第69話
しばらくすると、ユー・ロウが応接室に現れた。
ユー・ロウは純粋なエルフであるキヌアがいるのにちょっと驚いたようだが、国王に対し最敬礼をし、指示を待った。
「イグニクェトゥアとの和平案作れるか?」ラ・ヌカ国王は単純明快に聞いた。
「一週間ほどお時間をいただければ」
「五日で持って来い」
「は!」
「下がってよい」
「かしこまりました」言ってユー・ロウは応接室から退いた。
「ラ・カーム」
「はい」
「なぜお前は、俺を説得せずにソード・オブ・ラーを剣によって破壊した」
「父上は全てを分かったうえでソード・オブ・ラーを使っていたからです」
「話し合いができなければ力づくというのでは、戦争と変わらない、そしてお前が今回は勝ったからこそ、手に入れたものもあるはずだ、それが人々を戦争へ掻き立てる原動力ともいえる」
「はい、覚えておきます」
少し間をおいてからラ・ヌカ国王が言った。
「思えばお前に俺から直接教えることもなかったな、年が明けたら学校は再開する、俺も直接お前たちに教える時間を持つことにする」
「ありがとうございます」
そこまでで、その日の会議室の話は終わり、それぞれに解散となった。
キヌアはラ・カーム個人の来賓として王宮二階に部屋があてがわれ、サーシャもとりあえずはそこで一緒に住むこととなった。
王宮内の自室にラ・カームが戻るとラァとラナが迎えてくれた。
「ラ・カーム大丈夫だった?怒られたんじゃない?」ラァが心配してくれた。
「ううん、大丈夫だったよ」
「ラ・カームちょっと老けたんじゃない」ラナが変な突っ込みを入れる。
「それはひどいな、せめてしっかりしたって言ってくれよ」
「うん、すごくかっこよくなったよ」ラ・カームにもたれかかりながらラナが甘えた声を出す。
ラァのことも抱き寄せて、ラ・カームが呟く。
「良かった、二人とも無事で」
「くすぐったいよ」ラァが口ではそう言いながらもラ・カームに抱き着く。
「二人のことは僕が命を懸けても守る、もう絶対に危険なことには巻き込ませない」
『うん』二人もそう相槌を打った。




