第33話
ラ・カームがラァとラナを抱きしめる力を強めると、三人を中心にして不思議な光がクアナ湖周辺を満たしていった。
三人のそばについていたミルシャがまず気づき、シュナイゼルや近衛団もすぐに気づいた。
「この光は・・・」ミルシャがつぶやいた。
光を浴びた全員がそれまでの疲労や焦燥感などから回復されていく。
「千年伝承の力なのか?」シュナイゼルが誰に話すでもなく言った。
不思議な光は三人を中心に広がり続け、見渡す限りが光りに満ち溢れていた。
一人、ラ・カーム暗殺に接近していたパク・ドゥーンは三キロ離れたところからその光を感じた。
・・・なんだ、この光は、既に、儀式が?
パクのインビジも解除されているようであった。
「潮時か」
その時、パクの後ろで茂みが鳴った。
腰のシミターに手がかかりそうになりながら、その前に気付いた。
「ユナか・・・」
すらっとした体に豊かな胸のハーフエルフの副官がそこに立っていた。
「撤退だ」パクはそっけなく言った。
「私は命令に背きました」目をうるませながら、黄軍副団長ユナ・キは言った。
「叱責なさらないのですか」
「私が気づかなかったということは、敵も気づかなかったであろう、すまんな君の力を見誤っていた」
「パク様」口に出した瞬間パクにすがりつき泣き出した。
「パク様が死ぬつもりだったのは分かりました、せめて一緒にと思い、ごめんなさいパク」
「もういい、俺の負けだ、帰るぞ」
パクはドラゴンを召喚すると、ユナを乗せて王都方面に配備していた部下を回収するべく飛び立った。
ひときわ大きなパク・ドラゴンの姿はクアナ湖付近にいたシュナイゼルとミルシャにも見えた。
「撤退、してくれたか」
周囲の安心感が三人に伝わったのか、謎の光はいつの間にか収束していた。
「ラ・カーム殿下、ラァ様、ラナ様、クアナ湖での研修はここまでにしましょう、王都への帰りは直行しますので、時間は半分で済むはずです」シュナイゼルが説明した。
三人もなにが起こったのか分からず呆然としていたが、しばらくしてラ・カームがシュナイゼルに言った。
「分かりましたシュナイゼル団長、よろしくお願いします」




