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ラ・カーム戦記  作者: 神名 信
30/70

第30話

 ラ・カーム王国側の先陣を切ったのは北部方面軍第一師団であった。

 第一師団は常に最前線に飛び込む精鋭部隊である。

 今回も第一師団がイグニクェトゥアの軍勢の左翼、リザ・ナッシュ率いる紫軍へ突撃していった。

 第一師団の黒い鎧の集団が一糸乱れぬ連携でイグニクェトゥア軍へ

 

 キーン

 瞬く間に両軍の剣戟の音が数百以上も起こっていた。

 お互いに物理防御・魔法防御魔法がかけられているので、鎧の耐久値以上に硬い。

 それでも、ラ・カーム側が若干優勢で何人ものイグニクェトゥア兵が倒されていく。

 ロゼ師団長は、先頭に立って奮戦していた。

 ロゼの長槍はイグニクェトゥア兵の血を吸い真っ赤になっていた。

 紫軍の兵力は四万を超え、歩兵を中心にリザ・ナッシュのいる本陣まで十層の列を作っていたが、三層まで突破していた。

 「ロゼを見殺しにするな」大きな声でダナ・カシムが叫び第一師団に続き第七師団の騎馬隊も突撃した。

 騎馬隊がスペースを作ったところに第二師団の弓兵が入り込み、敵陣深くまで矢を放つ。

 数千本にも及ぶ弓が紫軍に降り注ぐ。

 

 イグニクェトゥア側は先手を取られたが、数で圧倒している。

 ファ・ゴート率いる赤軍が北部方面軍を半包囲しようと回り込んでいた。

 それを察したキューゼルが第三師団を前面に立てて、行く手を阻む動きをした。

 「歩兵部隊など焼き殺せ」ファ・ゴートは魔術兵団に号令をかけた。

 赤軍四万のうち魔術師は四千人、イグニクェトゥア魔術兵団の中でも最も攻撃力のある兵団といえる。

 そのうちの約半数、二千人が前線まで出て、ファ・ブロウの術式をかける。

 ファ・ブロウは炎魔法の術式でも最もポピュラーなもので、前方に向かって放射状に炎が伸びる。

 キューゼルの指揮でファ・ブロウを防ぐべく、第六師団が水魔法のラ・バウンディングの術式をかける。

 ラ・バウンディングは相手の攻撃魔法を弾き返す効果があるが、それも魔力の総量に比例する。

 ファ・ブロウの術式が完成し、巨大な炎が第三師団に襲い掛かる。

 第六師団のラ・バウンディングが数秒持ちこたえるが、絶対的な魔力差で打ち破られてしまう。

 「うああああああああぁぁ!」

 大絶叫とともに、第六師団の前衛五百名がファ・ブロウで命を落とした。

 しかし、前衛を失いながらも第六師団は崩れず、なおダナ・カシム率いる本隊を守る態勢でいた。

 そこに、赤軍の歩兵部隊が突っ込み乱戦模様となる。

 剣技だけであればラ・カーム軍のほうが上であったろうが、数的な優位と前衛部隊を全滅させた勢いでイグニクェトゥア赤軍が第六師団を少しずつ崩していく。


 地上の戦いが始まるのとほぼ同時に航空部隊の戦いも始まっていた。

 地上部隊から二十キロほど離れた、王国よりの位置でラ・カーム王国南部方面軍第一師団グリフォン部隊とイグニクェトゥア黄軍パク・ドラゴン部隊が交戦していた。

 機動力・火力においてグリフォンは有利であったが、その時点で北部森林にたどり着いていたグリフォン部隊は五百機に満たなかった。

 それに対して五千頭のドラゴンをそろえたイグニクェトゥア軍は一機のグリフォンに対して五頭ほどの編隊を組み攻撃を仕掛けていた。

 いかに機動力に秀でていても数に劣るグリフォン部隊はドラゴン部隊から距離を取っており、戦闘は限定的であった。

 


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