第2話
五月七日の夕暮れも迫る時刻、教会の鐘が高い音で鳴り響いた。
「おー」
「わー」
「これって女の子だってことだよね?」誰に聞くでもなく市民が確認するように話した。
「鐘の音色が高ければ女、低ければ男、それは今まで通りだろう」
「次が低ければ大変なことになる」
「そうだな、千年に一度あるかの時に居合わせてるっていうことか」
そして、歓声がやみおわらぬうちに先ほどとは違う低い音で教会の鐘が鳴り響いた。
「ラ・カーム万歳」
「万歳」
「ラ・カームに千年の栄光あれ!」
「万歳」
「ラ・カームは一万年は持つさ!」
教会前の広場に集まった一万人以上の市民は大歓声を上げている。
王都警護隊も目は光らせているが、王都には何重もの魔法結界が貼られ、王宮は近衛団が護っており、集まった市民の動きにだけ注意していればよかった。
しかし、その数分後、一回目の鐘の音と同じように高い音が鳴り響いた。
「え・・・」
「どういうこと?」
「三つ子??」
「三つ子なのか??」
「女の子、男の子、女の子ってこと?」
この場合についてはなんの情報もなかった王都の市民たちはびっくりしていたが、総じてお祝いムードに溢れていた。