛇口を捻る。

水が出てこない。凍結しているようである。

冬場は水道管が凍結しないよう、水を流しっぱなしにする。

昨晩、アライグマは確かに水がチョロチョロと蛇口から出るのを見てから床に就いた。

アライグマは頭を抱え、唸る。

「なんて最悪な日だ!!」


洗面を諦めたアライグマは朝食造りをはじめる。

マッチを擦って薪を起こす。

保存用のクラッカーを棚から取り出す。

秋に熟成したチーズを火であぶり、クラッカーをつけて食べるのがお気に入りだ。


部屋が温まり、コーヒーも入り、寒い朝もようやく一息つく。

綺麗好きなため、部屋はきちんと片付いている。

アライグマは気にしていないのだが、怒りっぽいものだから、周りからは頑固者か潔癖症と思われている。


チーズの乗ったクラッカーを食べ、コーヒーを啜りながらアライグマが言う。

水道管が凍結した怒りが収まらない。

「リスの奴が水道管にいたずらしやがったな。そうに違いない。懲らしめてやる!」

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