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ラ・カーム戦記  作者: 神名 信
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第8話

必修については、ラ・カームは剣術、ラァとラナは魔術講義につき分かれていた。

 四年生になると、剣術については近衛団団長が直々に教えてくれることとなった。

 「殿下、お会いするのは二年ぶりになりますか、王国近衛団で団長をしております、シュナイゼル・フォーエンです。これから週に三回午後の授業は全て私が担当します。以後よろしくお願いします」

 シュナイゼルは二十五歳にして炎系統のマジシャンの称号を持ち、魔法剣士としては王国随一と言われている。

 近衛団を指揮する性質上実戦から離れがちであるが、五年前のレグニヤーローとの国境紛争では、南部方面軍の団長として圧倒的な勝利を収めた。

 黒い髪にブラウンの瞳を持ち、肉体も相当鍛え上げられているであろうが、どちらかといえば、細身である。

 王都の女性たちからは、今最も人気のある男性で浮いた噂も後を絶たない。

 ちなみに、北部方面軍には団長にダナ・カシムという男がいるが、互いに仲が悪い。

 

 「すでに、ミルシャから剣術の基本は習得しているとは思いますが、改めてご説明いたします」

 「剣術においては、初めの一撃、初太刀を相手に与えられるか、または初動を先にとられた場合にどうそれをかわすか、または防ぐかです」

「そして、初太刀を入れるために、ご自分の間合いを掴んでください」

 「では、実戦だと思って構えてください」

 シュナイゼルが言うと、ラ・カームは模擬刀を右手に持ちすっと構えた。

 ・・・さすがに様になっているな、ミルシャの教育もたいしたものだ。

 「どうぞ、打ち込んできてください」

 シュナイゼルも模擬刀を手にし、構える。

 「ッ」

 ラ・カームは声にならないような掛け声とともに飛んだ。

 ・・・速い。

 並の使い手ではすでに、相手にならないほどラ・カームの打ち込みは速かった。

 しかし、捉えたかに見えたシュナイゼルのいたはずの場所には何もなく、気づくと模擬刀はシュナイゼルの剣によって空中高く飛ばされてしまっていた。

 「殿下、打ち込みが素直すぎます」

 ラ・カームはシュナイゼルの剣戟に右手がしびれていたが、さらに、対峙していた。

 「どうぞ、剣をお取りください」

 初日は、このような訓練の繰り返しであった。

 夕刻になり、稽古は終了した。

 シュナイゼルは涼しい顔で立っていたが、ラ・カームは激しい稽古に肩で息をして、立っているのがようやくであった。

 「本日はこれで終了します、次の稽古は明後日になります。本日はゆっくりお休みください」


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